二百三十六話 制服

紆余曲折あり、愛しい翼さんと別れることになった私…。

悲しいけれど、これ物語の展開なのよね…。

謎の言葉が脳内に響いたけれど、気にしないことにする…。

そのあと、契約した女悪魔グレモリーの元で暮らすことになったのである。

グレモリーの家に入り、私とグレモリーは今後のことを話すことにした。

「それよりも、ご主人様、今後のことを話しましょう」

グレモリーは私に椅子に座るように促した…。

テーブルを挟んで、向かい側にグレモリーも座る…。

「ご主人様は、私の家に住んでもらうことにして、寝室もございます」

廊下の途中にドアが複数あったので、それのどれかが寝室なのだろう。

「ここにただ住んでもらうには退屈でしょうから年頃のご主人様には学校に通ってもらいましょう」

え?え?え?学校通うの??学校も嫌だから家出してきたのに…。

「ダメです。若い人の本分は学業にあります。学舎で色々なことを体験し学習してもらいます」

グレモリーさんは悪魔なのに、すごい真っ当なことを仰いますね…。

「近所に女子校があります。丁度いいでしょう、春から編入してもらいますからね」

この近辺、本当に大学や高校が多かった…。それを見越した所行なのかな。

「近年できたミッション系中高一貫校の女子校があります…」

グレモリーは、学校のパンフレットをテーブルの上に差し出した…。

なになに、神田ミカエル女学院…?

神田川のほど近くになるから、神田とついてるらしい…。

ミカエル女学院という名前は、なかなかオシャレだけれど。

そこに神田がつくとなんとも…。一気に庶民的に思える学校名だ…。

しかし、なんでこの私がミッション系の学校にいかないといけないのだ…。

そんなところに通っていて、天使側の人間に出会ってしまったらどうするんだろう?

グレモリーが言うには、そう言うところに通った方が灯台下暗しで見つかりにくいのだそう。

本当かな?そんなに都合よく行くのかな??大丈夫かな?

不安しかないけれど、グレモリーさんは満面の笑顔で学校の説明をしている…。

「ほらほら、ご主人様、今年から制服の色も選べますよ!」

パンフレットをめくると、真っ白なブレザーを着た女生徒たちが微笑んでいた…。

夢と希望を紡ぐ我が校へ、ようこそ!とか書いてある…。

夢も希望もない、絶望している私への当てつけのような文句だった…。

そして、なんで真っ白なブレザーなのだ。

お昼にカレーうどんとか食べたら悲惨なことになってしまうでしょう…!?

よく見ると制服は選べて、真っ白なブレザーか、黒のセーラー服かで選べるらしい。

私は黒のセーラー服の方がまだいいかなぁ…。

「ご主人様の美しい黒髪に真っ白なブレザー、似合うと思いませんか?」

私の気持ちを読めてないグレモリーは、勝手に盛り上がっていた…。

絶対、この人、私に制服を着せたくて高校に行かせる気だ…。

私は、かなりげんなりしてしまうのであった…。

「ご主人様の制服姿、楽しみすぎますねぇ…!」

グレモリーは娘の入学式が楽しみな母親のような表情をしている…。

パンフレットの制服を着ている少女の写真を指先で撫でている…。

「こうして、またご主人様と二人きりで生活できるなんて夢みたいですね」

グレモリーは魔界にいた頃を思い返しているのか、感慨深い表情を見せている。

私にはあまり記憶がないので、グレモリーの駱駝に乗せてもらって旅していた思い出しかない。

その記憶の断片をかすかに覚えている程度だ…。

「それだけ覚えいていてくだされば、この私、大満足でありますぅ!」

また私の回想というか考えていることを読んでしまうグレモリー…。

「魔界の荒野を私の駱駝に二人で乗って、色々冒険しましたねぇ…」

駱駝に乗せてもらったお姉さんと言う印象しかないのだけれど…。

「夜は熱いベーゼを交わして、もっといろんなことしましたねぇ…」

記憶が曖昧だから確実ではないけれど、そんなことはなかったはずだ…。

「もう、ご主人様はいけずですねぇ。私はもう身体が滾ってきましたわぁ…」

そう言うとグレモリーは服の胸元をガバッと開けて、胸の谷間を見せつけた…。

な、何をしているの!?グレモリーさん…。ダメだよそんなの…。

「ご主人様は大きな胸が大好きなんでしょ?我慢しなくていいんですよ」

グレモリーはもっと胸元を開いて、乳首が見えるか見えないか瀬戸際にした。

そ、そんなことしても、翼さんと別れたばかりなんだし…。

わ、私はそう言う気分にはならないからね…。

「ほらほらぁ、ご主人様たゆんたゆんですよぉ。私の胸…」

グレモリーは自分の大きな胸を、ゆっさゆさと揺らし始めた…。

褐色の肌の豊満な丸い胸が、ばるんばるんと揺れていて…。

私の目はその様を凝視してしまうのであった…。

このままではいけないと、私は首を大きく横に振り…。

グレモリーの側に行き、服の胸元を直してあげた…。

これでヨシ!如何わしいものは何も見えません…。

グレモリーは、お預けを食らった犬みたいな顔をしている…。

ふふふ、面白い表情。グレモリーの思い通りにはいかないわよ。

私は少し満足げな顔をするのであった…。

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