夜行列車の女

画像1 「バタバタ慌てなや」「そういうても、降りないくまいが!」「車掌は何処におるんぞ」「今さらどうにもなるまいがや」乗客も少なくなった夜行下り急行の自由席に、豊浜駅から乗り込んできた三人連れの男達。何処かで、安酒を呑んでの帰りであろう。脂ぎった顔をした男、神経質そうな青い顔の男、酒天童子のように赤い顔をした男、よほどのことがあったのかそれぞれに卑猥な話に花を咲かせていたのだが、つい話に夢中になって、新居浜駅で下車し損じた様子である。つづく

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