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【騒音の神様】07 神様、グラウンドに乱入する。(激突体育会系暴力編)

神様は、子供達がぶっ飛ばされるのを見ていてもたってもいられなくなった。
「黙ってたらあかんねや、わしは知ってるんや。黙ってたらあかんねや。」
神様はグラウンドの中へ向かう。その間にも大人の指導者の荒々しい声が飛ぶ。
「ワレら、なめとったらあかんど、おうコラ」
一人の大人が、少年にまたがり上から殴りつける。
「すいませんでした、すいませんでした、」
と少年が必死に声を出す。神様は、馬乗りになって殴る男に突進した。ぶつかって止めようとしたが、吹っ飛んだのは神様だった。地面に転がりながら神様が叫ぶ。
「何をしてるんや、やめい。子供を殴るのをやめんかい、」
少年を殴っている男が振り返り神様に言った。
「なんや、じじい、怪我すんど。黙っとかんかい。神聖なグラウンドに勝手に入ってくな。おい、このじじい摘みだせ。」
別の大人がやって来て、神様の襟首を掴もうとした。その瞬間、花守が体当たりした。男は吹っ飛んだ。花守は話す。
「この人に失礼なことすなよ。」
ぶっ飛ばされた男は、数メートル空中を水平に移動した後、地面をゴロゴロ転がった。少年にまたがっていた男が立ち上がり、花守に向かってきた。
「なかなかええガタイしとるやないか。とにかく今は指導中や。出ていかんかい。」
神様が立ち上がりながら声を荒げる。
「なにが指導や。どついてるだけやないか。ここは軍隊か、違うやろ。手だすな。」
男が答える。
「軍隊やない、学校や。わしらは先生や。教えたってるんや。教育の一環や。ワレや口出しして責任取れるんか、こいつら試合に負けたら責任取れるんか、おう。じじい、お前が教えてくれるんかい、」
神様は思ったことを口に出した。
「なんちゅう汚い言葉や。チンピラやないか。」
神様の間に、少年が一人割り込んだ。馬乗りで殴られていた少年だった。
「すいません、僕らが悪いんです。やめてください、すいません、」
神様は、少年に謝られて戸惑ったが黙ってはいなかった。
「何を君が謝ることあるんや、君は中学生か、鼻血出てるやないか。」

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