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ときめく出逢いに飢えている

今年に入って一枚も服を買っていない。
一月の終わる、一日前に気づいた。

年始のセールは、予定の前、少し空いた時間にデパートを覗いただけ。
福袋は買わない。福はあまり入っていないから。鬱袋とか。
うそ。
本当は手触りや色をちゃんと確かめたいから。

むかし、服が大好きだった。
親のミシンを勝手に拝借してワンピースを作った。
テーマカラーを決めてコーディネートした。
髪をまいたり、ショートに見えるように毛先を隠して遊んだりした。
ジャンルは問わず、古着やメンズサイズも着てみた。
高級品は持っていなかったけど、一枚一枚の服に思い出があった。
楽しかった。

大人になって、仕事は制服だった。
口うるさい人に、首元が開いている服やスカートは着るなと言われた。
ヘアドネーションのために髪を切ったら、伸ばせと言われた。
無難な服しか着なくなっていた。
クローゼットは温度のない服だらけだった。
心が閉じていた。

好きを忘れていた。

ペラペラの布地や、ほつれる縫い目に心が動かない。
やわらかくなめらかな手触りとか、はっとする色とか、うねる編み目の曲線とか、そういうものがみつからない。
失ってもどうってことないものにお金を使いたくない。

どこに行ったら出逢えるのだろう。


もう一度、ときめきたい。


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