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「好き」ということ

ふみサロ4月課題本「世界をアップデートする方法」 篠原信 著
課題本から受けたインスピレーションを基にエッセイを執筆する

⇓ 以下エッセイ ⇓

「好き」ということ

私は紙の本が大好きだ
本を手にする音、ページを捲る音、本を閉じる音
かすかに香る本の匂と紙の質感、その1つ1つに感覚が研ぎ澄まされていく
せわしない日常生活の中で張り巡らされたアンテナをグーッと本の世界に絞り込んでいくと、普段は気にも留めない部屋のサーキュレーターのカラカラとした音まで聞こえるようになってくる
呼吸まで整えられているかのような深い集中状態は、まるでメトロノームに身を任せているようだ

どうやら私という人間にはこの時間が大変重要な事らしく
今まで生きてきた様々な困難もこの時間によって助けられてきた
こんな話をすると、さぞ神経質な性格だと思われるだろうが決してそんなことは無い
むしろ粗雑な性格で部屋の隅には積読たちが土塁のように配置していようとも難なく生活できてしまっている

しかし、まさに、そこに!私の悩みがあるのである
「本ってどうやって片付けるものですか!!??」

電子書籍になればこんな悩みから解放されるのかもしれないと
数年かけてチャレンジしてみたが、上手くいかなかった
場所、時間に制限を受けず
大体の操作を片手で完結でき
なにより何冊購入しようが部屋に物が増えることがない!!
こんな便利機能にケチをつけるほうが難しいというのに
気持ちがついていかない…。
そこに明確な理由がある訳ではないが

ただ、単純に電子書籍が「楽しくなかった」のである

本屋さんでお気に入りを探す楽しさ
こだわりの装丁、カバーの裏の思わぬ仕掛けなど
画面をスクロールして「確認」することと
実際に触って「どうなっているんだろう?」というのは全く別物だと私は思う

その楽しさを知っているのは幼い頃、本だけはいつでも買い与えてくれた両親のお陰かもしれない
お気に入りの本が本棚に少しずつ増えていくたびに誇らしく思い
そして自信にもなった

私にとって本は単なる「情報」ではない
「読む」行為以外の1つ1つにも私という人間を形作る根拠になっている
多少、不便かろうが今更切り離せるものではない
つまりそれが「好き」ということ。ではないだろうか

そして問題は振り出しに戻るのである
「本ってどうやって片付けるものですか?(泣)」

以上(889文字)


作成の意図

「哲学的に考える」とは「〇〇とは何だったのか」という考え方らしいので

・「紙の本」とは何なのか
・「読書」とは何か
・「本を読む」という行動が私にどんな影響を与えたのか
などから着想を得て

「紙媒体」から「電子媒体」へ「アップデート」できなかった話をしてみました

うっかり感動ものに仕上げならがも
ただ片付けができない言い訳をしているだけなので、勢いまかせに読める文体で表現してみました


あとがき

本って増えますよね…。
文庫本とかは断捨離できるタイミングを作れるけど
辞書とか画集は並べているだけでニヤニヤできるし
復刻版とか、愛蔵版とか完全版とか
ちょ~っと違うだけでなんであんなに魅力的なんだ…

私はこうやって管理してるよ!とかあったら教えてください
そもそも皆さんは本をどのように収納してるんですかね?

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