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『ゴースト・オブ・ツシマ』キャラボイス集・未公開セリフまとめ

先日、Twitter情報をきっかけに「境井仁ボイス全集」なるYouTube動画を見に行ってみたら、投稿者さんが仁だけではなく、他ツシマキャラの英語ボイスデータもどーんと公開してたんですよ。おそらく吸い出した音声データをまとめている系の動画だと思うのですが、本編未公開セリフも含まれていたため、推敲の過程が伺えて面白かった点などをキャラ別にまとめました(筆者も全セリフを記憶しているわけではないので、見落としやゲーム内既出分が混ざっている可能性は大ありですが)。ゆな、志村、竜三、石川ボイス集には『冥人奇譚』の弓取、侍、刺客、牢人各ボイスの加工前音声も含まれています。なお、元は公式以外の第三者がアップした動画ですので、未公開分に関してはあくまでマルチバースと申しますか、非公式情報としてお考え下さい。



ゆなボイス集


『冥人奇譚』の弓取りボイス、九死でよく聞く「That was rough(やばかったね)」の前にため息が入ってることに初めて気づきました。未公開分については本編戦闘中ボイスと混ざってる気もしますが、

「あたしは一人で大丈夫」
「任せな」
「アイツから片付けよう」
「やれるもんならやってみな!」
「アンタなんか練習台だよ!」
「本気出してきたらどうなんだい!」

さすがにスカッとする啖呵多数です。あと技名的な「Sharp Shooter」というセリフもありました。「狙った的は外さない」的な意味からの応用で、けっこうお下劣なスラングにもなってる(しかも複数)フレーズなので、えっ大丈夫? ってなりましたが。

本編未公開分に関しては16:04あたりから、仁がコトゥンと決着をつけて帰還するまでの間、派手に炎上する蒙古の軍船を目の当たりにした仲間たちがどうしていたかがわかるセリフが。

「よし、かいつまんで話すよ。あんただったらどんな弔いが望みかで典雄と堅二が言い合いになったんだけど、石川先生が『蒙古船が燃えたぐらいで冥人がくたばるものか』ってビシッと断言してさ。同意見の政子殿も『全員持ち場へ戻らんか』って言って、あんたのお別れ会もそこでお開きになったんだよ」

典雄の動揺っぷり。また、20:05には弟自慢ボイスもありました。

「たかは自分から名乗りを上げてたら、小松の鍛冶場の親方にだってなってた子だよ。しょっちゅう新しい道具の案を思いついてるんだ。一度なんか、釣り糸と鉄クズで作った罠を小屋に仕掛けてさ。あたしの頭が吹っ飛びかけたけど、おかげでゴロツキどもは寄り付かなくなったんだよ、ハッハ!あと、盗っ人がかっぱらった桃を食べてる最中に、その桃を矢で射抜いたって話も聞いたね」

さらに31:52あたりでは、何やら「たかの火(Taka's Fire)」なる兵器らしきものの話も出てきます。

「仁、あんたに試してもらいたいものがある。たかは鍛冶場の炉を、一番強い鋼以外は燃せるぐらいまで真っ白に熱くできたんだ。あたしたちにも使えると思う」

「鑓川でのことを考えてたんだよ。囲まれてる間は多勢に無勢もいいとこだったけど、あたしたちが勝てたのは、冥人が蒙古どもを震え上がらせたからこそだったろ。今じゃ世間は、恐ろしそうに声をひそめて冥人の噂話をしてる。その手の恐怖は、人の心の奥まで突き刺さるんだ」

「何年も前、ある鍛冶屋が『たかの火』を盗み出してさ。使い過ぎて自分がものすごい炎に包まれちまったんだ。火はすぐに消したけど、そいつを助け起こそうとしたら、あたしたちが手で掴んだとこから皮がずる剥けになってね。その後在所の連中は、けっこう長い間、たかの鍛冶場は祟られてるって信じ込んでたんだ」

「あんたの父親はいなくなっちまったけど、冥人の噂は島中に広がってるんだから、利用しない手はないだろ。『たかの火』をお使いよ。いくさを仕掛けてきたのはあんたじゃない、蒙古だ。それを冥人が終わらせるんだ。使い方なら教える。蒙古どもを震え上がらせて、鑓川を思い出させてやりな」

「いくらあんたでも一度にあちこちへ出没するのは無理だろ。冥人から逃れられる奴なんかいやしないって、わからせてやるんだ」

あちこちを同時多発的に攻撃できるらしい「たかの火」、えらい最終兵器感ですよね。仁ボイス集に後述するゆなの口ぶりではたか死亡後の要素らしいのですが、普通に蒙古を一掃できそうな何かの登場も検討されていたらしい形跡、興味深いです。


竜三ボイス集


「竜三ボイス集」では勿論『冥人奇譚』の加工前牢人ボイスが聴ける(石川先生の牢人ボイスも石川先生ボイス集に入ってます。やはり牢人は先生と竜三が混ざってるようです)んですが、しれっと刺客ボイスも入ってました。刺客の声は誰がやったんだろ? と思ってたら竜三役レオナード・ウーの兼ね役だったとは! ご本人は以前「セリフが多すぎて『奇譚』は収録した記憶が全然ない」とおっしゃってましたが、ということは日本語版の刺客ボイスを担当されたのももしや多田野さん??
で、牢人の未公開ボイスには「まことの地獄はこんなものではないぞ」「ここは通さぬ」とか、式神に話しかけてるらしい"There, there. Done loitering?"(「よしよし、道草は済んだか?」。動画01:35あたり)というものが。明後日の方向にウロウロすることにかけては定評がある式神たちですけど、あれ道草だったのか……。
そして刺客ボイス未使用分は01:45あたりから、

「また殺るべき阿呆か」
「こっち来て死ねェ!!」
「その首もらった!!」
「手元がおぼつかないなァ?」
「お前、病んだ馬みたいにクサイぞ!!」
「本気で俺と戦う気かァ?」
「お前みたいな奴、たくさん殺したぞ」
「こわいか? そう来なくっちゃなァ!」
「ハハッ、小便ちびったか?」

などなど、殺意ガンギマリボイスの数々が。刺客にはもしや、志村に「鬼子(demon child)」呼ばわりされた子供時代の竜三でも混ざってるんでしょうか? どんなコンセプトがあったのか気になります。他、「Shadow Strike!」(影之撃)という技名ボイスも確認しました。
本編の竜三ボイスは03:39地点から、

「覚えてるか? 俺がくすねた酒瓶を浜で呑んだこと。十と五年(いつとせ)も前の夏になるか。伯父御がお前を探しにきたもんだから、隠れてよ。その甲斐はある酒だった」

「侍がそんな戦い方を教え込まれるわけがねぇ。殺し方もな」

「何人の蒙古を背後から刺し殺してきた? どんな気分がするんだよ」

「伯父御はどう思うだろうな」

「お前、変わったな。戦い方だけじゃない、ものの考え方も」

「名のある一族の出じゃないからって、誉がないとは限らん。そういう連中だって小茂田の浜に馳せ参じたんだ」

「俺ぁ家無しだからな。こいつらが家だ」

「お前相手だと、ヘソ曲げたまんまじゃいられねぇんだよ。そういうとこが癪にさわるんだ」

あたりは、どんなやりとりだったか気になりますね。



志村ボイス集


『Legends』侍ボイスとしては00:46あたり、弓取のケースと同じく「That was tough(骨が折れたわ)」の前に不敵な低い笑い声が入っていたことに初めて気付いたんですが、ゲーム内でも使われてるんでしょうか? 未公開分は「Flurry Strike!」(「連撃」。プレイヤー間では「流麗の伍連」の通称にも使われたりしてます)という技名(?)があった他、

「一人残らず、寄らば斬る」
「手遅れになる前に急がぬか」
「敵が進んで参ったぞ」

などなど、基本的に無駄口を叩かないキャラ傾向がわかる内容でした。
本編ボイスだと、あのつら〜いラスト「志村之譚」パートらしい08:00に、和歌(原語版ではhaiku)と思われるボイスが。

The aging wolf hunts(追うは年ふる狼)
Young prey scatters(逃げ惑うは年若き獲物)
Who is dust and who is the wind(いずれが塵か   大風か)

これはもしや志村側の辞世? 地頭の気概を感じさせつつも複雑なニュアンスのある歌ですね(ちなみに日本の古い和歌や俳諧に狼を詠み込んだ作品は稀)。また19:55からはしばらく子仁との戦闘チュートリアルボイスになってるんですけど、22:12に、

「お前の不得手な得物だ。まだ恐ろしいか? この稽古を終えたら、二度と恐れることもなくなろう」

というちょっと謎めいたセリフがありました。仁が特定の武器にトラウマを植え付けられるような設定が存在していたのでしょうか。あとは25:07にチュートリアルでの仁敗北時ボイスと思われる、

「腕はあるが、なおも磨きをかけねばな。それまで昼餉は大根の漬け物(pickled raddish)だ」

というセリフも確認しました。
そして逆に、本編に登場する小ネタの謎解き的なセリフもありました。32:52あたりから、「志村と仁が過去に青海寺で起こした面倒」「牢人との諍い」に関連すると思われるパートです。セリフの登場順を話の展開に沿って(いると思われる順に)並べ替えた上で抜粋します。

「青海寺」
「僧らが我らの到着を待っておる」
「カマタリは何処におる? あの牢人だ」
「父の死の責が儂にあると思うておるのだ」
「彼奴の父は表立って儂に逆らい、人心を乱しおったのよ」
「人の長たる者は、幾度となく苦渋の道を選ばされるもの」
「では彼奴の望みは果し合いか」
「儂とて境内を血で汚すのは本意ではない。話し合うてみよう。仁、来なさい」
「境井殿には、遠目からの検分をお頼み申そう。談判は儂に任せてもらうぞ」
「カマタリよ、侮るつもりなどない。刃を見ずとも、手打ちは成るはずではないか」
「仁! 身を守れ!」
「仁! 言い付けを破りおったな!」
「カマタリは儂に刀を抜かせようとしておった。お前はみすみす餌に食いつき、我らの面目をふたつながらに潰したのだぞ」
「儂が敗れていたら如何するつもりであったのだ。答えよ」
「…恐れと、怒りにかられたか」
「もののふの心得とは、心の弱みを制する力。であればこそ侍は気を散らすことなく、迷いもなく、死にすら誉をもって臨むのだ」
「また此度のような事があらば、次は何とする?」
「よろしい」
「仔細を覚えておくのだぞ。本日の果し合いの次第は、次の稽古でさらうとしよう」

あの小ネタには回想シーンが存在していたようですね。そして志村と揉める牢人の名「カマタリ」は、志村喬と同じく黒澤映画の常連だった俳優・藤原釜足からとったものと思われます。名前のチョイスからして力を入れていたシーンだったんでしょうか。仁のセリフ集には該当箇所が見当たらなかったものの、大筋らしきものがわかったのは収穫でした。



石川先生ボイス集


『Legends』の牢人ボイス未公開分では、「薬師の息吹(Breath of Yakushi)」という奥義名を叫んでるのがまず驚き。牢人の奥義、伊邪那美じゃなく薬師如来も候補になってたんでしょうか。また、

「死は誰のもとにも訪れる。生は苦しみだ」
「千の地獄をさすらわば、生も死もすなわち無よ」
「八幡よ、我が矢を導け」(那須与一??)
「躾がなっておらんな」
「貴様からは目を離さんでおくぞ」
「ハハハ、落ちろ落ちろ!」

などなどこう、濃縮された石川先生成分を感じるセリフもありました。本編の方のボイスでは「いくさが終わった後、日吉に来ることがあらば道場へ顔を出すがよい」とか「お主の鍛錬の賜物よ。お主にならば我が弓を預けてやってもよい。世辞はいらん」(10:29あたり)とかいつになく優しいセリフもあり、先生どうかしたんかな? と思うなどしました。


典雄ボイス集

9:07にはなぜか「お作法事の稽古を受けにいらっしゃい、杉寺の僧がセンセイを相務めましょう」とマナー教室開催を宣伝しているボイスが。典雄がマナー講師…!? そういえば大きなバトルの前に、希望者を集めて瞑想の会を開いたりもしてましたもんね、まったく違和感ないです。
あとまとめて聴くと、「阿弥陀様のご加護があらんことを」とか「阿弥陀様に救いを求めなさい」と阿弥陀如来への言及がそこそこあるな、ということにも気づきました。また兄・円浄が典雄の薙刀に刻んだという言葉「進めば浄土、退けば地獄」は巷間、石山会戦の一向宗の旗に書いてあったとされる「進者往生極楽 退者無間地獄」が元ネタなので、杉寺の宗派モデルのひとつはもしや浄土真宗? 1274年は開祖・親鸞が亡くなってから10年ちょいしか経っていないので、典雄や円浄たちもほぼ同時代人になるんだな、と思うと何だか面白いですね。


たかボイス集


冒頭にバトル中のセリフが入ってるんですが、たかは「俺があんたに何したって言うんだよ…!」というセリフの他に、「境井様が決着をつけて下さる!」「境井様に降伏しろ! 冥人相手に勝ち目はないぞ!」みたいな応援セリフ? もあるんですね。あと(あくまで私が覚えてる範囲で)本編に使われてたか微妙なセリフは、04:05あたりの、

「怖くなると何も考えられなくなって、身動きできなくなる…」

鑓川近辺での思い出話と思われる04:40あたりの、

「姉さんが侍の藁人形を埋めたの、このへんだよね? 俺のお気に入りだったやつ」
「姉さんがしょっちゅうケンカしてた子の名前、なんだったっけ?」
「昔よく、牛に食べさせる草をこのへんで刈ったなあ」

あたりでしょうか。また、クエスト「罰」で蒙古軍を誘き出す囮役をかって出た時の「こっちだ! ついてこい、汚い野良犬ども!」に始まる煽り口上にはもっと口汚いバージョンの続きがありました。

「さかりのついたイノシシみたいに臭うぞ!! この畜生どもめ!! 揃いも揃って売女から生まれたんだろ! お前らはもうおしまいだ!!」

たか役エディ・シンさん、音楽やSEなしでセリフを聴くと日本語の固有名詞の発音のクリアさが際立ちますね。


政子ボイス集


未使用分らしきセリフが断片的でなかなかわかりづらかったんですが、最初の方にある「よぅし、大事ないぞ。良い子だ。気を鎮めろ、案ずるな…」という馬をなだめる優しい声は本編に出てきましたっけ? しかしやっぱり、

「誉をもってかかって来い! 誉があればだがな!」
「犬めは犬らしく野垂れ死ね!」
「まだ足があるうちに逃げるが良いわ!」
「それで戦っているつもりか!? 我が剣を喰らえ!」

など苛烈度高めなので、静かなトーンとの温度差がすごかったです。仁パートと照合して初めて意味がわかった部分は、仁ボイス全集の項に後述します。


百合ボイス集


百合ボイスの未使用分に関しては03:46あたり、あと08:43あたりから、仁に収集を頼む素材類の名前が色々と出てきたのが面白かったですね。

「白百合をお探しください。葉も忘れずにお持ち下さいませ」
「水仙をお探し下さい。球根が要るのです」
「蓮の葉と鬱金をお持ちください。後はわたくしが」
「銀杏の実をお持ちください。後はわたくしが」
「大根とハチミツをお持ちください。後はわたくしが」

などなど、毒物以外にも漢方薬や民間療法の材料と思しき組み合わせもありました。過去には百合の薬師ショップ的な何かの導入が検討されてたんでしょうか? 


コトゥンボイス集


本編では聞いたことない類の哄笑から入って、

「対馬は我らのもの!」
「大元国に膝まづくがいい!」
「主の我らに頭を垂れろ!」

とか高圧的なセリフの数々が。 また、

「おのれを捕えた部下どもは、その首を志村殿へ送りつけんとしたのだがな。我は将軍の侍とまみえる日を待ちかねておったのだ。用意した食事と酒は楽しんだか?」

というセリフもありました。
後半では元国が日本侵攻を決めた経緯を解説する流れで、歴史書等に記録があるチンギス・ハーンの言葉を引用するパートも。演者のパトリック・ギャラガーがだいぶ抑え目なトーンで語っているのは、兼ね役とはいかないまでもコトゥンの祖父チンギスとして話してるからでしょうか。内容的には「我をおのれらへの神罰と思え。おのれらが何の罪も犯していないというなら、何故神が我という罰を賜ったというのか」という脅し文句から「力を合わせねばどんな強者も無力」「贅沢に溺れて己を見失わぬよう、質素を旨としている」という人生訓までけっこうランダムです。


境井仁ボイス全集


元動画のタイトルに「全」がついてるのは仁のみ、通しで聞くと4時間超のボリュームです。紙ベースでまとめたら広辞苑くらいの分厚さになるのでは。未公開ボイスも量が多いのでトピック別にまとめます。また元動画は2つに分かれているため、タイムスタンプはPart 1を①、Part 2を②と併記してあります。


◆謎のセリフ


まずはどこに入るのか、ちょっとよくわからなかった謎のセリフです。多分ボツになったクエスト等の名残だと思うのですが。

①50:43には「キクゾウ」なる刀鍛冶の名前が出てきます。

「キクゾウの刀であろう。見事な仕上がりだ」
「俺抜きで始めてくれ。俺はキクゾウに頼みたい仕事がある」
「我が家に代々伝わる刀だ。修繕できるか?」

①20:23には「ハラ」なる人物が。

「ハラ、なぜ裏切った」
「ハラ、裏切りの代償は払って貰うぞ」

①28:19のボイスはデモ映像か何かで聞いた覚えがあるような、ないような。

「オオカミだ。食い物を探しているのだな」

①1:56:18はこれ、本当にどういうことなんでしょう。

「よかろう。言うなれば『冥人衆(Ghosts)』か。冥人は一人だけとばかり思っておったが、わからぬものだ」



◆父・正関連


①1:48:49のボイスは、おそらく「鑓川の臆病者」クエスト中。親しい相手に冗談めかして話しているような調子なので、ゆな・たか姉弟のどちらかに向けてのセリフなのでは。

「そんな折には木剣片手に森へ隠れては、父上を相手どるつもりで竹に斬りつけていたな」

①1:53:49の方は、どういうシチュエーションなのかは不明です。一応前後は「鑓川」「アルタン」という単語が登場するセリフになってるんですが、さて。

「幼き頃に一度、父上の戦支度を覗き見たことがある。面頬で顔を覆ったのを見て、恐ろしさに逃げ出した。父上が消えてしまわれたからだ。かわりに現れたのは、いくさ場で幾人も手にかけた者。屋敷では俺を痛めつけた者だった」

なおこの「痛めつけた」という表現については、仁役ダイスケ・ツジ氏が正にまつわるボツ設定を明らかにしたことにより、どのあたりを由来としているのかも判明しました。詳しくは別記事参照

◆ゆな関連

例の「たかの火」関連の仁パートは①1:54:44あたりに入ってたんですが、使用する・しないで選択肢があったようです。例によって推測のもと、2バージョン別に分別します。

・使用する

「こちらには『たかの火』がある。あやつの見た有様を広く知らしめるのなら、なすべきことはひとつだ」

「『たかの火』を使った後、俺はまだ侍を名乗れるのだろうか」

「己を疑って何とする。蒙古どもは、誉ある侍の相手にふさわしからぬ連中ではないか」

「俺は生涯にわたって、死の業を修めて参ったのだぞ。死をもたらす業も、死を受け入れる業も。何も今に始まったことではない」

「対馬を救うためならば手段は選ばん」

「あの叫び声はどうだ」

「おのれらがをこの世を寄越すというのなら、俺からは死をくれてやろう!!」

「蒙古どもを心根から挫いてやったぞ。あやつらの目つきにありありと現れておった。これで対馬を取り戻せよう。我らの勝利は見えた」


・使用しない

「なれば『たかの火』は無用だ。冥人への恐れは兇器よりもなお早く、広く伝わろう」

「虫けら同然の腑抜けども!! 俺を誰と心得る!? 赤島でおのれら痴れ者どもを撫で斬りにし、浅藻浦の民を救い出したはこの俺ぞ!!」

「俺を誰と心得ておる!? 鑓川の包囲を破った当の本人だ。猛者たるアルタンの首も俺が獲ったぞ!! 帰ってハーンに伝えるがよい!!」

「蒙古どもに聞こえるのなら伯父上の耳にも入ろうが、『冥人』を認めていただかなくとも良いのだ」

「威嚇のためならば使ってもよいやもしれぬ」

色々とナゾの多い状況ですが、後者に煽りボイスが入ってるの、「冥人の型(口頭)」って感じでちょっと笑ってしまいました。
ちなみにゆなボイス集の当該パートと照合すると、ゆなは「冥人からの言付けを届ける使いだ、一人は生かしておきなよ。蒙古どものたかへの仕打ち。あたしたちみんなへの仕打ち。これでアイツらにも、こっちの気持ちがわかるだろう。冥人への恐れを植え付けてやればいいのさ」とも話してます。何とダークな。平行世界にはちょっとマクベス夫人を彷彿とさせるようなゆなもいたみたいですね。


◆竜三関連


①21:33あたりには、「15年前の夏に竜三が盗んできた酒を浜で痛飲した時の話」の仁パートがありました。たぶんこういう流れじゃないかな? という推測をもとに再構成して訳します。

竜三「覚えてるか? 俺がくすねた酒瓶を浜で呑んだこと。十と五年(いつとせ)も前の夏になるか」

仁「覚えておるぞ。お前はあの酒を飲み干すつもりでおったろう」

竜三「そしたら伯父御がお前を探しにきたもんだから、隠れてよ」

仁「ふたりで無理やり小さな洞へ入って、まるで蟹が2匹、貝殻の中でへし合いをしておるような有様になったな」

竜三「その甲斐はある酒だった」

仁「あれ程したたかに酔い、吐き気に苦しんだことはない。楽しい一日であったがな。あの後、伯父上と顔を合わせに来ずとも良かったのだぞ」

竜三「伯父御は俺に会いに行くんなら、お前が城から出るのも許さなかったろうが」

仁「お前は悪い遊び仲間だと思われていたからな」

竜三「ふん。その通りじゃねぇか」

また①55:10あたりからは、菅笠衆のメンバーに関する噂話パートも。

仁「これまで逃げた者がいなかったというのはまことなのか 」

竜三「そう驚くなって。これでも仲間からは認められてんだ」

仁「銭目当てで戦う連中であろう?」

竜三「名のある一門の出じゃないからって、誉がないとは限らん。そういう連中だって小茂田の浜に馳せ参じたんだ」

仁「我らが救おうとしている手下というのは、どのような者どもなのだ」

竜三「ナガヒロって剣客がいる。一度なんか野盗の両脚を一刀両断してみせたな」

仁「見事な腕だな。左様な遣い手が、何ゆえ武家に仕えておらぬ?」

竜三「銭には目がない奴なんだが、気に食わん相手の下知に従うのは不得手なのさ」

さらに、①55:28地点には竜三の生い立ちにまつわる話がありました。竜三ボイス集にも該当箇所がありましたので、こちらも推測のもと再構成して訳します。

竜三「家なんかどうしろってんだよ。俺ぁ家無しだぞ。俺にとっちゃ、こいつらが家だ」

仁 「身寄りの者らがどうなったか、気になったことはあるか? なぜお前を置いて行ったのか、知りとうないのか」

竜三 「ほんのガキの頃の話だ。納得行くような理由なんざ、この世のどこにもねぇんだろうよ。あいつらは俺の身内じゃなかったのさ。いま一緒に馬を走らせてる連中が、俺の身内だ」

竜三には家族に置き去りにされた過去があったようです。あとは①55:30にこんなやりとりも。

仁「お前とていずれは侍になり、落ち着き先もできるであろう。妻子や友に囲まれて年をとり、怠け癖もつき──そして、でっぷりと肥え太るのだ」

竜三「ふん。今の俺からすりゃ、むしろ肥えてみてぇもんだ」


◆志村関連

志村ボイスまとめの項では志村側のハイクの存在に驚いたわけですが、仁パートにも別バージョンの選択肢がありました。話をわかりやすくするためにまず、日本語版の和歌とハイク原文(カッコ内は意味最優先での拙訳)の最初の選択肢を挙げますね。画面左から右への順に並べてます。

我が師父と
我が君と
我が父と
Hands that shaped the world(この世をば 作りなしたる 右手[めて]左手[ゆんで])
Eyes that saw my pain(我が憂い 見抜くまなこを前にして)
Strength in every step(踏みしめる 歩みの強き 足取りに)

英語のハイクは文字数ではなく音節数で5・7・5のリズムを作るため、かなり情報量が多くなる場合があります。この句の上五にあたるパートもそうで、意味を優先すると和歌というより偈みたいな形式にならざるを得ない。ゆえに和歌形式を遵守している日本語訳では、原文の意味をやむなくスルーしてる場合もある(※原語版は言葉選びや題材選びからして完全なるアメリカンハイクなので、日本語訳はイベントシーンの風景描写からもモチーフをとるなどなるべく日本の和歌の雰囲気に寄せ、かつ現代人にもわかりやすい表現になるよう離れ業的な配慮がなされてます)んですけど、それにしてもこの「我が師父と/我が君と/我が父と」はどこから来たんだろ? と思っていたら、①44:58の仁の未公開ボイスの中に答えがありました。

Teacher, guide, father (師、導き手、父)
My shelter from grief(悲しみよりの逃げ所)
Stronger than a stone(石より強き)
We cannot escape this pain(逃げ場とてなき 痛みかな)

この1行目に列挙されてる要素を3つに分解して使ってたんですね。もしかすると他の和歌にも原語版の非公開部分をもとにした訳があるのかもしれません。②1:39:08ぐらいからはハイクボイスのパートもあるので、そのうち気力が湧いたら聴き比べてみようかな、と思います。


◆石川先生関連

②29:30には石川先生とではないんですが、巴(ただし「まつ」と名乗っている時の)との会話らしきボイスが。

「命がかかったまことの斬り合いでは、刻の流れが遅うなる。周りの物音がひとつ残らず耳に入るのだ。敵の息遣いも、風にそよぐ葉の音も。色という色、影という影が鮮やかに際立ち、生き生きと迫ってくるような」


◆政子関連


クエスト「母」で政子の息子たちを埋葬するためかがり火台へ向かう道中の会話にも、未公開部分がありました。仁パートは②34:41から、政子ボイス集だと15:54あたりです。既出部分から再構成して訳します。

政子「倅らはかがり火台が大の気に入りでな。日が落ちても戻らぬ折に様子を見に参ると、いつもあそこに登って、星を眺めておった」

仁「童のうちは、左様な場がなくてはならぬもの。私の気に入りは檜の木でした。降りるのがしのびぬほどに。上まで登り切ると、この世で出来ぬことなどないような気がしたものです」

政子「落ちて首を折りかねんというのにか?」

仁「母上も同じことを仰せでした。しかし父上に言わせれば、それもまた一人前の男子(おのこ)が通る道だと」

政子「志村殿はどう思っておられたのだ? 」

仁「伯父上の城では、木に登らずとも事足りておりましたゆえ」

志村を筆頭に百合、安達晴信、石川先生と、仁のの成長を見守ってきた大人たちの中でも、政子からの「子供の頃から知ってる子」扱いは何かが一味違いますよね。政子の前での仁も、なぜか一番「いいとこのぼっちゃん」感を出してるような気もします。


◆堅二関連

(筆者が)お待ち兼ねの堅二関連ボイスは②1:19:55あたりから。とくに②1:23:43からはクエスト「酒売りと百姓」パートになってるんですが、堅二が蒙古の宿営地にあった熊の檻を開けるシーンのものと思われるセリフがありました。プレイ済みの方はご記憶ですよね、あの蒙古と菅笠衆と熊が入り乱れる地獄のようなクエストです。

「熊は援軍になっておらぬぞ堅二!!」
「蒙古ならばすでに片付けた。熊などいらぬわぁ!!」

もしかして堅二が熊を解放してしまう前に蒙古を一掃するなど条件次第で聴けるボイスなのでは? という気もしますが、少なくとも冥人の本気のツッコミ、筆者にとっては初耳でした。なおその近辺に「うむ、熊の檻があるな。忠告ありがたい」というボイスもあったんですが、忠告した本人が檻を開けるってどういうことなんだ。


◆蒙古軍関連


①1:49:44あたりには鑓川でのテムゲ斬首前(原語ではテムゲを"This man"と呼んでるので、近い距離感で話してるはず)と思われるこんなボイスが。

「テムゲは我らに道を選べと言うたな。返礼をしてやろう。おのれらの道はふたつ。いま対馬から去れば、情けをかけてやらぬでもない。だが留まるなら、恐怖に震え苦しみもがく日々は決して終わらぬ。おのれらの一人として、生きて再び故国や身内にまみえることは叶わぬであろう。どちらか選べ!」


◆『冥人奇譚』関連

仁役ダイスケ・ツジ氏が以前「僕も『奇譚』の収録は参加できるならしたかったけど、関わってないんだよなぁ」と語っていた通り、それらしいボイスは確認できませんでした。ただし全ボイスをまとめて聴いてみると、「Easy prey.(たやすい獲物だ)」「That's the last of them.(今ので最後か)」など本編で仁が言っていたちょっとしたセリフのいくつかが、そのまま『奇譚』の冥人たちのセリフとして流用されているようです。


◆「思うこと…」未公開セリフ集

温泉での「思うこと…」は、未公開分もやはり小ネタの宝庫でした。②1:45:20あたりから。

「(湯が傷に沁みたような声の後、笑って鼻歌を歌い出す)…少々くつろぎ過ぎたか」

「父上が生きておいでなら…否、父上ならば小茂田の浜で討ち死にされていたはず。誠のもののふに相応しく」

「(思い出し笑い)お祖父様が浸かっている温泉に小便をしたのは、俺が幾つの時であったかな」

「(思い出し笑い)いずこの温泉であったか。伯父上には湯が熱すぎ、綿の着物を着込んでしのいでおられたことがあったな」

「百合にはよう温泉へ連れて行ってもろうた。気分のすぐれぬ折や、父上の雷が落ちた折に」

「あのまま浜でこと切れておったら如何する。これまでの一切が、一睡の夢であったら…?」

「最後に蹴鞠に興じたのは8年、10年前にもなるか…あの遊びにかけては、竜三は負け知らずであったな」

「もうずいぶんと絵を描いておらぬ。良い絵筆は伯父上の城に置いてきてしまったな」

「もう、かなの姿形もおぼろげにしか思い起こせぬ…鎌倉へ行って欲しゅうはなかった」

「温泉に 浸りしもののふの…字余りではないか」

「裸で戦えばもそっと動きが軽くなるのだがな。あるいは余人を縮み上がらせるやも」

「一息入れるのだ、仁。蒙古どもとの決着がついたら、7日は寝入ってやるとしようか。あるいはいよいよ壱岐へ渡るか…」

「まさか己が人の語り草になろうとは、思ってもみなんだな…だがそれが民の心を支え、蒙古を震え上がらせるなら、栓無きことでもないやもしれぬ」

「母上に無礼を働いて父上に打たれた折のごとき心持ちだ。青海湖を泳いで向こう岸まで逃げようとして、溺れかけたのだったな…」

「百合は俺の気分がすぐれぬと、よう温泉へ連れて行ったな。仮病をつかって咳をしてみたら、半日湯に浸かるはめになったこともあったが(思い出し笑い)…見破っておったのだろうに、お構いなしであった」


以上、キャラボイス未公開分まとめでした。元動画の再生リストはこちらです。巴や行善、壱与(Onibaba)、蒙古兵ボイス集などもあります。