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第18話 ジェットコースターな私

バレンタインも近くなってきて、芸人さんへの差し入れも多くなる季節。

企画もそれに因んだライブやイベントもあり、参加する芸人さんも多く、コマンダンテもその中の1組に入っていた。

橘さん企画の『 若手芸人 恋愛トークライブ』
よくあるものやけど、芸人さんの恋バナもオモロいと盛り上がるライブ企画。

「秋ちゃん。お疲れ様。これ、コーナーの説明書いてあるから、まとめてMC用の手カンペ作っといて。」

「はい…。分かりました。」

あの歓迎会からというもの、私は気まづいままでいてた。橘さんに対してもやけど、石井くんともなかなか話せないでいた。
まぁ、ちゃんと会えないっていうのもあるんやけど…。会いたいなぁって思てても言えないし。
そんなん、言えばええやん!
って、思われるでしょうけど…ウザがられるんちゃうか…!とか、嫌われたらどうしようっ…て感情が先にくるから言えないもんなんよ…。

溜息を付きつつ、パソコンに向かっていると、もう居なくなってると思てた橘さんがまだ私の後ろにいてた。それに気づいたのは
「秋ちゃん、今晩空いてる?」
の橘さんの声やった。

「えっえっ…!あっ、居てたんですか?!すいませんっ」

「そんなことはええねん。それより、今晩空いてるの?」

「えぇっ!あー…今晩ですか?」

特に予定はないけど、なんで私?!
正直、嫌かった…。2人か?だったら尚更に嫌。

「2人が嫌なんやろ?顔に出てるよ。」

「いやっあのっっ!そんなことないですっ!嫌とかでは…!!」

ダメや。この人に嘘はつけん…。
てか、私が顔に出てもうてるのが悪いんやろうけど。

「秋ちゃんは素直な子やなぁ。俺、そんな秋ちゃん好きやで。」

橘さん、あなたも素直な人やと思います。そんなこと普通なかなかストレートに言えませんよ。

「他にも誰か誘って飯行こか。なんでも好きな物言いや。」

「ありがとうございます…。」

結局、お誘いを受けることに…。まぁ、他にも誰か来るんなら…。

石井くんは、今日は京都やったなぁ…。
会えへんの辛いなぁ…。忙しいやろうからLINEもしづらいし…。
とか、思ってるとスマホからLINEの通知音が鳴った。
開いてみると、石井くんの自撮り写真と

『 お疲れ様。明日の朝一で帰る。なんか欲しいもんある?』
と、メッセージが入った。
落ちてた気持ちも一気に上がって、たまたま立ち寄ったショップでお目当ての物が買えた時より嬉しい気分!

『 お疲れ様!無事に帰ってきてくれるだけでええよ😆』

『 分かった。ありがとう。ほんで、明日は俺、そのまま休みやから。秋は?時間あれば家来る?』

えっ…!石井くんの家??!予想外のメッセージ内容にLINEの打つ手が固まってしまった。
でも、嬉しい!会えるんや!

『 明日は午後から休みなんやけど。そんでも良ければ…?』

『 ほな、終わったら連絡ちょうだい。』

やっほーい!!これ、職場でなかったら大声出してハイジャンプしてるわ。
嬉しくて、キーボード打つ手もリズミカルに飛び跳ねて、下がっていた気持ちも最高潮に上がり始めていたのに、次に入ってきたLINEが

『 今晩行く店決まったから、地図送っとくわ』
と、橘さんからのメッセージ。

上がった気持ちがまたもや下がり、現実に戻された気分。

そんなこと思ってまう私って、ホンマ失礼やんね…。

なんかさっきから気持ちの上がり下がりが激しくて、自分でやってる事やのに疲労感が残る…。

高校の時に行って、初めて乗ったジェットコースターを思い出した。雲が掴めそうな程に高く上り、一気に急降下、大きく円をえがいて、今自分が何処にいるのか分からんほどに回り、私はこのまま天に召されるのかと思うほどの気持ちで乗っていた。

社会人になった今現在、パソコンの前に座ってはいるが気分はそんな感じ。

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