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怒りを制する——ブッダのことば『スッタニパータ』より

蛇の毒が(身体のすみずみに)ひろがるのを薬で制するように、怒りが起ったのを制する修行者(比丘)は、この世とかの世とをともに捨て去る。 蛇が脱皮して旧い皮を捨て去るようなものである。

—『ブッダのことば-スッタニパータ (岩波文庫)』中村 元著
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原始仏典の一つ『スッタニパータ』より、冒頭の一文を引用。スッタニパータは、スリランカに伝えられたパーリ語仏典である。

最初は「蛇の章」から始まる。人間の怒りなどの想念が「蛇」として例えられる。
そして、この怒りという毒を制することの重要さが強調される。

この後には、愛欲、妄執、驕慢を捨て去ることの重要さが説かれる。そして、想念、妄想を乗り越え、一切は虚妄であるという「空」の思想を自覚することの重要性が説かれる。(「空」という言葉自体は後年つくられたものであり、ここでは登場しない)

貪り、愛欲、憎悪、迷妄などの執着の一切を超えた者は、怒りがなくなる。
そして、悩み、疑惑、苦悩がなくなる。そして、この世とかの世とを捨て去る、それは蛇が脱皮するようなものである、と説かれる。涅槃という言葉は使われていないが、涅槃に入ることを表している。

すべては、怒りを制するところから始まる。そのようにブッダは言っているように思える。

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