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ミュージカル映画のダンスについて考える。〜スター、アステアともなればストーリーはいらない?

こんにちはソノです♡
少しづつ読んでくださる方が増えているようで嬉しい限りです。スキしてくださっている方、ありがとうございます。

今回は、ミュージカル映画のダンスシーンと、ミュージカル映画黄金期のスター、フレッド・アステアの話をしたいと思います。

ミュージカル映画黄金期といえば、1930年代からのアメリカ恐慌時代。
ワーナー・ブラザースが大規模なセットで『フットライト・パレード』や『上海リル』といった派手派手なダンサーをたくさん使ったバークレー監督作品を制作したり、
MGMがアステアやジンジャー・ロジャース、ジーン・ケリーら、名だたるスターを輩出した時代です。

今日はそんな黄金期の中でもスター中のスターとも言える、タップダンサー、フレッド・アステアの話です。

アステアのダンスシーンといえば?

『トップハット』でジンジャー・ロジャースと踊ったナンバー《雨に降られるには素敵な日》はどうでしょうか?
このナンバーは、約10分間?長尺でワンカット、
クローズアップもなしで、頭の先から足の先まで映し続けたまさに、ダンスのためのダンスナンバー。

彼の真骨頂、タップダンスが長回しでしかも全身くまなく見れるナンバーはほかにもあります。

『恋愛準決勝戦』での、帽子掛けと踊るダンスシーンは有名ですね。帽子掛けをダンスの相手に見立てて踊るナンバーです。

はたまたオードリー・ヘップバーンとペアを組んだ『パリの恋人』でのナンバーはどうでしょう。
裏地の赤いレインコートを翻して、闘牛士のようにステップを踏むアステアが見られます。


あれ…だんだん相手が人ではなくなってきました。


そうなのです。フレッド・アステアのお相手は何でもいいのです。
人でも素敵です。しかし、帽子掛けとも踊れます。
架空の牛とも踊れます。
もはやアステアのダンスシーンが映像映えするなら、なんだっていいのです。

これはアステア映画の大きな特徴と言えます。

アステア出演作の目玉は、
"アステアのダンスシーン"です。
びっくりなどんでん返しの待つ結末や切ないラブストーリーといったストーリー構成より、ダンスシーンの方が比重が重たいのです。

それほどまでに観客がアステアのダンスシーンを見たがっていた、
もしくは、
興行主がそこに価値を見出していたということでしょう。

スタンリー・ドーネンらアステア出演作の監督は、
あの手この手で観客が沸きそうな、新しい仕掛けのダンスシーンを考えているようです。(闘牛士の案はアステアのアイデアという話もありますが)

アステアのダンスシーン、
それは映画を映えさせるものではなく、
ダンスシーンを映えさせるものが映画なのです。

そんなダンスシーンを生み出すアステアには、
もはや人間のお相手も綿密なストーリーも必要ないと言えてしまうのです。


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