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初めてのジャズライブ たまにはジャズの話でも~好きなシンガーを気の向くままに~(その3)

たまにはジャズの話でも~好きなシンガーを気の向くままに~(その1)

たまにはジャズの話でも~好きなシンガーを気の向くままに~(その2)

も合わせてご覧ください。

ラジオ番組をきっかけにジャズが大好きになった中学時代、あるチラシが目に入りました。
ベニー・グリーントリオダイアナ・クラールトリオジョン・ピザレリトリオという3組のトリオが、熊本で一番大きなコンサートホールである熊本県立劇場でライブを行うという内容でした。

ベニー・グリーンはジャズピアニスト、ダイアナ・クラールはジャズピアノとボーカル、ジョン・ピザレリはギターとボーカル。3名とも超が付くほど世界的なジャズミュージシャンです。よくこんなに豪華なメンバーが、と今でこそ思うのですが、当時はほぼ知識ゼロだったため、「ジャズ」という言葉だけに誘われて、行くことにしました。唯一、ダイアナ・クラールのCDを事前に聴いて行ったのですが、これがすっかりお気に入りに。俄然ライブへの期待は膨らみました。


ダイアナ・クラールの登場を待ちわびて

当日、学校帰りに制服姿で会場に向かい、クラシックのコンサートと違う雰囲気に、ワクワクしながら開演を待ちました。1グループ目はベニー・グリーントリオでしたが、事前に予習をして虜なっていたダイアナ・クラールの歌とピアノを早く聴きたい気持ちが強く、情けないかな、ベニー・グリーントリオがほとんど記憶に残っていません(ごめんなさい!)。


いよいよダイアナ・クラールトリオのライブ。怒られること覚悟で感想を書くと、ちょっと恐い……と感じてしまいました。CDで聴いていたはずなのに、その長身から発せられる声は話し声も歌声もドスが効いていて、ピアノもとてもダイナミック。圧倒されっぱなしで終わってしまいました。CDを聴いているときの楽しさと何が違うんだ、といろんなことを考えている間にライブは終わってしまい、純粋に楽しめなかった自分にちょっとショックを受けたまま、最後のジョン・ピザレリトリオのライブが始まりました。

明るく、男性としては高めの歌声に、軽快なギター演奏。そして、ニコニコと終始笑顔で人柄の良さが全身から伝わってくるようでした。とても楽しそうに演奏し、歌の合間に「KUMAMOTO」と入れてくれるサービスもあり、ライブって良い! と大喜びしながら夢中で聴いていました。

終演後はCDの販売とサイン会があるとのアナウンスに心が浮き立ちましたが、交通費程度しか持っていなかった残念な木村少年。隣に座っているおじさんにお金借りようかな、とまで思ってしまいましたが、さすがにそんなことはできず、諦めてすごすごと帰宅しました。

興奮冷めやらぬライブ後

後日、マツモトレコード(『青春のマツレコ』参照)へジョン・ピザレリのCDを買いに行きました。レジカウンターにCDを置くと、店員の女性がすぐにジョン・ピザレリだと気づき

「ライブ行かれましたか? 彼、とてもユーモアのある人で、サイン会でCDのジャケットと同じポーズをして、皆を笑わせたりしてね(笑)」

と話してくれました。ライブ会場でのCD販売はマツレコさんだったようで、こんな裏話を聞かせてもらえるなんて、ラッキー! と帰宅してCDを聴いてみました。

ここで、また怒られるかもしれませんが、正直な感想。ジョン・ピザレリのCDとっても気に入って聴きましたが、やっぱりライブの興奮には勝りませんでした。逆に、CDはダイアナ・クラールの方が断然良い。ダイアナ・クラールのCDは発売されるたびに購入し、それら全てがヘビーローテーション。おそらくジャンルを超えて青春時代に一番多く聴いたアーティストの1人でした。

ライブでは恐い! と思ってしまったあの独特のハスキーローボイスがなんとも心地良い。歌い手の私は、「歌手」として彼女の音楽を聴いているのですが、ジャズピアニストの友人に聞くと、ダイアナ・クラールのピアノは舌を巻くほどうまいらしく、彼は「ピアニスト」として聴いているようでした。

ジョン・ピザレリとダイアナ・クラール。CDとライブの感想は真逆、不思議なものです。

いずれにせよ、今でもこの2人は私の大好きなアーティスト。特にダイアナ・クラールは、今や世界のスーパースターになり、ライブに接することは難しくなってしまいました。当時熊本で聴いたことが夢のようです。自分の音楽の世界が広がった、そんな初めてのジャズライブでした。

BENNY GREEN TRIO

Diana Krall - Fly Me To The Moon

John Pizzarelli Trio - It's Only a Paper Moon


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