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【連続小説】騒音の神様 104 元日本チャンピオン 松原の仕返し

松原が一人残ると言うと他の者が「もう用事ないやろ。何するんや。」「車ないでしょ、どうやって帰るんですか、」と心配そうに言う。「今日は早よ帰って体、休めたほうが、」と誰かが言ったとき松原は「何も心配あらへん。体は丈夫なんや。打ち合わせや。帰りも知り合いに乗せて帰ってもらう。とにかく先、帰っててくれ。すぐ後で帰る。」と言うなり車を離れて歩きだした。高石が追いかけたが、松原に追い返された。皆、松原のことを心配していたが「無茶はしないでしょ、先帰りましょ。社長おったら一応報告しましょ。」そう聞くと皆、「社長に言うしか無いな、」と納得して帰ることにした。

松原は、痛い足を引きずらないように踏ん張って歩いた。探すのは、体も態度もでかい、口が悪い男。「なめすぎやろ、バカにしすぎやろ。俺をなめすぎた。もう、元日本チャンピオンの肩書きは捨てよ。邪魔や。今はこの現場で戦っとんねん。なめるな。とことんやったる。」松原は、デカ男が作業してそうな場所まで歩いた。それだけで汗だくになった。松原はデカ男が居そうな場所を見回したがいなかった。「くそっ、駐車場か。また歩くんか。」松原は、引き返しながら歩いた。途中、木杭を打つための小槌、木のハンマーを見つけたので手にして歩いた。しばらく歩くと、一台の乗用車が止まっていた。松原は見た。「おった。後部座席かい。ええやろ、やったろ。」

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