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今日みた夢のはなし

 今日みた夢がストーリー性高かったので、覚書メモ。


 夢の中で「わたし」はアカコ・ベニコ・コウコ? みたいな感じの名前で呼ばれていて、名前の通りに深紅のエプロンドレスを着て焦げ茶色のボブヘアの少女の姿をしていた。よくあるアリスの2Pカラーみたいな感じである。
 彼女はどうやら最近パートナーと別れたらしく、しかもその別れの理由が曰く付きの骨董品――恐らく真鍮製の懐中時計と思われる――を巡ってひと悶着あったようで、腹いせというか憂さ晴らしというか単なる失恋旅行というか、まあそんな理由から叔父の屋敷に遊びに行くことにしたのだ。この「わたし」の叔父というのがまた変わった人間で、ともすれば文化財に指定されるくらいの歴史のある瀟洒で大きな洋館に住んでおり、曰く付きの骨董品を蒐集している。彼に決まった配偶者や家族はなく、助手として一人の若い女性――あくまでも助手と雇用主の関係である――と共に二人で屋敷に住まっていた。この助手の女性は、明るいサックスブルーのエプロンドレスに少し長めの金糸のボブヘア、銀縁の大きな丸眼鏡をかけており、こちらは非常にスタイルの良いインテリ系アリスといった出で立ちであった。ついでに叔父の姿はほとんど覚えていない。

 どうせ曰く付きの骨董品ばかりの屋敷なのだから一つぐらい増えても構わんだろの精神で、曰く付きの懐中時計と共に叔父の屋敷へと乗り込んだ「わたし」であったが、やはり懐中時計はただの時計ではなかったようで、宛がわれた客室の扉を開けると何故かジャグジー付きの大浴場に繋がっていたり、部屋に戻るのに何故かトランポリンのように跳ねる屋根を伝わないと戻れなかったり、はたまたひたすら長い廊下に遭遇したりと、懐中時計の影響で屋敷が迷路化してしまう憂き目にあう。迷路化により、蒐集されていた曰く付きの骨董品たちも屋敷の中に解き放たれてしまい、それはまあ大変なことになってしまっていた。
 そもそも、叔父の骨董品蒐集は単なる趣味で行っていたわけではなく、現世に存在するだけで悪い影響を及ぼす品々を回収していたものだった。叔父の屋敷は封印のための大きな箱であり、助手の女性は屋敷を閉じておくための鍵だったのだ。屋敷の構造が滅茶苦茶になり万事休すとなった時、叔父は一つの決断をする。曰く付きの骨董品たちに掛けられていた“悪い魔法”を全て解く、というものだ。そうすれば、屋敷が機能しなくなったとしても、世界に悪影響が及ぶことはない。
 “悪い魔法”を解く決断をした叔父は、その場で大魔法を発動させて全ての骨董品たちを無害化させることに成功した。しかし、とびっきりの大魔法には、とびっきりの代償が必要だったのである。本当であれば、それは骨董品と紐づいていた、屋敷の鍵である助手の女性へと向かうはずのものだった。しかし、叔父はそれを良しとしなかった――長い間ともにいる内に、情が生まれていたために。代償の矛先を無理矢理に自分自身へと向けたために、叔父はその場で存在消失してしまう。
 大窓から光差し込む屋敷のエントランスホールで、脱出するために叔父の到着を待っていた助手の女性は、天井から降ってきた叔父のステッキと装飾品、黒地のマントを見て、叔父が消失してしまったことを悟ってしまうのだった。

 助手の女性が屋敷の外に出ると、そこには沢山の報道陣と、先に屋敷から脱出していた「わたし」が居た。屋敷に蒐集されていた曰く付きの骨董品たちの“悪い魔法”が全て解かれたことについて取材に来たのだと、口々に彼らは言っていた。大魔法の行使による解呪の功績は全て助手の女性のものにされており、そもそも「わたし」と助手の女性以外の誰もが、叔父の存在を忘れてしまっている様だった。
 その後、「わたし」と助手の女性は、世界を旅することに決めた。「わたし」は叔父の遺志を継ぎ曰く付きの骨董品を蒐集するために、助手の女性は世界から消えてしまった叔父の存在を取り戻すために。


 ここで夢から覚めました。なんかの物語の冒頭にありそうなエピソードでびっくりした。
 これ「わたし」が十割悪いやつじゃん……ってなったし最終的にオチがウテナかな? って思ったんですけども、光差すホールの頭上から叔父の装飾品がゆっくり降ってきたのを受け止めた時の助手の女性が、あまりにも絶望に満ちていて可哀そうだったので、せめて文字に起こすくらいしないと浮かばれねえなって思ったので書き残しておきます。世界中旅してどっかで叔父と再会してくれ……君たちの旅はここから始まるんだから……。

 以上です。