1冊1冊が教えてくれる積み重ねた日々のこと
引っ越しをした。これでもう8回目。
都内のマンションを転々とする生活をしていると、「収納が少ない」問題とどうしてもぶち当たってしまうので、潔くあらゆる物を手放してきた気がする。服とか、靴とか、使わなくなった家具とか。
それでも唯一、私が置いていけなかった資産がある。「本」だ。
さっき、新しい家の本棚に、運んできた本を納めた。今度の家は戸建てなので、多少本棚を買い足しても怒られない(と思う)。収納がなく長らく段ボールで眠っていた子たちも無事に本棚に収まって、心に降り積もっていた申し訳ない気持ちが少しだけ減った。
もうあと100冊くらいある
背表紙を見ていると、1冊1冊を買ったときの心境を思い出せるから不思議。あのときこんなことに悩んでたなーとか、なんかキュンキュンしたくて思わず買っちゃったんだよなーとか、この本買った旅行先のあの書店まだ残っているかなあ、とか。
何もかもが電子化できて、軽やかに生きていけるようになると、それはそれは便利な半面、あまりの身軽さに、自分の中に何かがきちんと積み上がっているのか不安になってしまう。
でも、確かに私はいろんなことを勉強して、経験して、葛藤して、あらゆる感情を受け止める力や、難しい局面を乗り越える力を身に着けてきたのだと、100冊あまりの本がそれぞれの日々に立ち返って教えてくれる。
縁もゆかりもなかった新しい町で、私はまたいろんなことを学んでいかなくちゃいけない。ゴミ出しの仕方、通勤の最短経路、町のお祭りの日程。
それらはゼロの自分じゃなく、29年しっかり生きた私が向き合っていくこと。そんなに不安になる必要はないよ、と並んだ書籍に勇気づけられたような気がした。
やっぱり置いてはいけないなあ。
読んでくださいましてありがとうございます〜