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【連続小説】騒音の神様 132 松原、万博現場にて。

松原は笑ったので、体のあちこちが痛くなったが元気が出てきた。松原は
「練習は、来週かな。また現場で会うたら決めよ。俺も体が痛くてな、また話すわ、」
と言ってボクシング練習の話は切り上げた。あまり長話はしたくなかった。相手も
「ほな、俺らも仕事抜けて来てるんで戻りますわ」
と言って、走って立ち去った。松原はまた作業に戻り、リーダーとして仕事の進み具合を見ながら指示を出す。しばらくすると竹之内がやって来た。
「おう、松原。えらい体動かしてるやないか。無理すなよ、」
と言い、続けて
「あいつら謝ってきよったんやな。まあ、悔しいこともあるわ。でもな、松原、遠慮すなよ。腹立つことあったら好きにせえ。ええな。」
そう竹之内が言うのを聞いて松原は、なんと言って良いかわからなかった。竹之内は松原の肩をドンと叩き、ゆすった。
「お前は頑張ってる。俺はわかってる。」
松原はその言葉を聞くと泣きそうになった。泣く訳にはいかないので、
「頑張りますわ。今日は今から片付けますんで、」
と言って皆に
「さあ、片付けるでー、」
と大声で言った。

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