三百六十八話 バイトを探す

「ごきげんよう」「神のご加護を…」

朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。

学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。

そう、ここは神田ミカエル女学院…。

中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。

天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?

その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。

ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。

制服は翻さないように、静かに歩き…。

清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。

この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。

否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。


冬休みに入ったとある日…。

女悪魔グレモリーの言いつけでサタン様に会うことになった。

寒い日が続くので、私は外出したくないんだけれど…。

それでもすぐにサタン様に会うように言われる…。

私はグレモリーの案内で一路新宿を目指すことになった。

山手線で新宿に向かって…。

どうにか新宿駅に着いたのだけれど…。

私はグレモリーとはぐれてしまって…。

迷子になってしまったのだ…。

新宿駅は広大で複雑な構造…。

初めて新宿に来た私はどうしようもなく。

しゃがみこんで泣いてしまうのであった…。


泣いていた私を助けてくれたのは…。

銀髪をした綺麗なお姉さん…。

そのお姉さんは都庁で働いているという。

渡りに船とばかりに都庁へ案内してもらうことに。

その前に私が落ち着くまで喫茶店に連れて行ってくれた…。

なんて優しいお姉さん…。

喫茶店へ行った後、お姉さんの案内で都庁に。

都庁のとある部屋に入った途端…。

お姉さんの態度は豹変…。

なんとお姉さんの正体はサタン様だったのだ…!

サタン様は魔界で私と会ったことがあるらしく…。

紆余曲折あって、私のせいでお尻が痛いという。

私はよく謝って、サタン様のお尻を治す決意をする。

私はドラッグストアで座薬を買ってきて…。

サタン様に使い方を教えて、差し上げた…。

次の日にサタン様の元に行くと…。

サタン様のお尻の痛みは少し治まっていて…。

サタン様は椅子に座ることができたのである…。

これにて一件落着コンプリートなのであった!

あ、ついでにサタン様の契約カードもゲットしました。


その後、月日はあっという間に経ち…。

冬休みも終わり、2月もあっという間に過ぎた。

2月のバレンタインデーには藍さんたちにチョコをあげた。

かなり喜んでくれたけれど…。

お小遣いがあまりなくて、大したチョコをあげれなかった。

うぅ、自分で自分が情けない…。

藍さんに買ってもらったお洋服代も返さないとだし。

グレモリーから借りた薬代も返さないとかなぁ…?

私はバイトをする決意をしたのである…。

3月に入り、気温も少し上がってきたことだし…。

外出もそんなに辛くない…はず…。

できる限り楽して、稼げるバイトないかなぁ…?

前に喫茶店でバイトしたことあるけれど…。

もう接客業は懲り懲りなのであった。

なんにもしなくても稼げるバイトがしたい〜。


私はある日学校から帰ってきて…。

アストラル体になった花子さんにちょっと聞いてみた。

花子さんはとある事情で半透明の魂みたいになってしまった。

花子さんはいつも半透明の裸体で家にいる…。

とてもふくよかな身体で、胸もお尻も大きいので…。

目のやりどころに非常に困るのだ…。

服を着てくれと頼んでいるのだけれど…。

アストラル体なので服は着慣れていないらしい。

最近では、私の方も少しその姿に慣れてきたが…。

聞いてみたというのは、もちろんバイトのことで…。

すっごい楽して、稼げるバイトない?

と花子さんに聞いてみたのである…。

「少しお待ちください、お姉さま…」

そう言うと花子さんはどこからかスマホを取り出した。

アストラル体になっても、スマホは持ってるんだ…。

私はそんなところに感心してしまう…。


花子さんは誰かに電話をかけているようだ…。

「ご無沙汰しております。マダムK…」

なにやら、マダムKと言う人物にかけているらしい。

マダムKと言う人物に何か仕事はないかと尋ねているらしかった。

すっごい絵に描いたような美少女が仕事を探していて…。

すっごい楽して稼げる仕事がいいらしいのです…。

花子さんは訥々と、そんな会話をしている…。

数分経って、会話は終わったようだった。

「お姉さま、お仕事見つかりましたわ!」

花子さんは電話を終え、スマホをどこかにしまった。

「私が前にお世話になったマダムKに聞いてみましたの」

そのマダムKって何者なんだよ…。

その人が仕事見つけてくれたのであろうけれど…。

すごい胡散臭くはないでしょうか?花子さん…。

花子さんは一枚の紙を私に差し出した…。

紙には住所となにやらお店の名前が書いてある。

「そこに行けばいいバイトがあるそうですよ!」

えっへん!と大きな胸を張る花子さん…。

なんかすごい怪しいのだけれど…。

このお店を訪ねてもいいのでしょうか…? 

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