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『ゴースト・オブ・ツシマ』発売3周年記念配信 まとめ

日本時間で2023年7月18日。『ゴースト・オブ・ツシマ』発売3周年を祝して、境井仁役ダイスケ・ツジ氏による5度目のプレイスルー配信が開始されました。COVIDから病み上がりきってないタイミングだというのに配信なんかして大丈夫なのか…とハラハラしながら見始めたところ、あにはからんや。「主演俳優による開発裏話スペシャル」と銘打ってもよさそうな大充実の内容になっているではないですか。以下、10月まで断続的に行われた配信から興味深かった部分を抜粋します。当該配信の初回アーカイブはこちら




◆『ツシマ』3周年記念Q&A


3周年を祝ってツシマに関する質問を募集したところ、ドッと集まってきてました。

Q:イベントシーンで今とは違うお芝居をしてみたいところはありますか?

A: たぶん全部じゃないかな。ゲームの全体像を把握すると「一からやり直したい」みたいになってくるので(笑)。実際に撮影してる最中は色んなシーンをきれぎれにやっていて、ストーリー順の通りではなかったんだよね。振り返ってみると「あのシーンのあるべき形ってこうだったんだな」ってことがわかるからさ。

Q:志村の願いを叶える方のラストシーンの撮影は大変でしたか?

A: そんなには。情緒をかき乱すシーンってことでの難しさはあっても、それ以外はただ脚本に書かれてるシーンを演じるだけだしね。あそこだけが特別難しいってことはないかな。

Q:今だから話せる、実は好きじゃないシーンはありますか?

A:おっとぉ。そうだなー、自分がモーキャプで参加できたシーンはみんな好きだよ。開発チームのネイト(・フォックス、クリエイティブディレクター)とビリー(・ハーパー、アニメーションディレクター)と一緒に仕事できただけでも本当に楽しかったし。でも好きじゃなかったシーンもあるにはある。確かね、何度も何度もやり直したシーンがあったんだよ。たぶん今回の最初の記念配信でもそこまで行けると思うけど、僕が最初の闇討ちに挑む直前の、ゆなとのシーン。ゆなに向かって俺も闇討ちいけるぞって話すとこ。かなりの序盤でしょ。そのシーンを、撮影があるたびやり直してたんだよね。最低でも5回ぐらいはやってたはず。

(※訳註: 再撮影を重ねた背景がなんとなく窺えるディレクター陣の解説はこちら)


Q: ゲームから3年経過した時点での仁は、精神的にも肉体的にもどうしてると思います?

A: 2度目の蒙古襲来がいつかは覚えてないんだけど、3年たてば対馬は平穏をとり戻してるんじゃないかな。でも仁に関していえば、いまだに伯父上とのことが心に重くのしかかって落ち込んでるんじゃないかと(笑)。そこを何とかしようとまだ悩んでるところだと思う。たぶん人助けに専念して、自分のことは後回しにしてるね(笑)

Q: ゲームの最後の選択に関しては、「正史」の方を選びましたか?

A: 初回は伯父上を助命する方を選んでたんだよね。多分そっちが「正史」になるんだと思う。たださ、Discordで議論になった時、本来ならふたりとも死んでたんじゃないかって説を唱えてた人もいたじゃない(笑)。それ見てガラッとダークになったもんだなぁと思って、本当にはこうなってたんじゃないかという展開を考えてたんだけどさ。仁が命をとらなかったとしても、志村殿は切腹してたんじゃない? あのすぐ後、その場で。もしかしたらそっちの方がいいエンディングだったかも。どちらの選択、どちらの正史を選んでも志村殿は死ぬことになるもんね。侍ならどうするか、彼らの信条を考えても、やっぱり志村殿は自害してたはずなんだよ。大変な恥辱を感じてれば尚更。でしょ? 仁の手を借りるまでもないはず。あの時点での志村殿にとっては二重の恥辱だもん。仁と戦って負けた上に、とどめも刺してももらえないって。そこまでの恥辱を受けながら生きながらえることなんて、彼にはできるはずがない。志村殿が僕らの思うような侍の典型だったとしたらね、ってそれも正確な侍像ではないかもだけど。

Q:仁が(米国の)高校生だったら、どういう派閥に属していたと思いますか?

A: どういう派閥? アート好き派閥でしょう。たぶんバンドとかやってる。バンド派閥ね(笑)。担当パートはフルート。

Q:境井仁役に決まったという連絡を受けたときの気持ちは?

A:これは前にも答えたことある質問なんだけど、当時は脱出ゲームの運営会社で働いててね。今のモデレーターのひとりってその頃のボスでもあるんだよ。で、仕事してたら電話がきて、「やったーあの仕事決まったー」って(笑)。昼間の仕事やめられるかも、とも思った。実際そうなったよ。知らせがきて嬉しかったけど、その時はSucker Punchがどれだけ実績豊かなスタジオかも知らなかったんだよね。だからゲームの主演に決まったぞーってワクワクはしてても、どういうことかはよくわかってなかった。

Q:ビンタは実際されたんですか?

A:されてません。撮影中は頭にヘッドマウントカメラを装着してるので、実際にビンタなんかしたらカメラ落ちちゃうからね。

Q: もしご自分が仁だったとしたら、冥人の道と誉ある侍の道のどちらを選びますか?

A: 僕だったら、堅二の道を選んでとっとと逃げてますね。戦ったりなんかしないよ、向こうは鋭利な刃物持ってるんだよ? 当たり前じゃん。

Q: もし仁に子供がいたとしたら、子供にはどんな生き方をしてほしいと思うでしょうか?

A: えー、どうだろう。(しばし思案して)自分よりまた一段と自由に生きて欲しいんじゃないかな(笑)。仁自身も思いのままに生きることを大事にした人なわけだし。我が子にはやりたいことをやれ、って言うんじゃない?

(質問ではないものの「仁とゆなの子供」というコメントを拾って)

A: これいい質問になるかも。仁とゆなはその後結ばれると思うか。わからないな。いい友達同士でいると思うけど、ふたりをシップするかというとどうだろう。他に誰かいるかっていうと、仁は巴みたいな相手とちょっと付き合ってみても良かったんじゃないのかねぇ。ほんの気晴らしに。まあ過去に恋愛関係になった相手はいたみたいだけど。温泉シーンのセリフにも昔の恋の話? みたいなのがあったし。というか僕の思うシップが何なのかというと、誰かと誰かが完璧な関係でいなきゃならないみたいなこと? 鎌倉に行ってしまった昔のガールフレンドね、うん。あ、シップってrelationshipの略なのか。そうそう、そういうこと。長続きするだけが恋愛関係じゃないでしょ。ものすごく長くなくても、ってそれは僕が思ってるだけの話かもだけど。

Q:役作りにのめり込むタイプの俳優さんはなかなか役が抜けきらないことがあるそうですが、ご自身や周りの方がそういう経験をされたことは?

A: 僕に関してはまったくない。とくにビデオゲームの仕事をしてる役者だったらみんな、確実にないんじゃないかな。例外は『Cambodian Rock Band』という、僕も出た舞台で主人公を演じた俳優くらい。クメール・ルージュの虐殺の話で、彼は真剣に取り組んですばらしい仕事をしたんだけど、ステージ外では気分が落ち込んだりもしてた。大変だよね。でももう回復して、今でも同じ舞台に出てるんだよ。その人を除けばないかなぁ。ほら、モーキャプにはボディースーツとヘッドカメラがつきものでしょ。撮影が終わって一式脱ぐと、演技してる時とそうじゃない時のオンオフの境界がかなりハッキリするんだよね。芝居の最中はそりゃもう色んなものを装着してるので。だから、メソッドアクター(カメラ外でも役になりきる手法を使う俳優)にはモーキャプの仕事は無理なんじゃないのかねぇ。小道具も何もなしで、ボディースーツとヘッドカメラつけてどうやってメソッド演技するの? っていう話だよ。

Q:子仁の声の作り方をシェアしてもらえますか?

A: (やや高めの声で)こんなかな? 子供時代の仁の声はこんな感じで作ったよ。はいこれ子供の仁ね。(チャットから「子仁、イゴールと変わらないんじゃ」とツッコミが) (笑)「伯父上、仁はタコが食べたいのです。タコをお願いします伯父上」

(※訳註: 「イゴール」とはツジ氏が配信中ランダムに扮することのある、へそ曲がりの猫キャラ。ブロードウェイの舞台『ライフ・オブ・パイ』出演のためLAからNYへ転居した後、よく使っていたネコ耳ヘアバンドが行方不明になってしまったため、現在は黒ヘッドホンが代用されている)

Q: 境井仁タトゥーを入れてる人と対面するってどんな気持ちになるんですか? 自分ならビビり倒します。

A: 最近出演したコンで僕についてくれたハンドラーさん──お金の支払いとかを色々手伝ってくれる人のことなんだけど──本職がセラピストでね。色々話をした中で彼女の言い方を借りれば、「根本的に仁は、自分の見かけを使っていたとしてもキャラクターであり、あくまでも別人」。だからビビるってことはないかな。そもそも「ビビる」っていう言葉自体もドンピシャではないというか。今この時も自分のプレステで仁の顔見ててクールだとは思うけどさ、実物の僕とは違うからねぇ。あくまでキャラクターだから、「ビビる」ってこともないかな。どうだろ。あ、でもね。もし素の僕、いち俳優の僕をタトゥーとして入れる人、知り合いでも何でもない赤の他人にそういう人が出るぐらい僕が有名になったとしたら、確実にビビると思う。たとえばポール・ラッドで考えてみると──ちょうど彼のこと『オンリー・マーダーズ・イン・ザ・ビルディング』で見てるとこなんだけど──ポールのタトゥーを入れてる人はたぶん、どこかしらにはいるわけでしょ。『アントマン』でもなければ『クルーレス』に出てた時の彼でもない、何のキャラでもないただのポール・ラッドのタトゥーね。もし誰か、たとえばみんなの中で自分の体にダイスケ・ツジのタトゥーを彫ってる人がいたとしたら、そういう人とは直接顔合わさない方がいいような気がする(笑)。そういうのだったら僕もビビるよ。(変声で)「へ? なんで僕のタトゥーを自分の体に? ファンだから? そう言うならそうなんだろうね」って。でも仁のタトゥーなら大丈夫。平気。っていうのが僕の気持ちかな。

Q: ゲーム内で自分の体が露出されるとわかった時はどう思ったんでしょう?

A:どういう経緯でわかったかというと、ツシマのメインのプロデューサーだったゲイル(・オダ)って人がいて、確か彼女からのメールだったんだよね。それに温泉へ入ろうとしてる仁のお尻が映った画像が添付されてた。もし僕がお堅いタイプの人間だったら「そういうのは困ります」みたいな反応になったりしてたのかねぇ。実際には全然気にならなかったよ。僕、温泉も大好きだからさ、入るならそりゃ脱ぐでしょ。面白いし、ゲーム内で温泉なんて最高のアイデアだと思った。だから大賛成だったなぁ。あとあれはあくまでゲームの中の尻であって僕の尻じゃないのでね。前々から言ってることだけど、仁の尻は僕より引き締まってるし大きめだもん。実物とは違うんだし、不当に侵害されたような気はしてません(笑)。


◆3年後の『ツシマ』開発裏話

・冒頭の状況説明モノローグ

「実は僕、冒頭部分の仁のモノローグはいらないんじゃ? って意見だったんだよ。でもゲームだから基本情報はおさえておかないと、というのが開発チームの考えだった。もっともな意見ではある。最初はセリフなしでいけると思ってた。ビジュアルだけで語らせればいいと。ただやっぱり映画とは違うから、それは避けたかったみたい。……でもどうだろ、こうして見るとやっぱりビジュアルだけでもいける気がするなぁ」

・ゆなとの初対面

「さっき話題にした僕がやり直したいシーンって、ゆなと会った後のとこなんだよね。……あ。ここ、ここ。(仁が地頭の甥と気づいたゆなが、志村はおそらく生きていると教えるシーン)この少し前には志村殿がコトゥンに攻撃されるシーンがあって、もしかしたら志村殿はもう生きてないかも、みたいな見せ方になってたでしょ。だからここは仁にもっと驚きがあってもよかった気がするんだよ。何度もプレイした今なら、志村殿が生存してることも承知の上だけどさ」

・コトゥンとの初対決

「(仁に頬を傷付けられたコトゥンが激昂し、槍で2度刀を強打するシーンにて)今のあの瞬間に仁の刀が折れることになってたんだよ。元々はそういう展開になる予定だったって意味ね。で、その後に刀を修繕するクエストみたいなのが入ることになってた。たかに直してもらうんだったかな? 忘れちゃった。でも見ての通り、それはボツになったと」

・回想シーンの境井正葬儀

「このシーンもね、プレイヤーは父上のなきがらを火葬する予定だったんだよ。たいまつか何かで火をつけるっていう。それもボツになった。たぶんトゥーマッチだと判断されたんだろう。どうしても入れなきゃならないわけじゃないしね」

・初めての闇討ち前

「さっき話題に出したとこね。ここです。何度もやり直したシーンなんだけど、ビリーから聞いたところでは結局、最初の1、2回目のテイクのどれかにおさまったみたい」

・安達晴信役フェオドール・チンは何度死ぬ?

竜三の「門を開けろ!」シーンにて。木杭に縛られた平民が火を放たれて悲鳴をあげるのを見つつ、
「この人演じてたのはフェオドール。彼がゲーム内で何回死んでるか集計してみたいな。このキャラはまず間違いないよね?(チャット欄の典雄役アール・T・キムより「最初が安達殿、今の門のとこの人、あと元は境井正として死んでたのも彼じゃなかった?」との指摘が)そうだったかも。うん、そのはず。ということは今ので3回目になるのか。(再びアールより「みんなフェオドール死なすの好きすぎる」)やっぱ死に方が上手だからさー。今度『フューチャラマ』にも出るってSNSの投稿見かけたよ。(安達政子役)ローレンのキャラのお父さん役やるんじゃなかったかな、アジア系のキャラなんで。他のだったっけ? 新しいのはまだ観てなくてよくわからないんだけど。うん、これであの番組のツシマキャストはふたりになった(笑)」

・鑓川クエストでの演説

鑓川クエ最大の山場、仁が民衆の決起を促すスピーチについて。テムゲ戦後、鑓川氏政の城の前まで来ていわく、
「鑓川でのスピーチってね、元々はここでやる予定だったんだよ。こういう階段を降りて、(城への階段を上がり、改めてゆっくりした足取りで降りつつ)このへんぐらいからかな? 降りながらスピーチをやってた覚えがある。こんな風に、セリフを言いながらね。ゲーム的には冥人の型が解放されて、蒙古軍を撃退したところだから、そこは変えたんじゃないかな。やっぱり町に戻ってくるところでやることにしよう、って流れになったんじゃないかと。でも元々は仁が高いところから降りてくるっていう、なかなかクールな演出だったんだよ。カッコいいアイデアやビジュアルであっても、ゲーム的にはうまくハマらなかっただけで。よくあることだと思う。元々はある特定の形を想定してても、ゲーム的な側面を踏まえて、ストーリーテリングの一環としてうまく統合しなきゃならなくなってそのシーンが別の形に落ち着くっていうのはね。ただ再撮影した記憶はないから、撮影済みの素材をうまいこと使ったんじゃないかな」

・百合クエ中の正の墓前ハイクスポットにて

「『座禅をしたる かの日々に』? 座禅とかなかったはずだけどな……まあ、あったことにしとこ。バックストーリー的な話ね」

・毒の使用の是非を百合と論じるシーン

前も話したように仁の父親、正の人物像はゲームを作るうちに変わっていった。僕もその流れに従ってきて、今のシーンを演じてた当時に何を考えてたかは覚えてないんだけどね。僕にわかってたのは父親に目の前で死なれたことと、父親が暴力的な人間だったってこと。人から恐れられるようなね。仁の父親に対する気持ちは、ゲームだと彼の命を救えなかった罪悪感が前面に出てる。さっき見た(正の絶命シーンの)フラッシュバックにしてもそう。でも、自分が父親のような人間になることへの恐れもあったと思うんだよ。少なくとも僕はそう解釈してる。後に壱岐編でわかったところでは、正も欠点のある人間だったわけでしょ。目的のためなら非情な手段も辞さなかったりとか。でも本編のエンディングまでには、仁も結局そういう人間になってくんだよね。まあそれも本人なりの善の貫き方なんだけど。仁は間違いなく、自分の父親よりいい人間になりたかったんだと思うよ。誰しもみんな、そうであるようにさ」

・あまり笑わない仁

「この件に関して正直言うと、声優として僕が苦手にしてるのって、笑い声なんだよ。仁があんまり笑わないのも、ひょっとするとその影響かも。僕、自分の笑い声を信用してないからさ。オーディションでも自分の耳にはなんかウソくさく聞こえちゃう。そう、自分の笑い声って間が抜けて聞こえるよね。というか思うんだけど、普通の人はキャラクターやテレビドラマみたいな笑い方してなくない? 悪漢笑いとかしないでしょ? (実演して)フッハハハハ! みたいな笑い方、そうそうする? でも配信中に何度もやってきたような普段の僕の笑い方って、VOでやるとしっくりこなくて(笑)。ホラ今の! このほぼ聞こえないのが僕の笑い方ね。……よし。仁の声って配信ではあまりやらないけどやってみよ。どんなだっけな。(以下、ガチ境井仁ボイスを披露しつつ仁らしい笑い声を模索) 「グラシアス。はっはっはっはっ』。ほら(笑)ウソっぽくなる。『礼を言うぞ、卯麦御前。いい鎧を着ておるな。フッフッフ……はっははは』、これも違うなぁ。ゆっくりか。『は、は、は……』、温かみのある無難な笑いって感じ。仁の笑い声は別に低音である必要ないかもだけど、それやるとディレクターからもっと低めでやってみようかって言われたりするしなぁ。ん? 「サイコな仁の笑い声」? 『黙れヤマト(琵琶法師の英語版名)、ふっはははは!』、うん、今のはサイコ」

・破の段の結末、志村への投降シーン

「内部情報のあれこれをひとつ。志村殿に投降するシーンでの元々のオプションは、仁が煙玉を使って逃亡することになってた。捕縛されるんじゃなしにね。この話してるのがバレないよう、Sucker Punchが見てませんように! 今となっては大した情報じゃないから! でもストーリー的には投降した方がいい展開だよね。あとあんな敵地の奥まで来といて煙玉余ってるのかな? って問題もあるし」

・愛馬との永訣シーン

「(ファルセットで「The Way of the Ghost」をひとしきり熱唱してから)……今のは胸に迫るシーンだから、すごく話題になってたんだけどさ。正直僕にとっては、さほど記憶に残るシーンでもなくってね。何してたっけ? って思い出そうとしてるんだけど。リアルタイムでは多分、ここまで感動的なシーンになるとは思わずにやってたんだろうなぁ。それか単に忘れたか」

・コトゥンの末路

「前に話したような気もするけど、知らない人むけに言っておくね。コトゥンの最期は元々、もっとむごたらしい死に方だったんだよ。しかもちょっとギャグっぽい『モータルコンバット』風の最期(笑)。ホラ、バトルの場所が船の上だったでしょ? コトゥンに向かって刀を突き刺すとこまでは一緒なんだけど、刃がなんかあのちっちゃいヤツに引っかかって抜けなくなるんだよ。それでコトゥンがどうするかというと、船が沈没し始める中、僕をつかんで離そうとしなくなるわけ。ようは仁を道連れにして溺死させてやろうって魂胆。そのまま船が沈めばふたりとも死ぬ状況ね。それで──あっ。僕をつかむんじゃないや、刀をつかむんだった。コトゥンは仁が刀を置いてくわけないって見透かした上でそうするんだよね。なので『刀を離さぬか!』ってなった後、仁が近くの小舟だったか、帆だったかからロープを引き寄せてコトゥンの首に巻きつける(笑)。どこかを切り離すとロープが巻き上がって──ホント『モータルコンバット』風で、現実にはまずありえないんだけど、その拍子に刀が刺さったままのコトゥンの体も持ち上げられて(笑)、刀が入ってるとこから真っ二つにされる、っていう。今こうして話しててもバカっぽいな、ありえない死に方だ。でも元々はそんなだったんだよ。もちろんそのルートは選ばれなかったわけだけど(笑)。あとね、コトゥンの首をはねるシーンのモーキャプはやってなかったから、最初にプレイした時はビックリしたな。『あっそうなんだ、首はねるんだ。なるほど。不意つかれたけど了解』って。とまあ、みんながツシマのファンだから紹介してみた話でした。(驚くファンの反応を見て)あれ、初披露だったみたいだね」

・船が沈んだ後

「あとこの部分、船が沈んだ後の仁がどこに行ってたかってミステリーもあって、次に行くまでもっと時間がかかってたんだよ。船が沈んで死にかけたりとか。サクッと戻ってきてゆなとのシーンに入るより、プレイヤーには仁もしかして死んだ? とハラハラしてもらおうっていう工夫ね。でも結果的には、すんなり次のシーンに行く方が選ばれた。開発チームはそういう正しい選択を色々と下してきたんだよね」

・志村との対決

「(赤エンドの最後、仁が静かに歩き去るシーンについて)撮影の最後の方全般、記憶がおぼろげでねぇ。本当に色々と大詰めのとこまできてたので。コトゥンを倒すシーン、志村を死なせるシーンと助命するシーンが本当に難しかったことは記憶にあるんだけど、あんまりちゃんとは覚えてないな。撮影したのは覚えてるんだけどね? その2シーンに関して追加の裏話はとくにないです。ただひとつ話すとしたら、僕は開発チームが最後を選択形式にするとは思ってなかったってこと。両方収録したのはわかってても、プレイヤーに選択させるとは思ってなかった。いや、もしかするとそう言われてはいても、僕の方が「まあ本気じゃないだろう」と思ってたとかね。志村を死なせるか救うかはプレイヤーに選ばせるんじゃなく、開発チームがどっちか選んで使うんだろうなって考えてた。それ以外には、残念ながらシェアできる裏話はないかなぁ。普通に撮影しただけだった、うん。あとは志村と戦う前の『誉を捨てたな』『誉が何だとおっしゃる(原語は"You are a slave to it.")』のやりとりね。あそこは丸々、セリフが違ってるテイクもあったんだよ。アドリブってわけじゃないけど、僕らカットシーンでは別バージョンも色々試してみてたので。たとえば僕が志村殿に何とか戦いを思い止まってもらおうとして切々と『そのような必要がどこにあるのです』って言ってみたりとかね。どうだろ、誉の問題についてはどう感じていいかわからないとこもあるんだけど、最終的にはあの書き方の通りになった。ファンのみんなが気に入ってくれたんなら、それが正解だったってこと」

・原語版での仁のアクセント

こちらは伝承クエスト「内経の呪い」プレイ中、天狗とのバトルが行われる試合場(dueling ring)へ移動しながらシェアされた情報。
「芝居オタクのこぼれ話。イギリス英語って流音のuを使うでしょ。アメリカ英語のduel(duː.əl)じゃなくduel(dʒuː.əl)、あるいはduke(dúːk)とduke(djúːk)みたいに。仁の声をよく聴いてもらうと、僕も流音のuを使ってることが多いのがわかると思うんだけど、そういう発音を使ってる最大の理由は、僕が一応シェイクスピア俳優の端くれ(※)だってこと以外にもとある言葉がきっかけになってて──みんなに当ててみてもらおうかな。どの言葉きっかけで普通のuじゃなく流音のuを使うことにしたのか。まあまあ楽に察しがつくと思うけど、(チャット欄にいた典雄役アールが『duty』と即答) ってありがと、そりゃアールはすぐピンと来るか(笑)。いいなー、それでこそ役者仲間(笑)。そう、その『duty(務め)』って言葉が、流音の方のuを使うことにした最大の理由。なぜかというと普通のuだと、どうにもしっくり来ないから。とくに侍のゲームに出演するんなら必須の単語でしょ? 出さないわけにはいかない言葉だもんね。
で、今まさに『dueling ring』へ向かってるわけだけど、この言葉のuの発音はどっちがいいのか迷ってねぇ。大部分でイギリス式発音を使ってたんだけど、dueling ringの場合、デューウエル、デュー…こんな感じに難しくなることもある。たまにアメリカ式発音を使う時もあったんで、結局そっちでいくことにしたんだ。『dueling ring』に関してはアメリカ式の方が合ってるねってことで。不思議な言葉だよね、『dueling ring』」

(※訳註: シェイクスピア作品を継続的に上演する劇団「オレゴン・シェイクスピア・フェスティバル」は、ツジ氏の古巣のひとつ。6シーズンの間に『リア王』の道化、『夏の夜の夢』のパック、『終わりよければ全てよし』のバートラムなどを演じていた)

・石川先生、幻の小茂田ニアミス

「(石川クエをプレイしつつ)このゲームにはお蔵入りネタが色々とあるんだけど、開発初期に収録した素材で使われなかったものがたくさんあるんだよ。これ話したっけ? 小茂田浜の戦いの前に来るシーンには、今とは違うアイデアがいくつかあってね。そのうちひとつは、志村殿が戦の前の景気づけに配下の郎党と乾杯する案だった。戦の前の晩とかそれくらいに。で、そこで仁が石川先生と弓の訓練をすることになってたんだよ。戦いを前にして諸々準備しておく案ね。でも、Sucker Punchが今の、いきなり実戦に放り込まれるバージョンを選んでくれてよかったと思ってる」

・ちょっとどうかと思ったボツクエスト

「ボツになったサブクエストの中にはストーリー的にしっくり来なくて、違和感があるものもあった。内容としてはとある父親と、行方不明になった娘の話。仁と父親で娘の居場所を突き止めるんだけど、娘は確か自分を蒙古に売った、みたいな理由で父親をなじるのね。怒りがおさまらない娘は結局父親を手にかけて、そのクエストの終わりは仁がいつもの『安らげることを願う(I hope you find peace)』みたいなセリフを言って立ち去るっていう……(笑)。脚本読んで気になったのは『えっその後の成り行きは見られるの?』ってことだったんだけど、『いやないよ、単発のサイドクエストだから』って返事でね。そんなわけで僕からは『こういうストーリーだと仁の印象が悪くなるし、引っかかる』って主旨のことを伝えさせてもらった。だって娘が実の父親を殺すのを目の当たりにしたとこなわけでしょ。ホンットひどい親だと思うし、娘の方は(現代なら)手厚いセラピー受けなきゃいけないような状況じゃない。そんな子を置いてどっか行くなんてありえない(笑)。そりゃね、ゲームのクエストには『あれっ胸糞展開になったなー! それじゃ次のクエストが待ってるんで、自分はこのへんで!』みたいなとこあるよ?(笑) そこは理解してるんだけど、問題のクエストで僕がとくに引っかかったのは、子による親殺しのストーリーだったから。それって仁にとっては、思うところも考えるところも山ほどある話なわけでしょ。だから僕にはどうしても、仁がそういう子を置き去りにするとは思えなかったんだよね。代案もいくつか出したよ。娘が父親を殺すんじゃなく、父親と縁を切るならどうだろう? みたいに。『私はあんたを捨てる、一生許さない』って展開ならまだわかる。でも親殺しとなれば、続きがないと僕としてはしっくり来ない。そこはごく率直に話をさせてもらって、結局はカットされることになった。ただし、音声の収録自体はしたよ。俳優として求められてる仕事だからね」

・典雄クエ「三行と三惑」エンディング

対馬の民も蒙古も、痛みに苦しむ者を等しく救いたいと語る法心とのイベントシーンを見ての一言。
「ボツになったクエスト、またひとつ思い出した。蒙古兵のひとりがケガを負ったところを日本の女性から手当てを受ける話。確かふたりは恋愛関係で、襲来の後に出会った仲だったはず。蒙古の中にも人間味のあるやつがいる、みたいな複雑な話だったわけだけど、カットになった。多分このゲームであっても話がややこしくなりすぎないようにっていう配慮だったんじゃないかな。悪役に感情移入しすぎても何だし、悪役は悪役らしいままでいてもらおうって。たぶんだけどね。ただ、声の収録をした覚えはないんだよ。脚本を見たのは確かなんで、収録までは至らなかったんじゃないかな」

・堅二の愛馬「みよ」

以前シェアしたように、堅二の馬のみよ(原語版では『みこ』)は元々はロバの設定だった。ジェームズ(・ヒロユキ・リャオ、堅二役)も残念がってたんだよね。たぶん史実とのかねあいが原因なんじゃないかな。当時の日本にはいなかったとか」

(※訳注: 大陸では古来より広く普及していたロバだが、大陸文化に強い影響を受けていたはずの日本では何故か身近な動物として根付かなかったとされている)

◆壱岐編裏話

・ヽ蔵との初対面

「壱岐の最初のパートはどういう出だしにするか試行錯誤してたみたいで、ヽ蔵と仁の初対面にしても別バージョンを何通りも収録したんだよね。ある時はヽ蔵と仁がふたりとも牢で囚われの身になって、脱獄しなきゃならなくなるっていう設定だったり。他にも島へやって来た仁がオオタカより先にヽ蔵に出会ってるバージョンがあったりした」


◆フランス語版吹替の感想


「以前、日英以外の3言語を配信でやってみた時、ブラジルポルトガル語版の仁役の人とインスタで繋がったことあったと思うんだよね。へー、UK版はさらに言語オプションがあるんだ」
(※訳注:UK版はドイツ語、ロシア語、ポルトガル語、イタリア語、フランス語、ポーランド語、スペイン語にも対応)

今回で5回目となるプレイスルーは多言語でやってみよう、ということでまずは視聴者投票によりフランス語に決定(北米版は他にブラジルポルトガル語、ラテンアメリカスペイン語もあり)。ツジ氏も「別言語のキャストの仕事をちゃんと認識するのはいいこと」「みんな声質が僕らと似てるねぇ」と面白がっておられましたが、チャットにいたネイティブ話者とのやりとりも興味深かったです。

「(「石川先生」の発音が「シシカワセンセイ」に聞こえて「ん!?」という表情に)フランスの人に質問。フランス語版にも日本語アクセントは使われてるの? 英語版では気持ち日本語アクセントを取り入れてるんだけど。(アールさんより、フランス語版キャストも一部はアジア系との情報が) へー、典雄役の人は見かけもちょっとアールみたいなのか(笑)。それいいな。……なるほど、アクセントは普通のフランス語なんだね」

「(仁が通りすがりに平民女性を助けるシーンにて)フランス語だと全会話が誘惑シーンみたいに思えてくるなぁ。えっこの村人と仁の間には何かあんじゃないの? って(笑)。向こうの『命の恩人です…….』って言い方もそうだし。……フランスの人はそう言われてムッと来たりする? 恥ずかしいことというより、むしろ自慢にしてるとこなんじゃ? 推測でものを言いたくはないけどさ。(ネイティブ話者より『フランス人は喋り方が落ちついてるだけ』『ちょっとロマンチストなのは本当』『もの静かな口調なんだよね』などのコメントが)……もの静かでロマンチックか。もの静かなところが本当のロマンチックなのかな? ああ、『ロマンチックなのは優しさ』っていうのはそうだね。僕の仁の場合も、人助けしようとしてる時はだいたい優しい声出してるんだよ」


◆日本語版ツシマ感想

・中井和哉版の仁

「こっちの仁は男らしいよね。『(口調をなぞってみつつ) 青海への道が開ける。手を貸して欲しい』…日本語は訛りがあるって言われる。多分そうなんだろうなぁ。あ、よく聞かれるけど日本語版の声を担当したのは僕じゃありません。顔は僕だけどね。彼の方がずっと経験豊富な声優さんなので、自分が日本語版の声をやってないからって自信が揺らぐとかはないよ。(ベソかき声をつくって)こ、声には自信あるし、プロの声優だし…十分いい声優だもん…わりと好かれてるし、たぶん…」

・早口言葉

「『(石川先生への日本語セリフを復唱) ともにともえをとめにいきましょう』?(笑) 日本語だとかなり面白い」

・水野ゆふ版のゆな

「(最終決戦前の「あんたは死ぬなよ。(〜)…お願いだ」というゆなのセリフの末尾部分に)うわ。今の声、色んな感情がこもっててすごい! イエス。(「戦なんか侍に任せりゃいい」)ホントそうだよ。(「それは本心か?」と聞かれたゆなの「いいや」という返事にも) すごくいいなぁ。…ちょっと仁、肩に手置くとかしなよー」

・志村との対決前

「このまま日本語でやってみよ。すごく勉強になる」

・原語と日本語訳の違い①

「(志村城近辺の川沿い、仁と志村の回想シーンにて)翻訳の違いがわかると興味深いなぁ。日本語訳、微妙な違いがあるからね。どういう違いか? 英語字幕だと『伯父上が子をなしたら私は捨てられると竜三に言われました』だけど、日本語版は竜三の名前にまったく言及してない。竜三に言われたことより、その時の仁の気持ちを直に表現した感じ。本質的なメッセージは同じだよ。どっちがどっちより優れてる、みたいな話ではなくて、『竜三がこう言ってた』に志村殿が『お前の友は思い違いをしておるぞ』と答えるのに比べたら、日本語の方が回りくどさのない言い回しになってるんだよね。もちろん理由があってそうしてるはず」

・原語と日本語訳の違い②

「(志村と仁の勝負前の会話で『You were my son.(お前はもはや我が子ではなくなってしまった)』という痛切なセリフが日本語では『残念だ』となっていることを知ると日本のファンは衝撃を受ける、というチャットからの指摘に)それはそうだろうねぇ」

・原語と日本語訳の違い③

「(赤エンドでクリア後)志村が助命された時、日本語版では仁が『わが父』って言葉を使ってたよね。英語では『己の家族を殺すことはできませぬ』っていうところを『わが父だけは殺せません』って。そこまで逐語的ではなかったかもだけど、間違ってたら言ってね。でもこうやって聞いてみると、少し踏み込んで『わが父』って表現を使うのもいいなと思った。トゥーマッチかな? 僕はいいと思う」

・伝承クエストの「語り」部分

「率直に言ってこの物語部分は、日本語音声がいちばん本式らしい響きだよね。『伝承』の言い伝えを語るというからには、やっぱり日本の伝統に根ざしたパートなわけだし」

◆その他


・ハンバーガー推し
(竜三の登場シーンにて、「褒美は思いのままだぞ」という仁のセリフにかぶせて)ハンバーガーな。(「志村殿が報いてくださる」)ハンバーガーでね?(その後、菅笠衆のアジトで「お主らの腹を満たそう」と演説するシーンでも)みーんなにハンバーガーだぞぅ。

(※訳註: ツジ氏の『ツシマ』初配信時、竜三役レオナード・ウーがクリエイティブ・ディレクターのネイト・フォックスからの「仁との決闘の最中の竜三って何考えてたの?」という質問に「死ぬほどバーガー食いたいって考えてた」と答え、ハッシュタグ「#BurgerForRyuzo」が誕生した故事にちなんでいる)

・伯父上に反抗的なツジさん
「(闇討ち時の伯父上の教え回想シーンにて、「敵を討つ時には真正面から…」)はい。わかってまーす。はいはい。そうですね。(フランス語版仁の「お許しください」に)pardonne-moi、伯父上。pardonne-moi〜」

・たかに不吉なこと言うツジさん
仁に鉤縄を渡すシーンで「姉さんと、家と、命があるだけでありがたいので」(日本語版では「俺は姉さんと、家と、鉄だけで満足なので」)と言うたかに対して「その命も長くはないんだよ…」

・ほんわか物騒
「一騎打ちねぇ、実はあんま好きじゃない。どうせなら他のやり方で殺したい。せっかくの敵は一騎打ち以外で殺らないともったいないでしょ。△ボタン長押しして離すだけじゃなくね」


・ゲーム中障子を破壊できることについて
「最初の通しプレイの時は、障子を斬って先へ進めるとは知らなかったんだよなぁ。あまりにお行儀悪いし(笑)。日本では障子の紙に指で穴を空けることさえ、やっちゃダメなイタズラだからさ」

・境井家兜を鹿角つきにアップデートして
「僕はシカ〜♪ これでシカ〜♪ シカシカシカ〜♪ あれ。今になってわかった。バカみたいだけど、壱岐でみた父上の魂の象徴ってシカだったよね? 今ようやく繋がったかも」

・「破の段」メインクエストのプレイ順
「いま遊び直してみると、感情の流れ的にはさ。ここのメインクエ3つは最初にこの『火急の便り』、それからこっち(『在りし日の亡霊』)、最後にここ(『鑓川の壁』)っていう順序でやるといいよね。鑓川での冥人の型解放はもう、冥人の極致みたいなイベントでしょ。だから最後のお楽しみにとっておく。まず援軍を要請して、境井家の鎧を手に入れて、鎧と一緒に鑓川戻って、冥人の型を会得する。僕がもう一度プレイするなら、そういう順だな。うん、気持ち的にしっくり来る」

・泉湊でのコトゥン戦にて
「(コトゥンの槍攻撃を8割がた避けつつ)あ! 散々『Legends』プレイしてきたおかげで、対コトゥンのコツわかってきたかも。この薙ぎ払いの動きとかはまだちょっと、って離れすぎたか。『Legends』の成果が出てる(笑)。お前の手の内はわかってんだかんな〜って感じ」

・最終章「志村の譚」にて
「(開始と同時に牢人装束姿になった仁を眺めつつ)強制的にこの装備に着替えさせられるのいいな(笑)。そりゃそうだよ、これ以外の衣装だったらストーリー台無しになるもん」

・志村戦前の歌詠みコーナーにて
「(ゲーム内音声がふと途切れて)うちのキャプチャーカードがゴメンよ。せっかくのいい場面も、音楽も邪魔しやがってぇ。(おもむろにスッ…と瞑目したところで流れてくる配信用変声SE)『ジー〜ンのハイク〜コ〜ナ〜』……元音楽の歌い手さんもこういう風に歌ってるでしょ」

・石川先生と巴
「ここにも志村殿と仁の関係のパラレルが見受けられるのは面白いよね。(石川が巴を養子にするつもりだったように)志村も仁を跡継ぎにするつもりだったから」

・政子との決闘
2018年のE3で発表されたトレイラーが一部流用されたイベントシーン。当時の映像に合わせて剣聖装備でプレイしつつ、非常に凝ったカメラワークに思わず笑い出してしまう一幕も。
「このショット、たぶん他のどのシーンよりお金かかってるよ(笑)。あのトレイラーのイベントシーン、全部実際のゲームにも使われてたらよかったのになぁ」


・政子へのほんわかツッコミ

決闘後に言い争う政子と仁。いきなり人を斬りつけた理由をただされた政子が「私は何もかも失ったのだぞ!!」と返してきたのに対し「正気も含めて失ったよね〜」

・「だんご三兄弟」トリガー説
ゆなの過去にまつわるクエストの最後、仁は蒙古のアルタン隊長への意思表示として3つの生首を縦に並べてさらし首にする。日本のファンの間では「だんご三兄弟」とも呼ばれているアレについては、もしかしてちょっとした裏設定がありはしないか、という話が。
「(だんご三兄弟作成中のイベントシーンを見つつ) うわ、やな効果音(笑)。このクエスト、相当えげつないことした後にコッソリ反応を窺おう、ってなるとこが面白いな……(笑)。こんなような生首ケバブってさ、おもに離の段の舞台になる北部エリアに出てきたと思うんだけど、このイベントシーンの後オープンワールドに出現する仕組みになってたりしないかな? (マップを開いて上県をチラ見) あるとしたらどのへんに、って実際確かめてみる時間は今ないから、そういうこともあったりするんじゃ? っていうだけの話なんだけど。ストーリーテリング的には、毒の例もあったでしょ。同じように、生首ケバブも蒙古がこっち陣営のやり方を参考にしてたらクールかなって。暴力の連鎖だ」

・典雄クエスト終章「灰より出でし」冒頭にて
「典雄のクエストは、キャラクターとして最終的に行き着くところが出だしとはまったく異なってる点がいいよね。言うまでもなく、仁と典雄のストーリーには呼応しあってる部分も多い。サイドクエストもみんな復讐だとか、過去のトラウマに関わる話ばかりだ。典雄も元々は誉を失わずに戦おうとしてて、怒りまかせに薙刀を振るうよりお兄さんの円浄にまつわる真相を突き止めようとしてたわけでしょ。でも円浄が亡くなってしまった今は、おそらく怒りに身を委ねてる。(チャット欄の典雄役アールより『仁と典雄はほとんどお互いの鏡写しみたいになってて、ストーリーが進むにつれ影響を及ぼしてあってるのが見てとれるんだよね』とのコメントが)そうだねぇ。たださっきプレイしたゆなのクエストにしてもそうなんだけど、興味深い点もある。仲間同士でよかれと思ってすることって──仁にしても仲間を助けてるつもりで、まあゲームだからアクションがないと、みたいな事情もあるのかもだけど(笑)。ストーリー的に怒りや恐怖をもって仲間の復讐に加勢するのってさ、一方ではお互いにとっての悪影響にもなってるよね。ストーリーの観点から即物的に見ればそういうとこあるし、このクエストだってそうでしょ。何を念頭において言ってるかというと、さっきの生首の串肉のことね(笑)。あれも人がお互いに与えあう影響としては、いい類のものじゃないと思う」

・未強化の冥人の鎧(染色「痛憤」)を見つつ
「もし僕が仁のコスプレするとしたら、この鎧がいい。でもこのデザインのにしたって、再現するのは大変なんだろうなぁ」

・仁の優しさ
蒙古に襲撃され、家族を置き去りに逃げてしまった男を助ける『故郷を思う』にて。
「(家族の死亡が確認されて「俺が死ねばよかった」とうなだれる男と目線の高さを合わせ、一切責めない仁の態度に) どうよこの、思いやりあふれる仁! 何ていい人なんだろ。つくづく心優しいヒーローだよねぇ。相手に非難がましい態度とったりとか全然しないんだもん。これだけクエストをやり直してると、不意にガツンとくることがあるな。心にガツンと来る」

・キツネちゃんとほんわか物騒
蒙古兵に殺されたキツネの仇をとるクエスト『神の安らぎ』にて。
「(ビシバシ闇討ち&射殺をキメつつ、道案内役のキツネに語りかけ続けるツジさん)ありゃ! そこいたの〜? よーしよしい〜い子ちゃんだねぇ〜! 何が欲しいの? あいつらに死んで欲しいの?? そぉだねぇ〜! 殺っちゃおうねぇ〜!!」

・本編クリア後のフィールド探索中音楽
「(境井仁のメインテーマの尺八独奏バージョンが聞こえてきて)本編クリアし終わってからなんでこのはりつめた感じの音楽が流れてきたんだろ? よくわかんないけど。ふと聞こえてくるこういう音楽、ゲーム内で自分がしてきた選択を思い出させてくるとこがある」

・上県の佐護神社からの眺望を見下ろしつつ
「離の段の舞台となるエリアは雪が多いところで、主に白と植物類の赤が目立つ景色になってるんだけどさ。この白VS赤っていうのも最後の選択を彷彿とさせるよね。意図的なデザインとしか思えない。そこにも称賛を送りたいな。ネイト(・フォックス、『ツシマ』のクリエイティブ・ディレクター。ちょうど配信が行われた時期にプライベートで遊びに行くなどしていた)と顔合わせるとこのゲームの話はあんまりせずに、別の話題でくっちゃべるのが常なんだよね。褒め言葉って相手が聞きたいと思ってるとは限らないからさ。でも僕はファンだよ」

・5度目プレイスルーがNG+じゃない理由
「NG+だとゲーム冒頭のチュートリアルやプロローグが飛ばされちゃうからねぇ。せっかく3周年なんだし頭から見たいなと思って」