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8/23(月) 東京都2部リーグ戦 第9節(延期分)vs玉川大学マッチレポート #10


夏の暑さも少しずつやわらぎ、秋が顔を出しつつある。そんな8月23日、我々は天王山である玉川大学との一戦に臨んだ。

前節は東京工業大学とのマッチアップ。攻めあぐねていた上智であったが、後半にCKからねじ込んだ鈴木の虎の子の一点を、中断による後日開催という難しい状況でも守り切り勝ち点3を手にし、無敗を守った。

対する玉川もここまで6勝2分と未だ無敗。前節は2か月前まで遡った一橋戦。先制点を奪われる苦しい展開もATで2点を奪い逆転勝利。強さを見せつけた。

現在6勝3分の上智と6勝2分の玉川。消化試合数の違いこそあるものの現在首位に立つのが上智、2位で追走するのが玉川という構図。どちらも無敗同士であり、まさしく天王山、シックスポインターという言葉がふさわしい、重い重い、大きな意味を持つゲームである。

そんな大一番に南出学生監督が選んだスカッドは以下の通り。

羽藤 宏太朗(C)(4年/#1/GK/國學院久我山高校)
髙野 陽 (3年/#56/MF/県立川和高校)
池田 総一郎 (4年/#10/FW/県立川和高校)
菅 雄太郎(2年/#55/MF/八千代高校)
神田 辰丸 (3年/#14/MF/國學院久我山高校)
三谷 宗 (4年/#7/MF/日本大学鶴ヶ丘高校)
野田 祐成 (2年/#48/DF,MF/國學院久我山高校)
古山 悠人(2年/#80/MF/新潟高校)
鈴木 陽太(2年/#37/MF/市立橘高校)
伊藤 大心 (3年/#78/MF,DF/國學院久我山高校)
大山 諒(3年/#88/MF/武南高校)

サブは以下の通り
小熊 崚介(2年/#28/GK/暁星高校)
東 幹也(3年/#19/FW/市立東高校)
水原 理玖(3年/#32/MF/専大松戸高校)
松本 浩己(4年/#9/FW/東京都市大学付属高校)
中尾 竜吾(2年/#72/DF/國學院高校)
坂田 涼(3年/#47/DF/駿台学園)
宮原 正弥(4年/#8/MF/國學院久我山高校)


10時キックオフの予定であったが、アクシデント発生。夏特有のゲリラ的な落雷と豪雨が襲い、プレーすることが不可能な状況に。すぐ過ぎはしたものの試合開始時間が遅れる事態に。

結局45分遅れでキックオフ。

序盤はいきなりCKを取られるなど玉川ペース。

5分、上智はこぼれ球を池田が思い切りよく狙うも、これはゴール左。

しかし流れは変わらずなおも玉川ペース。

13分には右サイドを崩されGKと1vs1のピンチが訪れるも、これは羽藤がタイミングの良い飛び出しからストップ。先制点を与えない。

その後は上智がボールを保持しながらだんだんと自分たちのペースを取り戻していく。

23分、相手のロングボールを伊藤がダイレクトで左サイドの大山に繋ぎ、受けた大山が猛然と左サイドを突破。相手2人を置き去りにし、内側のスペースに走りこんだ池田へパス。相手DFが池田にくぎ付けになる中で、彼はワンタッチでフリーになっていた鈴木へ。PA内右斜め45度でフリーになっていた鈴木はこれを得意の左足でファーサイドへと流し込み上智がお手本のようなカウンターアタックで待望の先制ゴールを挙げる。

ゴール後、歓喜の2枚

先制後は一進一退の攻防で決定的なチャンスはなかなか作れない。

35分、ロングボールのこぼれ球を拾われ、上智自陣左サイドを抜け出されGKと1vs1に。相手のシュートもいいコースに飛び、誰もが追いつかれることを覚悟したが、羽藤が指先でコースを変えるスーパーセーブでなんとか防ぐ。

このまま1-0で前半が終了。

前半をリードで折り返す

少し日が差し、気温が上がった中、後半キックオフ。

後半もどちらか一方がペースを握り続けるような展開にはならず、一進一退の攻防が続く。

最初に決定的なチャンスを迎えたのは上智。17分、三谷、大山、神田と繋ぎ、神田がPA内からシュートを放つ。これは相手DFのブロックに遭うも、相手DFとGKの間にこぼれる。これに鈴木が反応するも至近距離からのシュートは相手GKがストップ。

20分にも鈴木が決定機。池田の献身的なプレスによって相手GKのパスミスを誘い、鈴木が高い位置でボールを奪う。鈴木がこれをカットインからファーサイドへ流すも惜しくも枠の外。

そして給水タイムのタイミングで鈴木に代えて、背番号9松本を投入。

23分、玉川のチャンス。ハーフラインとペナルティエリアのほぼ中間、やや中央左よりのエリアからのFK。これをPA内、頭で合わせられる。ボールはゴールに向かい、羽藤もボールを見送ったが、これはバー直撃。上智サイドは胸をなでおろした。

ここからじわじわと押し込まれ、上智陣内での時間が徐々に増えていく。

上智は運動量の落ちていた大山に代えて水原を投入。チームの活性化を図る。

なんとか追いつきたい玉川とこのまま守り切りたい上智。1位と2位の意地とプライドが激しくぶつかり合い、試合展開としては地味なものの球際や競り合いといったところで激しい火花が終盤にかけて散る。

45分、攻め込まれていた上智が一瞬のスキを突く。相手のクリアミスを拾った三谷から松本へ糸を引くようなスルーパス。これを松本が得意の切り返しで対面していたDFとの1vs1に勝利。ゴール中央に走りこんできた池田にパス。池田に通ればタップするだけで追加点というシーンであったが、パスが合わずに追加点を奪えず。

ATは2分。焦る玉川と落ち着いてコーナー際などで時間を使う上智。そして2分をきっかり回ったところで長い笛。昇格、そしてタイトル獲得に向け是が非でも勝たなくてはいけないゲームを見事ウノゼロで締め、玉川に今季初めて土を付けた。

大きな大きな1勝

とにかく勝ちたかった。そして「2部優勝、そして1部で戦えるチームに。」という今年の目標のためにも絶対に勝たなくてはならなかった。もちろん守備のやり方や、カウンター攻撃のキレなどこのゲームを決めた要素というのはそのようなテクニカルな部分が多くあるとは思うが、やはりこのゲームで相手より勝ったのは”気“である。一つ一つの球際、競り合いといったところで上智は相手より先に一歩が出ていた。ぶつかり合いでも一歩も引くことなくまさに全員が文字通り「闘って」いた。もちろん出ている選手たちが気合が入っていたのはもちろんだが、豪雨により水が浮いているピッチを見て、なんとかメンバーの18人にいい状態でプレーしてもらおうと、限られた備品のなか、全身びしょびしょになりながらも、ピッチに溜まった水を必死で捌けさせるメンバー外の選手たちや、一つ一つのプレーを食い入るように見つめ、拍手を送り続けた全員の”気“がピッチ内の選手の背中に乗っかっていた。文字通り全員でつかんだ大一番での勝利であった。

確かにこの勝利により、昇格という2文字がよりはっきり見えてきてたことは事実である。しかし残りの道のりはまだまだ長い。そしてビッグマッチを勝利したあとは緩慢なゲームをしてしまう、というのはプロチームですらよくあることである。いつもより入念に試合に向けて準備をし、試合に入ることが重要となる。頭をもう一度切り替えて次のゲームへと向かっていきたいところだ。

このゲームで輝きを放ったのは三谷であった。圧倒的なセカンド回収率と高い基礎技術によるボールキープでゲームを作った。ゴールやアシストといった決定的な仕事こそなかったものの、ボール奪取からの攻撃の一手目からラストパスまで、役割は多岐にわたり、走行距離もチーム内ダントツの12.84kmを記録。独特の小気味良いリズムで猛然とボールを奪いに来る相手の逆を涼しい顔で取り続け、ゲームに落ち着きや小休止をもたらす姿はまるで優雅にダンスを踊る貴族。上智が誇るゲームメーカーであり貴公子、三谷宗の“Mitani do dance”に今後も大注目である。

ゲームメーカーとして出色の出来、三谷

そしてもう一人はGKの羽藤。前半だけで3点分のストップ。特に前半35分に見せたぎりぎりのコースのシュートを指先でコースを変えたパラドンは勝負の分かれ目であり、まさしく「守護神」というのにふさわしいプレーであった。後半も試合展開を読みながら攻めるところ、うまく時間を使うところなどチームにメッセージを発し続け、勝利に大きく貢献。残り8節、優勝を掴むためにはゴールに鍵をかける守護神として、そしてチームの先頭に立ち、舵を取る“The Skipper”として、羽藤の活躍というのが不可欠だ。

チームを救った守護神、羽藤

以下出場選手のインタビューです

羽藤 宏太朗(C)(4年/#1/GK/國學院久我山高校)
・今日の試合を振り返って
とにかく勝利が嬉しいです。首位攻防戦であったこともあり、個人的には昨年の対戦以上に気合いが入ってました。絶対に点をやらせないという気持ちだけは今シーズン1番でした。チームとしてもここまでかなり良い準備が出来ていたと思っていたので、結果がついてきて良かったです。

そして何よりも朝早く会場に来て設営をしてくれた部員や、雷雨によって練習がなくなってしまったにもかかわらず応援をしてくれた部員、初有観客試合の中応援に駆けつけてくれた保護者を始めとした方々には感謝しかありません。

特に部員においては、グラウンドの水捌けを率先して行ってくれたり、プレーの一つ一つに拍手をくれたりなど、本当に支えになりました。

今後も恩を返すではないですけど、全員で支え合いながら残りシーズンを駆け抜けたいと思います!

・今後に向けて
今節の個人の評価をするなら、特に後半は反省点が多く残るプレー内容でした。主将という立場以上に、ゴールキーパーとしてチームにマイナスを与えてしまったことは強く反省をしなければなりません。

一方チームとしては、先程も書いたように今節は準備と結果が結びついたポジティブな試合だったと思っています。その中で、今節のような緊張感のある試合でこそ自分たちの展開したいサッカーに挑戦できるようにならなければいけないなとも思っています。

点が入った、失点しなかった、だから勝てた。ではなく、勝つべくして勝った試合を都リーグで言えば残り8試合ですが、Iリーグやサタデーリーグも含めて目指し続けなければいけないと思っています。

三谷 宗 (4年/#7/MF/日本大学鶴ヶ丘高校)

・今日の試合を振り返って
雨が降った後でグラウンド的にも気持ち的にもとてもやりづらかったですが、全員が集中を切らさずに戦うことができたと思います。

・今後に向けて
これから先も大事な試合が続くので、今回の勝ちに満足することなく、1試合1試合大切に戦いたいです。

次節は8月29日(日)桜美林大学との一戦。前回対戦では4-1で勝ってはいるものの、粘り強い守備に手を焼いた印象。着実に勝ち点3を積み上げたいところだ。次節も無観客での開催となるので、Player!、Twitterでの熱い応援よろしくお願いします!

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