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「ファスト&スロー」を読む - ②システム1とシステム2の相互関係

さあ、木曜日だ。

木曜日は心理学を取り上げていきたい。
このシリーズでは、ダニエル・カーネマンが書いた「ファスト&スロー」という本を取り上げて、ボクが読み進めながら受けたインスピレーションを書き連ねていこうと考えている。

ご興味おありの方は、ゆっくりお付き合いいただけると幸いだ。


先週のお話の中で、人が直感的な判断を下すに至るプロセスは「速い思考=システム1」「遅い思考=システム2」の二つで行われていると書いたのだが…

脳の作業スペース

この本(ファスト&スロー)の中においては、その二つをニックネームとして使用するそうだ。その理由の一つは、直感的に(つまりシステム1的に)ものごとを組み立てたり解釈したりするときに、統一された名称の方が適性があること、そして二つ目は、使用する名称(単語)が長くなると脳の作業スペースを余計にとってしまい、考えるスペースを削ってしまうからだ。

システム1もシステム2も、ボクたちが目覚めている間、ずっとオンになっている。しかし、システム1はフルオートで稼働しているが、システム2は通常省電力モードで稼働している。

そして脳の働きにはキャパシティがあり、システム1+システム2の合計がそのキャパを超えることはできない。つまり通常省電力で稼働しているシステム2の動力を引き上げようとすると、必然的にシステム1の稼働力が低下するという仕組みになっているようだ。

システム1とシステム2の相互関係

システム1は、動物的な先天的スキルである。
周囲の世界を感じ、ものを認識し、注意を向け、損害を避け、蜘蛛を怖がる。自国の言語で書かれた簡単な文章を一瞬で理解し、大きな音がしたら反射的にそちらを振り向く。そんな稼働をするのがシステム1であり、ボクたちはこのシステム1のスイッチを切ることはできない。

それに対し、システム2は後天的なスキルだ。
例えば、狭い駐車スペースに車を停める、納税申告書を記入する、自分の立ち居振る舞いが適切かどうかを検証するなど、そこに意識を集中させないとできないことを行う際に稼働するシステムだ。そして、このシステム2の重要な役割は、自動運転しているシステム1の直感的思考のエラーを監視し、そこに強制介入して正しい決定を下すことである。

上記のような(システム2が強制介入する)場面において、誰かに話しかけられても、その言葉は全く耳に入ってこないものだ。それはシステム2がシステム1(この場合は他人の発した言葉を瞬時に理解する仕組み)の稼働領域を食ってしまったからだ。

普段はシステム1がメインだが…

ボクたちはシステム2をメインに置いて生活することはできない。システム2はのろくて効率が悪いので、システム1が定期的に行っている決定を肩代わりすることはできないからだ。ただし、システム2で行うべき作業を、訓練(何度も何度も繰り返すこと)によってシステム1に移行させることができる場合がある。

それが、プロのスポーツ選手であったり、マジシャンであったり、棋士であったりするのだろう。その(移行することができた)システム2の思考が複雑であればあるほど、また他の誰も追随できないような領域であればあるほど、その人はその分野で「一流」の称号を得ることができるのだと思う。

(続きはまた来週)

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