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競争戦略論[Ⅰ]を読む - ⑨IT導入が競争力(収益性)に与える影響

さあ、水曜日だ。
毎週水曜日はマイケル・ポーター著「競争戦略論」をベースに、ボクの気づきや思考をアウトプットするシリーズを展開している。

先週は「独自戦略にはトレードオフが不可欠」という記事を書いたが、今週は「IT導入が競争力(収益性)に与える影響」について書いていこうと思う。


バリューチェーンとは

ITについて掘り下げる前に、まずは「バリューチェーン(Value Chain)」について整理しなければならない。

バリューチェーンとは、企業が行う活動を、技術的あるいは経済的な特徴によって分類したものだ。「バリューチェーン」は、各活動のどこでどのような価値が創造されているかに着目し、企業価値創造の最適化(増大化)を図るものである。

https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/sp/contents/column/20220708_value-chain.html

業界による主活動と支援活動の変化

この「主活動」の部分は業界によって変化する。
例えば、上記の図のバリューチェーンは製造業のものだが、これが小売業であるならバリューチェーンは以下のようになるだろう。またそれに合わせて「支援活動」の中身も変化するはずだ。

商品企画 → 仕入れ → 店舗運営 → 集客/販売 → アフターサービス

小売業のバリューチェーンの例

また、サービス業であるなら、それはもっと異なったものとなる。

商品企画 → 営業 → サービス提供 → 料金徴収 → カスタマーサポート

サービス業のバリューチェーンの例

ITを導入する2つの理由

ITを導入すべき理由が2つある。

ひとつは、各活動の中の「どの活動がどのくらいの価値を生み出しているのかを可視化する」ことだ。そこで発見した価値の大きさがその会社の独自戦略となり、逆にどこでトレードオフを実現するかを判断する基準になる。

そしてもうひとつは「各活動の連携をスムーズにする」ことだ。人を介することを減らすことによって、人的コストの削減ができ、バリューチェーンのスピードアップを実現することができれば、当然最後に生み出される「利益」が最適化(増大化)されることになる。それはすなわち、自社の競争力を上げることにつながるのだ。

ベンダーやサプライヤーのIT

多くの中小企業は、どこかの大手企業のサプライチェーンの一部に組み込まれている。サプライチェーンとは、製品の原材料・部品の調達から販売に至るまでの一連の流れを指し、大手企業は(ベンダーやサプライヤーなどの協力会社を跨いで)モノの流れを捉えることで、彼ら自身の競争力(収益性)を上げようと目論んでいる。

つまり、大手企業はより大きなバリューチェーンの中で、ITを活用してコスト削減とスピード化を図ろうと考えていて、ベンダーやサプライヤーの中小企業はその一部に組み込まれているのだ。その中で、大手企業が進めるIT化に素早く対応していくことは、「クライアントがクライアント自身の競争力を高めることに、バリューチェーンの一員として積極的に協力する」という意味において重要だ。

クライアント企業のIT化を素早く受け入れることは、自社のバリューチェーンのIT化を進めることとは目的が異なる。それは、自社の競争力(収益性)を上げるということよりも、クライアントとの信頼関係を育み、長く取引を進めていくために重要であると考えるほうが良い。

(続きはまた来週)


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