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シェアハウスにローテーブルをつくろう

 

シェアハウスに通いはじめて一月ほどが経った。
 週末の夜に数人が集まり、夕ご飯を作って食べながら話す。なんということもないことだが、これがすこぶる面白い。別々の学校に通う友人が時折集まって、取り組んでいる活動を話し、日々考えを巡らしているアイデアを相談する。行くたびに新鮮な驚きに出会い、次の機会までに考えておく疑問をもらえることにウキウキするのだ。
 笑い声の間に「うまい!」と声が上がるのもまた楽しい。米と野菜は福島県葛尾村から送ってもらっている。目の前の料理と、食材と、それをつくる農家が一直線に連なって今ごはんを口に運んでいるのだと今更ながら気がついた。
 思えば、今まではただ会うことが難しかった。何日も前から予定を調整して、ファミレスかコーヒーショップか場所を決めて、用事が被ればまた今度。ビジネスミーティングならオンラインで十分だが、直接顔を合わせればエネルギーがもらえる。思いがけずアイデアが湧き出る。「誰か来るだろう」と、とりあえず行ける場所があることがなんとも嬉しい。

 楽しいことには申し分ないのだが、何回か通ううちに改善の余地がある点も見えてきた。いかんせん机が小さい。60センチ×90センチのちゃぶ台は2、3人なら支障ないが4人を超えると少し手狭だ。向かい合ってパソコンを開くとすぐにかち合ってしまう。今より頻繁に人が来たり、来る人が増えたりすることも考えると、もう少し大きなテーブルがあった方が良さそうである。だが買うにしたって金がない。いっそ作って仕舞おうか。シェアハウスでの集まり方を考えてたら机を作って空間を変化させることに行き着くというのもまた面白いではないか。
 そこで、自分たちの手でテーブルを作ることにした。
 スタイルは座卓(ローテーブル)とした。もともと家に椅子がなく、テーブルに合わせて買うには金が高くつきすぎるということもある。でも、一番の理由は椅子を入れれば脚数分しか座れないからだ。何人集まるのかはその時々によって変わるので、人数に柔軟に対応できる形がいいと思った。
 寸法をまず決めた。たて150センチ×よこ90センチ×高さ38センチ。6人掛けのサイズだが少し詰めれば8人くらいは楽に座れるだろう。定員に縛られないことがローテーブルの魅力である。天板の大きさ(たて×よこ)は出来るだけ大きく取りつつ部屋の寸法も考えて通行の邪魔にならない範囲で決定した。30センチの倍数になっているのはそれが人体のスケールに合っているからだ。ローテーブルの高さは38センチから42センチあたりが相場らしい。中途半端な数字だが経験的に理にかなっているのだろう。パソコン作業をすることも考えると高すぎても不便なので38センチとした。
 材質を決めにホームセンターに行った。ベニヤ材がいいだろうと考えていたが、一概にベニヤと言っても多くの種類がある。あとは見栄えと値段の兼ね合いである。脚は厚さ18ミリの針葉樹合板にした。3000円弱くらい。木目がはっきりしていて節が多いがその分安い。はっきりした木目模様がいいアクセントになるかもしれない。天板は21ミリのラワン材。こちらは5000円ほど。サンドペーパーで表面を慣らせば十分キレイになるだろう。

 
 ついにデザインに取り掛かる。デザインと言っても脚の形状を決めるだけだが、これに大いにハマった。思い付いたものを順に出してみよう。

 ①板状の梁と柱を組み合わせる案。ベニヤ板を互い違いに組み合わせれば直線的な端正なデザインになると思った。実際、見た目はスタイリッシュでよい。が、模型を作ってみて致命的な欠点が見えた。同じ方向に並べた板の柱は面方向からの揺れに非常に弱い。もうグラグラである。他のデザインを考えねばなるまい。

 ②十字に組んだ柱を4本立てる案。こちらはかなり安定。だが細い板で済んでしまう分、部材がかなり余ってしまう。デザインとしてもかなり落ち着いている。少し物足りないような気もしてきた。十字に組むアイデアは踏襲しつつもう少しスタディを続けよう。

③十字2つで支えてみてはどうだろうかと考えた。まずは60センチの板を組み合わせてみる。2の本の太い柱で支える感覚だ。模型を作ってわかったことだが、どう2本を並べても天板の端までは支えられない。これでは端に力がかかった時に一気に机が傾いてしまうかも。十字をさらに大きくした方が良さそうだ。

④板を90センチにして組んでみた。これが天板からはみ出ないギリギリのサイズ。もう柱というか壁で支えているような感じだ。横から覗けば屏風を立てているようにも見える。安定感も抜群だ。なかなかいい感じではないか。けれどもすこし気になることもある。座った時邪魔にならないだろうか。二つの十字を繋いでみたらどうだろうか。

 今までに考えたのはこんなところ。12月7日に実際にテーブルを作る。それまでにさらにスタディを進めよう。まだ詰めなきゃいけない事はたくさんある。


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