見出し画像

10月のお知らせ

10月の「映画を鑑賞する会」は、宮川一夫撮影監督作品を二本取り上げたいと思います。

宮川一夫は、映画監督として世界の「クロサワ」と呼ばれる黒澤明と同じで、映画撮影技師として世界の「ミヤガワ」と称された、偉大な映画カメラマンです。彼の作風は、溝口健二や黒澤明などの名監督の作品において大きな役割をはたしました。宮川のカメラワークなしには、溝口も黒澤も世界の映画コンクールで数々の栄誉には輝かなかったと言っても過言ではありません。

⭐10月7日(土)『浮草』⭐

旅回り一座の浮草稼業ぶりを描いた1934年の小津監督自身の無声映画『浮草物語』をリメイクした作品。8月の盛り、旅回りの一座が船で三重県の小さな漁村にやってくる。座長・駒十郎(中村鴈治郎)と古株の数名は、12年前にもこの土地に来ていたが、駒十郎の内妻すみ子(京マチ子)、若い加代 (若尾文子)などは初めて来た場所であった。実は、この土地には駒十朗の息子である清(川口浩)とその母親であるお芳(杉村春子)が暮らしていた。駒十朗は久し振りに2人に会い、くつろいだ時間を過ごすが、2人のことはすみ子には内密にしていたのであった。世界の巨匠・小津安二郎監督の晩年の傑作は色彩と照明を深く理解している宮川一夫により鮮やかに表現されています。


⭐10月21日(土)『越前竹人形』⭐

越前の寒村に住む若い竹細工師・喜助は父の囲い者の遊女・玉枝と同情心から所帯を持つことになる。しかし肉体のまじわりのない夫婦生活に欲求不満を感じた玉枝は、かつてのなじみ客と情交してしまい、不倫の子を身ごもるが……。悲劇性の色濃い物語を、宮川一夫が暗い情感を湛えたカメラで捉えていて、竹林などの自然の景観が圧倒的に美しい。喜助が遊女に寄せるプラトニックな想いを、人形制作への打ち込みぶりで表現した吉村監督の演出が秀逸。肉体の欲求不満を、さりげない官能性を漂わせて表現した若尾文子の演技も印象に残る。

U-NEXTはウォッチパーティの機能がありませんので、同時視聴しながら「映画を鑑賞する会」内の「交流の輪」で語り合いましょう。

10月の「映画を鑑賞する会」に参加されたい方は、詳細をサークル内からご確認ください。何卒宜しくお願いします。

日々観た映画の感想を綴っております。お勧めの作品のみ紹介していこうと思っております。