救急病棟 竹ノ内誠
…目を覚ますとそこは病院の一室だった(あとでわかったことだが、救急病棟だった)。僕が寝ているベッドの周りには、女の子達が取り囲んでいた。…ほのか…妙子…えみる…美由紀…明日香…るりか…若菜…夏穂…真奈美…優…千恵…晶…12人全員揃っている。
「あ、気が付いたみたいよ」
正面にいたほのかが言った。
「無事だったんですね…よかった」
真奈美が涙ぐんで言った。
「お医者さんが、打撲の他は脳震盪だけっておっしゃってたじゃありませんか」
それでもほっとした様子で若菜が言った。
「日頃バイトで鍛えていて、体だけは丈夫だって言ってたものね」
晶が言った。
「フッ、旅行でもね」
優が苦笑して言った。
「みんな…どうしてここに?」
僕は上体を起こしてみんなを見回した。
「電話で聞いて、あわてて駆けつけたりゅん」
言うまでもなく言ったのはえみるだ。
「そうそう、交通事故って聞いた時はどうなることかって思ったけど」
妙子が言った。
「ほんとうに心配していたんですから」
美由紀が言った。
「そうか…俺、危うく死ぬところだったんだ…」
僕はつぶやいた。
「こんなところでアンタに死なれたら困るんだよ!」
千恵が言った。
「そうよ、せっかくこれからプロデビューするって時に…」
明日香が言った。
「みんな、心配かけてごめん」
僕は頭を下げて謝った。竹ノ内誠
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