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環境問題を理解する: 生物多様性保全の国際協力の枠組み

さあ、火曜日だ。
火曜日は環境問題について書く日だ。
この「環境問題シリーズ」にはボクの考えが入る余地はない。ただひたすら事実を正確に書くことを目指しているが、将来的に新しい考え方や技術が導入され、ここに書いたことは古くなっていくことをご理解いただきたい。

今日は「生物多様性保全の国際協力の枠組み」について書いていこう。


先週は、日本において種の絶滅が危惧されている生物に、どのような対策が打たれているかについて書いたが、今日は生物多様性保全の国際協力の枠組みについて書いていこうと思う。

国際的な生物多様性の保全に関する枠組みには以下のようなものがある。もちろん日本も参加しているものなので、日本の独自の取り組みなども加えながら書いていこうと思う。

ラムサール条約

ラムサール条約とは、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地、およびそこに生息・生育する動植物の保全を促進することを目的とした条約である。1971年にイランのラムサール市で採択(1975年に発効)されたことから「ラムサール条約」と呼ばれ、2024年6月現在、150カ国以上が参加している。

日本は1980年に加入し、釧路湿原、尾瀬、琵琶湖、志津川湾、葛西臨海公園など55か所が条約湿地として登録されている。日本独自の取り組みとして、湿地の保全と利用に関する国内指針を策定している。

ワシントン条約

ワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)は、絶滅のおそれのある野生動植物種の国際取引を規制するもので、現在約4万種がその対象となっている。1973年にワシントンD.C.で採択(1975年発効)されたことから「ワシントン条約」と呼ばれ、193の国と地域が締約国となっており、日本は1980年に条約を批准し、締約国の仲間入りをした。

世界遺産条約

世界遺産条約は、正式名称を「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」といい、1972年にパリで採択され、1975年に発効された国際条約だ。2024年6月現在、195の国と地域が締約国として参加し、1,199件の登録がされている。

事務局は「世界遺産センター」と呼ばれ、ユネスコが管轄しており、その目的は、文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界の遺産として、損傷、破壊等の脅威から保護し、保存するための国際的な協力、および援助の体制を確立することである。

世界遺産は、文化遺産(歴史的建造物、遺跡、文化施設など)、自然遺産(自然景観、自然現象、動植物の生息地など)、複合遺産(文化遺産と自然遺産の両方の要素を兼ね備えたもの)に分類されている。各国の世界遺産の保護対策については、締約国の分担金からなる世界遺産基金によって、ユネスコを中心に進める仕組みとなっている。

日本は1992年に締約国に加入しており、世界遺産の保護活動や啓発活動に取り組んでいる。2023年時点で20件の文化遺産、5件の自然遺産、合計25件の世界遺産が登録されている。日本の世界遺産として登録されているものは、法隆寺地域の建造物・日光の社寺・姫路城・白川郷の集落・原爆ドームなどがあり、富岡製糸場や富士山などが登録されたことは記憶に新しい。

生物多様性条約

生物多様性条約は、地球上の生物多様性の包括的保全と持続可能な利用を推進するため、①生物多様性の保全、②生物多様性の構成要素の持続可能な利用、③遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分、の3つを目的とする条約だ。

1992年にケニアのナイロビで開催された国連環境計画(UNEP)の会合において採択され、「生物多様性条約」が作られた。この条約に基づいて、先進国は開発途上国の取組を支援する資金援助を行い、先進国の技術を開発途上国に提供するなどの支援を行う。また各国が協力して、生物多様性に関する情報交換や調査研究を行うことになっている。

(続きはまた来週)


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