「祈り」と「癒し」(「霊(スピリット)」とは ―その6―

『「霊(スピリット)」とは』というシリーズも、その6で終わりです。一応それぞれ独立して読んでもわかるよう、心がけていますが、その1から順番に読んでいただいた方が、分かりやすいと思います。

ただ在ること


「気づき」という性質は、対象を持ちません。

それはただ「在る」のみです。

体感としては「愛」「至福」「安らぎ」「静寂」として体感されます。

日常生活の現象で解釈すれば、「ただ愛するのみ」です。

「気づき」という広大な空間の中に、雲のように漂っているのが「思考」です。

その「思考」に没頭すると、「気づき」の性質を忘れてしまいます。

そして「思考」に没頭する生命体が人間として誕生し、何万年もかけて文明を気付いてきました。

とうの昔に自分自身が「愛」「至福」「静寂」という無限の価値ある存在だということを忘れ、それらが外側にあると信じ込み、ますます思考の中に入り込みます。

そして子孫にも、そのことを伝え続けます。そうして宗教が発展し、宗教は政治と文明と一体になります。

催眠的な洗脳状態は世代を追うごとに、全体的に深くなって行きますが、時折その痛みや苦しみから、意図的か偶発的に「目覚め」たものも存在しました。

目覚めた存在を、眠っている存在は嫉妬したりねたんだり、また神と崇拝するようにもなりました。

思考の水準から愛する

思考は、その性質から対象を持たなければ成立しません。

それは劣っているとか、悪いとか、そういうことではありません。そういう性質なだけです。

頭脳のレベルから祈りを行うと、神や天使といった存在にお伺いを立てないといけません。

願いを聞いてもらうために、よい人間であろうとか、お礼をしなければならない、とか、自分がもっと清くなければなどという

「条件」を考えてしまいます。


思考という二元性ではない神や天使、精霊といった存在は、車が人を遠くに運ぶという役割と機能があるように、彼らには全ての人や生命が美しく幸せであるための役割と機能が最初からあります。

車という道具に愛着や感謝の念を自然に感じても、わざわざへりくだったり、恐れ敬ったりする必要はありません。

二元性の神は幻想です。そうでない神には条件愛は必要ありません。

神々や天使も「私」という気づきの光の延長にある存在達です。

頭脳で行う祈りには、それらの存在達からなにかを「もらう」意識で行っていました。

頭脳(思考)からではない、心臓脳(ハート)からの祈り

頭脳を超えた心臓脳(ハート)かららの祈りは、彼らに愛と光を与えることで、自然に機能を果たしてくれます。

どのような存在も、その対象を理解し、大切に尊厳をもって接することで、最大限の機能を果たしてくれます。


この場合の機能は、自分を含む他者と生命への愛です。

ここでは、そんな祈りの手順を最後に書いてみたいと思います。


祈りの手順

1.在ること

静かな場所で座って行います。

目を閉じて、自分の呼吸に意識を向けて、心を自由にさまよわせます。

思考が流れてきても、空に浮かぶ雲のように、ただそれを眺めています。

思考は、ずっと途切れない、ということはありません。ある思考が流れると、それが終わり、次の思考が流れてきます。

その思考と思考の間に「気づいて」ください。

その何もない空間に気づいている状態を1~2分取ります。

すると、落ち着いた感覚、安らいだ感覚が自然と現れます。

その心地よい感覚に「気づいて」いてください。

2.頭脳からHeartへ

いまある意識はすべて頭に集中していると思います。

その意識をすべて、心臓あたりにおろしてください。最初は意図しづらければ、軽くてをハート(心臓)付近に添えてみると、意識しやすいです。

そして、1.で感じた心地よい感覚をハートに感じ、ハートがあたかも呼吸しているかのように、5秒吸って、5秒吐くというペースで呼吸を続けます。

3.なんでもいいので、愛や、感謝の気持ちをハートに意図して感じ、それをふるやかに増幅させるように呼吸します。Heart呼吸です。

4.その感謝のエネルギーを親、先祖に流れるように意図します。また、自分の現在の家族や友人、知人などの親しい人々にも流します。

5.そのエネルギーを地域、日本中、世界中に広げます。そして、感謝のエネルギーを地球におろしてみます。

6.地球から、太陽系、銀河系にまで広げてみます。

7.自分を含む、多くの人々や生命が、喜びの中で存在する光景を感じてみます。そして、それらのコミュニケーションが円滑に運ぶように、自分のゆかりのある神々や天使、精霊に手伝ってもらうよう、意図してみます。

8.自分の願いが癒され、放たれることを意図します。(結果は期待しません)

9.終わるとしばらく十分に休んでください。最後は感謝で終わってください。』

スピリチュアルの学習過程

宇宙にある存在は潜在的にすべて繋がっています。しかしそのコネクション(繋がり)は潜在しているのみで、活性化していません。

その繋がりを活性化することで、様々なことが理解でき、新しいものを創造し、進化が始まります。

宇宙を一つの生命体だという視点から見ると、宇宙内の脳内のニューロンのシナプスが繋がりあって、新しい機能を獲得することと全く同じです。

これは、私達一人一人の人間が、何か新しいことを学習して、新しい機能を身に着ける過程と全く同じです。

例えば、子どもは最初は掛け算九九を覚えるのに時間がかかりますが、いったん覚えてしまうと、殆ど忘れることはありません。

また、自転車は最初は誰もが乗れませんが、何度も練習を重ねるといつの間にか乗ることが出来て、それが当たり前になってしまいます。

これは、新しい能力を獲得するにあたり、何度も練習を行うことで、その機能が獲得できる学習過程です。

スピリチュアルの分野についても全く同じです。

スピリチュアルは、「私とは何か?」という問題について、「私とは個という単独の存在ではなく、先祖の様々な関係性から生じているものだ(仏教の縁起)」と理解します。

そして、その摩訶不思議な縁をなしているのが、眺める立ち位置(文化や宗教)によっては「霊」「神」「自然」「道」「宇宙」など呼び名はさまざまですが、それを体得・体感していくものです。

そういう「課題」があったときに、毎日の修練―マインドフルネス、ヴィッパサナ、様々な瞑想、祈り・・・―などは、算数ドリルや、自転車を乗りこなす学習と全く同じです。

その過程で、人によってはチャネリングやヒーリング、霊視、リーディングのような能力が副産物として現れることもあります。

上記の練習手順は、一つの参考例です。練習を行うほど、上達するのはどの分野も同じです。

行うにあたっては、生活習慣に取り入れやすくするために、決まった場所、日時が最初はよいかと思われます。また、手を合わせるなどの行為や、言葉にして感謝を述べることも体感に結びつきやすいので、良いのではと思います。

この練習は、ストレス耐性の増加、心身の休息、治癒力の増加などがあげられます。

ちょっと疲れたときや、自分という存在を見つめ、体感し、祖先を含む宇宙や見えない存在への感謝を行いたいときに行うのも良いのではないでしょうか。


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