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コメンタリーから魅る『ゴッドファーザー』

あらすじ:第二次世界大戦終戦直後の1945年 最大の勢力を誇るイタリア系マフィア「コルレオーネ・ファミリー」を率いるドン・コルレオーネ。三男のマイケルは裏社会には入らず堅気の生活をおくっていたが、敵対するファミリーにドンが襲われ重傷を負ってしまう。マイケルは報復を誓ったとき、全面抗争へと雪崩れ込んでゆく。

コメンタリー:フランシス・フォード・コッポラ

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誇りとしている習慣だが、私の映画ではタイトルの前に原作者の名前を出す。「ゴッドファーザー」以来そうしている。原作者マリオ・プーゾの名も出させてもらった。原作者をクレジットの頭に出すのが私のこだわりだ。

原作で私が最も重要だと感じたのはドンの娘の結婚式に大勢の人々が集まり、古代ローマの隷属民のごとくドンに頼みごとをするオープニングシーン。最も象徴的なのが葬儀やボナセーラの話だ。彼はアメリカに移住し その法律を守っているが、法律は必ずしも市民を守ってはくれない。そこで有力な友人であるゴッドファーザーに国が与え得ない保護を依頼し、いつかその恩に報いる。そういう意味でこのオープニングシーンは興味深い。私は映画のテーマにふさわしい言葉を選んだ。“アメリカはいい国です” はじめの画像は彼のクローズアップ。当時の技術ではあれほどスローで引くのは難しく、コンピューター式レンズにプログラムを組み込み3分間かけて ゆっくりと徐々に引いていった。そうして撮ったのがこのオープニングだ

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