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交通まちづくりと地域再生 ある田舎のおはなし

数年前から、高齢者の運転による交通事故が問題になっている。
昔住んでいた地域では、電車が廃線になったり、バスも来なくなってしまったという話を聞く。

田舎

子供の頃、長期休暇のたびに父は自家用車に私たちを乗せて祖父母の家へ向かった。
車窓から見る夜の山や星空、立ち寄った地域の美味しい食べ物、今はなき観光施設の思い出はいまでも心に残っている。

当時祖父は自転車に乗っていて、親族も近くに住んでいたので、買い物などに不自由はなかったように思う。


都会とは大きく異なる交通網


ある年、祖母が入院した。
関東で就職して一人暮らしをしていた私は、飛行機で病院へ向かった。

空港から乗換駅へ移動して時刻表を見る。
次の電車は一時間後。
東京では数分に一本。

田んぼに囲まれたのどかな無人駅には私以外誰一人いない。
東京では人がいない駅なんてない。

慌しい日常から切り離された空間で、風にそよぐ稲を見ながら待った。
広い水田から時折聞こえるそよそよという音は心地よかった。

数時間後、病院の最寄駅へ到着してバスの時刻表を見る。
すぐに発車する予定はない。
田舎道を病院まで歩く。

面会時間には間に合った。
祖母の笑顔が見られて良かった。
外は夕暮れだった。

その日は祖父の家で、飼い猫のミーと一緒に泥のように眠った。
祖父の家までの公共交通はなく、最寄駅から歩いた。
足が棒になった。
1日でかなりの距離を歩いたと記憶している。

次の朝祖父の家を発ち、帰宅したのは夜だった。

高齢者が移動するということ

田舎が過疎地域にあたるのかはわからないが、祖父母や近所のお年寄りはタクシーをよく利用していた。
送迎できる人がおらず、駅まで歩くことが困難となればタクシーを使うしかない。
年々タクシードライバーも高齢化していると聞いた。

問題なく日常的に運転される方もいれば、自身の運転に不安を覚えながら自家用車に乗らざるを得ない人もいるだろう。
危険かもしれないが、生きていくためには交通手段が必要なのだ。


経済学とひと

経済学のことはよくわからないが、詳しい知人から「おとぎ話の世界だよ」と聞いたことがある。
仮定でつくられた世界。
おとぎ話にこんな登場人物もいるのだろうか?

これからのみらい


デマンドタクシーやコミュニティバスなど、行政は様々な取り組みをしていると聞く。
そのカタカナは高齢者に伝わっているのだろうか?

ITの発展や自動運転など、技術の進歩が目覚ましい。
いつか老若男女問わず、個人が自動運転で安全に移動できる日が来るかもしれない。

世の中は便利になっていくけれど、知らない人や使いこなせない人もいるかもしれない。
そんな人たちを置き去りにしない、持続可能な交通まちづくりを望んでいる。

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