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光ディスク記録~高密度化への挑戦~

ソニー広報部のSTです。先日、NHKワールドの番組「Japan’s Top Invention」より取材を受けました。“日本発で世界的にヒットした製品の「開発秘話」を通して日本人ならではの発想やチームワークを紹介する”番組です。「ブルーレイディスクの基本構造と製法」を発明したソニーの柏木俊行さんが、試行錯誤の連続だったブルーレイディスク規格の開発当時の話をご紹介しています。

ブルーレイディスクの「構造」と「製造方法」を発明した柏木さん。冒頭のイラストはどちらも、柏木さんご本人が描いたものです。

今ではすっかり一般家庭に普及しているブルーレイディスク(BD)は、CDやDVDと同じくレーザー光によって映像や写真、音楽などのデータを読み書きする円盤状の記録メディアです。CDやDVDと同じ直径12センチ、厚さ1.2mmの光ディスクに、DVDの約5倍の25GBの映像データを繰り返し記録・再生する「Blu-ray Disc規格」を正式発表したのが、今からちょうど20年前の2002年でした。

左から [CD] [DVD] [BD] 
電子顕微鏡で撮影したレーザー光のビームスポットと光ディスク上のトラックピッチの画像で、ビームスポットがどんどん小さくなり、記録が高密度化される様子が見えます。

同じ面積のディスクに約5倍ものデータを記録するには、記録の高密度化が必要です。そこで、レーザー・レンズ・樹脂材料などすべてをBD用に検討し直し、新たなディスクの基本構造と量産方法が開発されました。BDの記録層には電子顕微鏡でなければ見えないほどの超微細なピット(穴)がびっしりと刻まれていて、その上を樹脂製のカバー層で覆い保護しています。ディスクのわずかな反りや傾きを吸収し、正確にデータを読み出すためには、そのカバー層をわずか0.1mmにする必要があると柏木さんは判断したそうです。このカバー層の成形がBD開発の中でも特に難題で、「最初の数年はあらゆる可能性をひたすら試す以外の選択肢はなかった」と番組内のインタビューの際に振り返っています。

世界初のブルーレイディスクレコーダー(2003年発売)の紹介を背景に、ソニーグループ株式会社 本社(港区港南)のヒストリーウォール前でのインタビュー収録

現在のBD技術はさらに進化し、記録層を3層および4層で構成する「BD-R XL」という新しい規格も策定され、最大128GBの大容量記録が可能な商品が市販されています。 

さらに、フローサイトメーターという細胞を分析する装置にも応用されるなど、BD開発で培われた技術は異分野へも発展しています。

今回の取材を通して、BDがこれほどまでに精密に制御された高度な技術であることと、それをまったく感じずに、誰でも気軽に扱えるようにと緻密に設計されていることに驚きました。自分たちの技術を信じて、数々の難題を乗り越えて世界初の開発を成し遂げた熱意と粘り強さにも感動しました。

開発当時の再現ドラマの中で使われた 実験装置の前で

現在の開発現場にも、さまざまな分野で日々チャレンジをしている技術者が沢山います。その取り組みも、この広報noteで少しずつご紹介していきたいと思います。

関連リンク
Japan's Top Inventions - TV | NHK WORLD-JAPAN Live & Programs

ブルーレイディスクとは | ブルーレイディスクレコーダー | ソニー (sony.jp)

執筆:広報部ST


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