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お湯に愛される

一人暮らししていた時の話。

西武新宿線の某駅、全国的に有名な盆踊りの歌が聞こえ、玄関から西武園の花火がよく見えたアパートで何年か暮らした。

自分が何をやりたいのか分からず...まずは親から自立しようと思って始めた一人暮らし。

バイトで貯めたお金は、あっと言う間に生活費で消えていき、命に関わるぐらい暑い部屋で夏を過ごし(翌年さすがにクーラー付けたw)、

秋過ぎて、冬の寒さにコタツだけで生活した日々。

寒くて部屋の中でも、吐息が白い。

コンビニ弁当食べた後、食器を洗うため仕方なく台所へ。

凍えるような寒い部屋で、水を触るのは嫌なものだ。おそるおそる、蛇口を捻った...

意図せずお湯が出てきた、その何と温かいこと!

これまでの孤独や寂しさまで溶かすような何とも言えない幸福感が手から伝わる。

お湯ってこんなに暖かいんだ...お湯に触るだけで人は幸せになれることを知った。

あの時の幸せな気持ちは一生忘れない。あの時があるから、今の幸せを実感できる。

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