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【騒音の神様】04 神様の戦利品を運び出す (激突体育会暴力編)

神様は鳥居近くの石に腰かけて一服した。鳥居の奥には、古びた建物があった。花守は見てすぐに人の出入りがある建物だとわかった。
「神様、荷物はあの中ですか、」
神様は煙をふかしながら、答える。
「建物の裏にある。結構、重たいんや。ほんまは持って帰りたかったけど、出来んかった。すまんな、」
花守が建物の裏に行くと、また小屋があった。後ろから神様が声をかける。
「それや、花守君。そん中、全部や。」
花守は小屋の戸を開いた。中には米俵が積んである。ほかにも、箱や袋がいくつかある。
「花守君、これ、いつもの家賃がわりや。わしはなかなか現金という奴を稼ぐのが難しくてな、物になってしまうんや。それをまた花守君に運んでもらうのも悪いが、受け取ってほしい。現金に変えれるもんは、変えてほしい。」
花守は答える。
「ありがとうございます、遠慮なく頂きます。あと、これくらいの荷物、運ぶの簡単です。任して下さい。」
それから花守は、米俵を運んだり、木箱を運んだりしてトラックまで往復した。山道で汗が吹き出たが、花守は重たい者を運ぶのが好きなので心地よく荷物を運び続けた。神様は小屋の横に座り、タバコを吸いながら花守が運ぶのをずっと見ていた。時折、鳥や小さな動物が神様のそばに近寄るのを花守は見ていた。でも、花守はそのことについては神様に何も聞かなかった。米俵やほかの木箱についても、どうやって手に入れたのかも聞かなかった。荷物を全てトラックに積むと、二人は来た道を走り始めた。

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