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李香蘭の名曲を歌う

私が生まれて初めてレコーディングした曲、それは李香蘭の「夜来香」です。お気に入りの曲で、コンサートでも度々歌ってきましたが、今回3年ぶりとなるリサイタルでも、久しぶりにプログラムに入れます。

私が李香蘭の歌や映画に出会ったのは大学生のころでした。きっかけは、ウォン・カーウァイ監督の映画『花様年華』でした。映画の中で李香蘭の歌が流れるわけではありませんが。


李香蘭にたどり着くまで

この『花様年華』の劇中には音楽がとても効果的に流れます。そのなかでも、周璇が歌う「花様的年華」は特に重要な1曲です。


「ハッピーバースデー」のメロディも聞こえ、耳に残るこの歌。おそらくこの映画を観なければ、聴くことのなかった周璇の歌を聴き、その独特の美声に、歌手としての探求心が働き、周璇と同時代の音楽をいろいろ調べたくなりました。

周璇は1920年生まれ。中国の歌手、女優で、「黄金の喉」などとも呼ばれていた人気スターだったそうです。その周璇と共に「七大歌后」(更にその中でも人気の高い「五大歌后」)とよばれた、1930年代から1940年代にかけて上海で活躍していた女性スター歌手の1人が、そう李香蘭。

李香蘭(りこうらん)
本名:山口淑子
1920年2月12日~2014年9月7日
戦前の中国と満州国・日本・戦後の香港で李香蘭、第二次世界大戦後のアメリカ合衆国ではシャーリー・ヤマグチ (Shirley Yamaguchi) の名で映画、歌などに活躍。日本では、山口淑子として『3時のあなた』などテレビ番組にも出演し、参議院議員も務めた。
日本人でありながら、李香蘭という中国人名で活躍し、中国人だと思われていたため、戦後は中国を裏切った漢奸の容疑で裁判にかけられるが、日本人であることが証明され、日本に帰国する。

李香蘭については、度々ドラマや舞台化されてきたので、ご存じの方も多いと思います。私も、山口淑子・藤原作弥共著の『李香蘭 私の半生』はじめ、さまざまな関連書籍を読み、劇団四季のミュージカル『ミュージカル李香蘭』も観劇、ドラマも観ました。

山口淑子さんの、歴史に翻弄された数奇な人生には、考えさせられることがたくさんあります。しかし歌手である私が注目したのは、やはり李香蘭さんの「歌」でした。伝記によると、オペラ歌手に声楽を習っていたそうで、彼女の録音には、高音を自在に操るテクニックで聴かせる歌もありました。そして独特の節回しにもすっかり魅了され、大学の寮の部屋でよく聴いていたのを、友達や後輩が驚いていたことを思い出します。

今でも広く歌われている李香蘭の代表曲といえば、「蘇州夜曲」「夜来香」です。

私もいつか歌ってみたいと思っていたところ、ひょんなことから、人生初のレコーディングで「夜来香」を歌うことに!
いろんな歌手が歌うコンピレーションアルバムだったのですが、偶然私にこの曲が割り振られ、勝手に運命を感じてしまいました!
そして、その後に作成したメジャーデビューのCD『My World』には、「蘇州夜曲」を収録することができ、この2曲は私の大切なレパートリーとなりました。

10月のリサイタルでは原点回帰、初レコーディングの曲「夜来香」を歌おうと思っています! コンサートホールで聴いていただけたら幸いです。

コンサート情報↓


ちなみに、5月に開催したライブではパイプオルガンの伴奏で「蘇州夜曲」を歌いました。こちらの動画もご覧ください。↓

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