日記　＃あなたの世界

　「なんでも願いを叶えてあげる」
　と、もし神様に言われたら。もし、それができるのなら。

　私は、あの人の世界が見たい。この世界が、あの人にとってはどんな世界なのかをしりたい。

　あの人 あの人 どんな人。
　例えば、素敵な歌詞を書いて、たくさんの人の心を救った人。例えば、たまにしか話さないのに、私の長所短所を見つけてくれてる人。大好きなあの人の、見えている世界をしりたい。

　隣で同じ花火を見ている彼が、同じ気持ちでいるとは限らない。私が綺麗だなーと思っている隣で、音速から気温を求めているかもしれない。理論値にしか過ぎませんよ。

　同じ景色を見ている人が同じ気持ちでいる必要なんてなくて。でも、大切なあなただから、知りたくなるんだよ。ねえ、今楽しい？

蒼は私のことをよく分かっていてくれるけれど、
私は蒼のことを分かっているつもりで、全然知らないんだね。

　親友に言われた言葉。当たり前じゃん。

　人のことを完全に分かることなんてできないよ。だって言葉にしたら同じ気持ちでも、その気持ちに行き着くまでの経路も違うし、過去にこの気持ちになった状況も違う。

　だから正しい解像度で人の気持ちを分かることなんて出来ないんだよ。これに納得出来ないのなら、私のことなんて一生分からないと思う。

　でももし、私が君のことをよく分かっていると本人の君が思うのならば、私の解釈が合っていたということだね、良かった。
　大切な君のことを、私も知りたいと思ってる。誤解していないようでよかった。

　ここまで「人の気持ちなんて分からない」ということを書いてきたけど、分かりたいと思うあなたのことを否定したいわけではなくて。人の気持ちを考えることは、素敵なことだし、決して無駄な時間じゃないと思う。

　自分が考えた想像の気持ちを、本人自身の気持ちだと解釈してはいけないし、「君ってこういう人だよね」という解釈を本人に押し付けてはいけないけど、あなたはきっとそんなことはしないでしょう。

　私のことを知りたいと思ってくれてありがとう。あなたの心にかすり傷もつけないように、これを伝えられる自信がないから、直接は言わないでおくね。
　こうやって私の心がどんどん見えづらくなっていくのね、どんまい

　私に見える世界は、あなたからしたら想像もつかないほどに、みにくくて歪んでいるかもしれないよ。

　でも、それでもいいんでしょう、きっと。私がそうだから。

　あの人の世界がどんなでも知りたいんだ。あの人と同じ解像度をもって、この世界と向き合ってみたい。

　どんな世界に住んでいたら、そんな答えにたどり着くのかしりたい。もし、その世界に私が輪郭をもって存在していたら、、幸せだな。