見出し画像

環境問題を理解する: 化学物質のリスクとアセスメント

さあ、火曜日だ。
火曜日は環境問題について書く日だ。
この「環境問題シリーズ」にはボクの考えが入る余地はない。ただひたすら事実を正確に書くことを目指しているが、将来的に新しい考え方や技術が導入され、ここに書いたことは古くなっていくことをご理解いただきたい。

今日は化学物質のリスクとそのアセスメントについて書いていこう。


身の回りに存在する化学物質

ボクたちの身の回りにある製品のほとんどは化学物質を利用して作られている。それは、プラスチック製品や塗料などだけでなく、医薬品や化粧品、洗剤や農薬などもそうだ。

出典: https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/kodomo/h27/files/20-21.pdf

食品には保存料や合成着色料や保存料などが、化粧品や洗剤には防腐剤や界面活性剤が使われている。衣類は化学繊維でできているものが多く、家電製品には難燃剤などが使われており、医薬品や塗料などはそれ自体が化学物質の塊だ。

化学物質の適切な管理

化学物質は、ボクたちの生活に利便性をもたらす。
しかしその一方で、化学物質を利用した製品の「生産~利用~廃棄」のライフサイクルを適切に管理しなければ、環境汚染を引き起こし、人体や生態系に悪影響を及ぼす場合がある。

日本においても、1968年にカネミ倉庫社が製造した米ぬか油にPCB(ポリ塩化ビフェニル)が混入したことによって、その油を摂取したおよそ14,000人に皮膚症状や神経症状、呼吸器症状などを引き起こした、いわゆる「カネミ油症事件」が発生している。この事件は直接的に油を食していない子や孫の世代まで健康被害を及ぼしている。また近年では、住宅用の塗料や接着剤に含まれる揮発性有機化合物などによって引き起こされる、シックハウス症候群が問題になっている。

とはいえ、ボクたちの生活が化学物質の恩恵を受けて成り立っていることも紛れもない事実である。すべての化学物質を否定して生きていくことはできない。盲目的に化学物質を否定するのではなく、リスクの大きいものから対処していくべきである。

化学物質の有害性と環境リスク

「有害性」とは、その化学物質の固有の性質により人や生態系に悪影響を及ぼす能力のことを指す。そして、その化学物質の有害性の程度と暴露量(呼吸・飲食・皮膚接触などの経路で体内に取り込んだ量)で「環境リスク」の大きさを把握し、評価することができる。

何ごともそうだが、なんでもかんでも対策を打つことはできない。正しい方法でリスクの大きさを評価(アセスメント)し、優先順位をつけてリスク削減措置を実施していくことが、効率的なリスク低減となる。

日本においては、2016年に労働安全衛生法が改正され、特定化学物質を取り扱う事業場において、上記の算出方法(リスクの大きさ=有害性×暴露量)でリスクアセスメントを実施することが義務付けられている。

(続きはまた来週)



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最後まで読んでくださってありがとうございます。

これまで書いた記事をサイトマップに一覧にしています。
ぜひ、ご覧ください。

<<科学的に考える人>>


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?