三百六十四話 ジャパニーズ土下座

「ごきげんよう」「神のご加護を…」

朝の清冽な空気の中、女子生徒の挨拶がこだまする…。

学校の校門をくぐると、そこは身も心も清らかな乙女の園…。

そう、ここは神田ミカエル女学院…。

中庭の大天使ミカエル像が、通う女子生徒たちを守護している…。

天界の大天使ミカエルは、ここに通う女子生徒たちを見て何を思うか…?

その御心は、まさに神のみぞ知るということなのだろう…。

ここに三年間通えば、お淑やかなお嬢様になって卒業できるという…。

制服は翻さないように、静かに歩き…。

清廉潔白で文部両道、それでいて純粋無垢な心を持った乙女たち…。

この学院には、そういった生徒しか存在しないのです…。

否、今日から新たに校門をくぐった、たった一人の生徒を除いて。


冬休みのある寒い日…。

私はサタン様に会いに行くことになった…。

寒いので炬燵に入ってのんびりしたかったのに。

グレモリーがダメだと言う…。

私は半ば無理矢理炬燵から出されて…。

渋々サタン様に会いに行くことになった。

サタン様は新宿都庁で働いているらしく…。

都知事になれなかったので…。

都知事の元で秘書をやっているらしい。

そういうわけで、私とグレモリーは…。

山手線で新宿に向かったのである…。

新宿駅はすごい複雑な構造で…。

すごい迷いやすいという…。

それは置いておいたとしても。。

サタン様は何か怒りやすい性格らしいし…。


やっと新宿駅に着いて…。

サタン様に会おうと言うときに…。

私は道に迷ってしまって…。

駅構内の端で泣き出してしまうのであった。

グレモリーは早歩きでどこか行ってしまった。

ちゃんと案内してくれないとダメじゃない。

私は悲しくもあり、腹立たしくもあり…。

しゃがみこんで泣いてばかりなのであった。

何分泣いていたかわからなかったが…。

銀髪ですごい綺麗なお姉さんが…。

私に優しく声を掛けてくれた…。

私は泣きながらだけれど…。

都庁に行きたいのですと伝えた…。

するとそのお姉さんも都庁勤務だという…。

渡りに船とはこのこと!?

私はお姉さんの手を取り…。

やっと立ち上がれたのである…。


銀髪のすごい綺麗なお姉さんは…。

私の涙を人差し指で、そっと拭ってくれた…。

その綺麗な仕草に私は見惚れてしまう。

そして、落ち着いた喫茶店に連れて行ってくれる。

そこでココアを奢っていただいて…。

私も落ち着いてきたので…。

そのお店を出て…。

お姉さんの案内で都庁に行くことになったのだ。

綺麗なお姉さんに連れて行ってもらえるなんて…。

なんて、私は幸運なのだろう…。

その時、私は心底そう思っていたのである…。


お姉さんと私は都庁に入っていって…。

豪奢なエントンランスを抜け…。

エレベーターに乗り、遥か上階を目指した…。

エレベーターを降りて…。

とある重厚な木製のドアのある部屋に案内された。

お姉さんは部屋に入った途端…。

なぜかドアの鍵を閉めてしまう…。

なにか私を閉じ込めようとしてる感じ?

そしてお姉さんは口調が変わって…。

なんとお姉さんはサタン様だと言うのである。


お姉さん=サタン様は…。

なにか私のことを恨んでいるらしくて…。

私のことを探していたらしい…。

サタン様が指をパッチンと鳴らすと…。

私が着ていた服が全部消え去ってしまい…。

全裸になってしまうのであった…。

私は突然のことでビックリしてしまい…。

薄い本みたいにエッチなことをされるかと思ってしまう。

サタン様がおっしゃるには…。

魔界で私と最初に会ったときに…。

私が不遜な態度を取ったらしく…。

サタン様は私を丸呑みにしてしまったらしい。

魔界のサタン様は巨大な魔竜の姿だったのだ。


「余は難無く貴様を丸呑みにしてやったのだ!」

サタン様はドヤ顔で自慢げに言うのである…。

私は全裸で四つん這いになりながら聞くしかない。

「しかし、貴様はなかなか消化できずに…」

サタン様は苦しそうな表情になる…。

「余のお尻の穴からそのまま出てきたのだ!!」

サタン様は痛そうにお尻をさすっている…。

「そのときに余のお尻は少し傷ついてしまったのだ!」

お尻がイタイイタイなのだ!

サタン様は少し涙目でそう言うのである…。

もしかしなくても、サタン様は痔なのかな…?

だから、座ることができないのか…。


「だから貴様は余に裸で土下座しないといけないのだ!」

陳謝するには、ジャパニーズ土下座が1番なのだ!

全裸土下座は土下座の中でも一等級の土下座…!!

もっと頭を床に擦り付け、ちゃんと謝れ…!

謝れ謝れとうるさいサタン様…。

「わかりました。申し訳ありませんでした。サタン様」

私は四つん這いで、頭を床につけて謝った…。

床は分厚くて高そうな絨毯で覆われている…。

「な、なによ!?随分素直に謝るじゃない!?」

魔界にいた頃とだいぶ性格が違うじゃないの!?

どういうことなの!?おかしいじゃないの?

サタン様はなにやら混乱しているらしい…。

私は現世に来たときに記憶がなくなってしまったと。

サタン様に説明した…。

「貴様!?記憶がないのか!?そうかそうなのか!?」

サタン様はは余計に混乱しているようだった…。

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