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骨董屋カイトリ紀行 #4

貧乏暇なし。

よくいったもので、このところのホリデイズ、買取部門はせわしなく働きっぱなし。


連日記録的な猛暑か記録的な豪雨。
いずれもが、比較的過ごしやすいとされていた仙台平野をも襲う。

皆さまは、オゲンキデスカ・・・。



本日の依頼者さま

依頼者さまはご高齢のおばあさま。

買取対象品は"ずっと家にあったナゾなモノ"
お電話の時点では「納屋に収まる、ナニカ」とのことなので、どんな心持ちでうかがえばいいか不明。

唯一わかるのは"大手全国区フランチャイズ"を数社呼んで、複数の買取が成立したアトに我々を用立てていただいているとのこと。


簡単に言えば「彼らが買わなかったもの」というわけ。


大手FCさんのことをわるくいうつもりはないが(本当にないよ)どうしても無数にある"古物"を均一的な物差しではかろうとする都合上、大手FCさんは買取の対象範囲が狭いコトが多々ある。
そのため、「買取業者さんを呼んでみたけど、思ったより片付かなかったなあ」というご意見を聞くことがある。

対して私の会社はというと、「買取できるものは中古の需要があるものすべて。買い取れるものは幅広く、なんでも買います。(それでも中古市場で需要が一切ないものは買取できないけれど)」をモットーにしている。

大手さんは狭きカテゴリ(わかりやすいのが貴金属や時計)で買取を競い合い、我々のようなちいさな会社は広いカテゴリで買取業務を行う・・・。

↓※我々の普段のお仕事、細かい部分はこちらから↓


車で例えるとわかりやすいかも。
中古車屋とはいえ、ボルボばかり並ぶ車屋さんでは軽トラ買わないでしょ?みたいなところだろうか。
その例えで言えばさしずめ我々は街の小さな中古車屋、売れる車ならなんでも買います。
※余計わかりにくいか?


このあたりは、一般消費者の方には通じずらい、古物業界の妙だ。


ナゾなモノ(絵葉書・エンタイヤ)


なんでも「茶箱ギッシリになにかが入っているのだが、奥まったところに置いてあるため引っ張り出せない、腰をかがめるのもキツくて開けてもない」とのこと。

※余談、仙台~宮城は初売りの影響か、茶箱が眠るお家がたくさんある・・・。

引っ張り出してぱかっとあけると、ほとんどが"ある時期の子供部屋の中身"と思われるモノの山。(依頼者さまのお父様かお母様のモノであろう。)
大正~昭和初期の教科書、えんぴつ、使い古されたノート・・・。

さすがに買取できないもの(中古で需要の一切ないもの)だなあ、と思っていた矢先、下の方から2つの冊子となにやら紙のやまが・・・。

主に大正・戦前頃までがたくさん
使用済みのモノは"エンタイヤ"ともよばれ、それはそれで需要がある


絵葉書


明治~大正・戦前の絵葉書は当時を知る希少な資料。

だいたいサイズは90*140(約/mm)

その中にぎゅうっと当時の技法で情報が詰め込まれている。

戦争で失われた街並み、文化遺産などはもちろん、当時の最先端もうかがえる。

中原淳一の描く、流行ファッション絵葉書



TVなどで"戦前の〇〇駅"という映像が流れていたりするが、あれらも実は当時の絵葉書を使用されていることが多い。

こちらはタイトル通り読むと"朝鮮の街並み"
いまは無い建物・街並みを知るのに希少な資料だ
なお、本来の写真ではこのように映らない
複数枚撮影したものを無理やり1枚のはがきに落とし込むものだから
パースが狂っているものもおおい

本日買取できたのは絵葉書含む紙もの、アレコレ。
絵葉書は1000枚以上となった。

今日の「これは!!」part.1

ポストカードアルバム、とみてのとおり、絵葉書綴じ張


その方の"イチオシ絵葉書"だろうか、それとも特定のどなたかとの文通だけを冊子に閉じることとしたのだろうか。

なかを開けるとピシッと絵葉書の数々が収められていた。

飛行機が多かった、乗り物への憧れは古今東西、キッズの共通項だ

また、なかには詩や文章が連ねられているものもあった。

本来であれば写真の部分にかかるように書き留められているものは商品価値が下がるのでNGだが、ここまできれいに整頓されていると当時を窺え、読み応えがあって、イイ。

100年も前の人の文章を覗き見、なんだかイケナイ気分

冊子に綴じられた分で500枚ほどにのぼった。

10年は続けたであろう、俗っぽくそれでいて高尚な趣味だ。


本日の「これは!!」part.2

この方をご存知だろうか

この方は"早川雪洲"

戦争よりはるか前に渡米しハリウッド創成期に活躍した日本人俳優だ。

サイン部は直筆の模様。

さすがにお見せできないが、裏面には「彼のセツシユーハヤカワと握手。署名までいただいてしまった。」と記されていた。
消印は東京のものだったので、早川氏が来日した際に書いてもらったのだろうか。

早川氏は50年も前に没している。
きっとこの文章を記した方もすでに亡くなっているであろう、ただ憧れだけがこの世に現存していた。

僕は今日という日に、100年眠っていた情念を掘り出してしまった…
ワクワクと、申し訳なさが拮抗する、そんな買取でした。


ナゾなモノ、買取させていただきます。
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