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『CUSTOMS FRONTLINE 海關戰線』

優先場のチケットを頂いて公開に先駆けて観て参りましたよ。ありがたいことです。

『拆彈專家』で紅隧を爆破した、あの邱禮濤作品よ?期待しないわけないよね。(ちなみに『拆彈專家2』を観ていないので、これでどこを爆破したのか知らない私なのでそこは突っ込まないでね。どんな作品も前情報無しで観たいのよ。)あちこち爆破したり車クルクル宙返りさせるのに定評のある邱導、本作ではついに爆破の場を海上にしたのか!とワクワク。

ポスター見ても Nicolas の髪型が今回は公務員仕様なのであまりカッコよく無いのだけれど、作品中の本人はカッコイイので良しとする。このビジュアルの學友はさすがに PS やり過ぎ。お肌ツルツルに皺伸ばし過ぎよ。この絵で見ると Nicolas の方が皺くちゃやん。學友は設定上もある程度のお年だし、画面で見たら良い感じで皺くちゃなんだから、下手にツルツルにしない方が味があって良いのにね。

それにしてもこのチケットはなかなか良い。ポストカードより少し短いイレギュラーな形。劃位のデスクに行って「W の友人の Sophie です!」って名乗ったら「あ!例の日本語通訳のね!ドゾヨロシクー!」と客席のど真ん中をくれた。私、普段は画面全部を一目で観られるように最後尾列の席を取るんだけれど、わざわざ一番良い席をくれたので、ありがたく頂いた。『全世界都有電話』の時も Producer の Teresa が客席のど真ん中をくれたので、香港人的にはど真ん中が一番良い席なのであろう。

このスクリーンでは他の作品もいろいろ流していて、

ひところの熱は収まったとはいえ、まだまだ絶賛上映中の『九龍城寨之圍城』も。

ネタバレしないように詳しくは書かないけれど、観ていて邱導に聞いてみたいことがいっぱいあった。

まずは爆破の舞台を海上にしようと思いついたのか。海上を先に思いついたので海關の話にしたの?それとも逆?ニワトリが先かタマゴが先か。

ストーリーはさすが邱導と御用達の編劇コンビ。伏線の張り方とかストーリーのねじり方が面白かった。ここからどう動くのか?というドキドキ感も剪片が上手いタイミングで切ってくるので盛り上がる。

キャストも全員良いところを持って来てる。実力派の大物でありつつも(多分)邱導が使いやすい人やら、若手でもしっかり芝居のできる人をメインに置いてあるので安心して観られる。吳鎮宇は小賢しい小物を演じる時はいつもこの口とんがらかした系の喋りなので定番過ぎて面白い。

アクションも打打殺殺だけでなく、邱導お得意の爆破やらどんだけぶっ放すねんの銃撃戦やらお決まりのクルクル宙を舞う車多数やらなるほどそこをぶっ壊すかのカー・チェイスやら、見どころ沢山で満足。ただね、徒手アクションのカメラはずっとハリウッド形式だったので、時々、暫しだけでもカメラ固定のハッキリ見せアクションも欲しかったな。

ゴムボートでのアクションは、穴開いたらもっとさっさと沈むのかと思っていたけれど、結構引っ張る。邱導のことだから多分これは沈まない時間もきっちり計算してあると思う(思いたい)。で、最後の締めはこうきたか!なるほど!が斬新で面白かった。

意外だったことがいくつか。まずは學友のアクションが上手かったこと。特に Nicolas との手合わせのシーンは美しかった。まぁ、演唱會で踊ってるの見ても運動神経悪くないから、当然といえば当然か。

そして、Nicolas がかなりムキムキに作り上げてて驚いた。『怒火』の時もそれなりに筋肉質ではあったけれど、やはり見た目「ほっそ!」と思うぐらいだったのに、今回脱いだらなかなか凄かった。

それにしてもやはり私はアクションものは最低2回は観なくちゃダメだわ。『九龍城寨之圍城』もこの作品も、アクション・シーンになるとついつい、誰が替身やってるんだろう、手下やってる武師に知った顔がいるかな、という所にフォーカスがいってしまって、肝心のアクションの全体像が見えなくなっちゃうのよ。初見である程度判別したら安心して2回目はちゃんとアクション全体を観られるので、これも再度観るべし。

そして、私の中で来年選出の金像獎の視覺效果獎はもうこれに決まり。邱導クラスが必要とするレベルのリアルさを追求した VFX は FreeD にしか出来ないと思う。友人の会社だから推すのもあるけどさ。今回は中環碼頭がもうあられもないほどぐしゃぐしゃなので皆さん乞うご期待。

この作品も「お!」と思う所で必ず誰かが「お!」と叫ぶし、笑うべきところでは皆笑う。しかし、最後の學友の芝居で隣の人が笑った時にはさすがに「ここは笑うとこちゃうぞ!」と思ってしまったね。苦悩の吐露の表情だったのだけれど、変顔に見えちゃったのかねぇ。この手の芝居は學友が上手いのを邱導はよくわかっていて起用したのかなとも思う。『一個複雜故事』とか凄く良かったもんね。

あとね、關智斌がどうしても王力宏に見えて仕方なかった。いや、わかってるのよ。王力宏もうこんな若くないから絶対に王力宏じゃない、ってわかっているのだけれど、最後の10分で關智斌だと気付くまで王力宏じゃないよね、王力宏じゃないよね、これ誰だっけ、ってずっと考えていたアホです私。

ということで、アクション大作としてめっちゃ面白かったので、高先で掛ったら観に行こうかな。

英皇戲院@i-Square にて鑑賞。★★★★★



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