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【騒音の神様】144 現場の片付け終わる。

松原は顔の腫れも引いて、元気にバリバリ体を動かす。竹之内工業の従業員達も、台風の間にすっかり体が回復した。
「わしら、なんやかんやで体丈夫に出来てるわ。」
「ほんまや。それに、体動かしてる方が、体の調子がええわ。」
等と元気な会話が飛び交う。高石は、次のボクシングの試合が決まり気持ちが充実している。皆が泥だらけになって片付けをしている最中、松原に声を掛けてくる男達がいた。
「松原さん、台風もどっか行ったし、練習しましょうよ。体がなまって。」
夜の公園で、松原にボクシングを教えてもらっている男達だった。顔に泥をつけたまま、にこやかに松原に話しかけた。松原は、
「おう、そやな。今日やろか。」
「よっしゃ、ほなまた、夜に。」
と言って二人の男はすぐに自分達の仕事場に戻る。お昼休みの前には、すっかり片付けは終わり午後からの仕事の準備を始めた。昼飯は、竹之内も含めて竹之内工業の皆が地面にブルーシートを敷いて弁当を食べる。お昼を食べると、皆またバリバリと体を動かし働き始めた。昼から竹之内は、以前のように工事現場のメイン道路にハーレーで移動した。
「あいつは、いつ来るかわからん。俺はヒジ打ち男を倒すためにここに来てるんや。油断したらあかんねや。」
竹之内はあらためてそう思い、行き交うトラック、ダンプカーを見続けた。そうしている間に、空の色が段々と変わり始めて、空が薄い水色になっていく。短かった影が長くなる。竹之内は、
「さあ、今日は帰ろか。」
竹之内はつぶやき、ハーレーを走らせて竹之内工業の皆が働く場所に向かった。空の色がオレンジ混じりの色になる。竹之内工業の一日が無事に終わった。

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