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音楽彩色:スピッツ『ビギナー』

初心忘るべからず。
その必要性は、忘れてしまっている頃に痛感する。

だから、初めの気持ちは
暮らしの中の目に入りやすいところに記しておくとよい。
心の中の留めやすいところに抱いておくとよい。
たとえ、初めの気持ちから変わってしまうことがあっても
思い出しやすいところに留めておくとよい。

現実的ではないと笑われてしまうような願いでもいい
行きつ戻りつを何度繰り返してもかまわない
ただ素直に、正直に
こんな自分でありたいとか
こんな世界であってほしいとか
そんな理想の景色を望んでいる自分を感じておく。

きっと想像とは違う世界を知るだろう。
きっと知らない自分を知ることもあるだろう。
きっと報われない想いに涙することも
きっと夢を手放したくなることもあるだろう。

やがて初心者だと呼ばれなくなるほどに
失敗することが重くのしかかってくることもあるだろう。
そうなれば、無難な選択をしたり
ごまかすことばかりが上手くなることもあるだろう。
そうして、ある時ふと
そんな自分を嘆きたくなるような瞬間も訪れるだろう。

だからこそ、
身体と心が覚えている最初の感覚が必要になる。
戻れる場所を持っていることが大切だとわかる。
初めの気持ちを思い出すことができれば
未来が変わることもある。
見えていなかったことが見えてくることもある。

人は、自分の人生という未墾の地を拓いて生きている。
似たような道を辿っているように見える人がいても
決して同じ旅路ではない。
何年経っても、何歳になっても、先のことはわからない。
いつまでも、どこまで行っても、ビギナーである。

忘れたいことが忘れられなくて
忘れちゃいけないことを忘れてしまいがちになっても
我は、ビギナーであること、忘るべからず。





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