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リファラル採用のひみつ〜社員数100名・リファラル率70%のUbieがやっていること〜

こんにちは、Ubie Discoveryでカルチャー開発をしている sonopyです。
Ubieではリファラル採用に力を入れており、リファラルでの入社率は現在72%です。
この記事では、100名規模でリファラル70%の組織がリファラル採用を増やすために考えてきたことや施策など、内情をご紹介します。「どうしたらリファラル採用を増やせるか?」と考えている方にとって、参考になったら嬉しいです。

※Ubieは2つの組織に分かれています。この記事では発見・探索をミッションとする「Ubie Discovery」について紹介しています。

私たちはGoogleではない。「紹介してください」では紹介してもらえない。

私たちUbieは、ほとんど無名の医療系スタートアップです。
こんなことを言うとGoogleの方に怒られるかもしれませんが、もし私たちがGoogleだったら、知人を誘うのにさほど特別な理由は要りません。
「理由は要らない」は言い過ぎとしても、優秀な知人に「最近転職したんだけど今度遊びに来ない?」「うちの選考受けてみない?」と声をかけた時の勝率は、Googleと一介のスタートアップでは大きく異なるでしょう。
また、紹介するメンバーの心理的ハードルも、Googleと一介のスタートアップでは大きく異なります。

残念ながらまだGoogleではない私たちは、「リファラル紹介お願いします!」と依頼するだけでリファラルを増やすことはできません。

まず考えたい。「自信を持って誘える会社か?」

ではどうすれば、リファラルで採用していけるでしょうか。Ubieの例では、リファラル採用できているのは「自信を持って誘える会社だ(と感じているメンバーが多い)から」です。

会社組織をプロダクトに置き換えて考えてみます。素晴らしいプロダクトならセールスメンバーは自信を持って売れるし、ユーザーも友人知人に口コミしてくれます。逆に、プロダクトのUXが悪いなどバケツに穴が空いた状態では、売上が伸びないばかりか、無理にユーザーを増やしてもチャーンが絶えません。

同様に、「既存メンバーが自信を持って誘える程度の会社かどうか」は、リファラルを増やすための土台であり、最も大きな変数ではないでしょうか。
例えば、(一般論として)エンジニアは優秀なエンジニアと働きたい傾向が強いので、自社の同僚を素晴らしいと感じていなければなかなか紹介はしないでしょう。また、「開発の意思決定に納得がいかない」「給与が明らかに低い」「事業の先行きが暗い」などの場合にも、優秀な知人に声をかける可能性が低いことは容易に想像できます。

リファラル採用を増やしたい会社がまず考えるべきは、細かいフローを整えるより、プロダクトである自社組織の魅力最大化
当たり前のようですが、ここは外せないポイントです。

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社員向けアンケート「Ubieはなぜリファラルで採用できていると思いますか?」

少々乱暴に「リファラル採用出来るのは自信を持って誘えるから」と結論づけましたが、実際のところはどうでしょう。自分の思い込みかもしれないので、メンバーに簡単にアンケートしてみました。

短時間で25名が回答をくれました。(感謝!) 回答者属性は、エンジニア52%、BizDev25%、デザイナー8%、その他16%です。
「Ubieはなぜリファラルで採用できていると思いますか?」という質問への回答コメントを、大雑把に分類して紹介します。
※長くなるので抜粋していますが、コメントの編集はしていません
※任意のアンケートなので、偏りはあると思います

◆総合的に自信があり薦めやすいから(約半数がこの回答)
・本質的に事業やカルチャーなどに魅力がある&その可能性を社員が信じることが出来ている
・知人に紹介したくなる会社。
・社員もプロダクトも今後の成長性もどれも自信を持ってるので、安心して一緒に働きたい人を誘えてる感じですかね。
・会社(ビジネス、カルチャー、人)が最高だから
・純粋に他人に勧めやすい要素が多い会社だからだと思う。公益性の高い事業、成功時のインセンティブ、インパクト十分、プロダクト中心のカルチャーと組織。
◆明確な推しポイントがあるから
・ビジョンが明確かつユニーク。医療という領域は理解しやすいし、アプローチもユニークなので口説きやすい。
・評価ゼロやフルリモート可など、相手にとっても魅力的な環境が用意できているから
・推しどころが明確なので声をかけやすい(医療という社会貢献の高さ、マネジメントや役職なし等の働く環境など)
◆メンバーの採用への当事者意識が高いから
・組織の仕組みや、その結果採用されるメンバーに「会社は一人ひとりが大きくするもの」という意識・傾向があるから。
・採用に全員がコミットしてる。
・全社意識、経営マインドがあるため、事業成長のための組織成長・採用を当事者として行う

約75%が、上記3つに分類される回答でした。
やはり、メンバーの生の声を見ても「リファラル採用できるのは自信を持って薦められる会社であることが重要」と言えそうです。

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事業成長に当事者意識があれば、採用への当事者意識が生まれるのは必然

もう一問、「なぜ知人を紹介したのですか?」とも聞いてみました。先程の質問は会社観点、2問目は個人の観点です。
回答全体の71%が、以下の3つに分類されました。

◆事業成長のために優秀な人が必要だから
・事業、プロダクトのやばい課題が次々出てくるので、優秀な人を呼ばないといけないモチベーションが自然と湧いてくる。
・求める事業開発・展開スピードに対して人が足りないから
・会社が成長しないと入社した意味がない。会社を成長させるにはもっともっといい人が増える必要がある。いい人を増やすにはいい人を知ってる自分が積極的に紹介する。
◆一緒に働きたい人だから
・自分の周りを最高な人で揃えたいというエゴ
・自分が働きたい人と働きたいから
・個人的にその人と一緒に働きたいから
◆win-winだから
・全員(俺も誘われた人も会社も顧客も投資家も)幸せになるので
・単純にUbieもその人も幸せになると思ったから
・正直、それがお互いに最高だとおもった。

ほかには以下のような回答もありました。

・Ubieがいい会社だから。note記事や採用ページなど、メンバーが外部に発信してる情報と、実際のところでいい意味でのギャップしかない
・リファラルでスキルも人柄も知っている人を紹介するのが、Ubie のカルチャーを守り育てつつ、ミッションを数年で達成するためには一番近道だから

まとめると、「Ubieはいい会社だから、一緒に働きたい人は当然誘うよね。そうしないと事業が伸びないし」といった感じでしょうか。
事業拡大への当事者意識が高いのが、特徴的な点かもしれません。
例えば創業者・経営者が事業拡大のために採用を頑張るのは、言ってしまえば当然のことです。それと同じように、経営者ではないメンバーも、経営者に近い形で事業拡大への当事者意識を持てていれば、当然優秀な人材獲得に目が向かうでしょう。

Ubieメンバーの事業当事者意識が高い背景には、人材要件やカルチャーなどもありますし、報酬設計の影響もあると思います。全員がストックオプションをしっかり持っているので、事業拡大が他人事になりにくいのです。

参考:Ubieの評価や報酬設計の考え方についてはこちら

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プラスα、リファラル最大化するために出来ること

さて、自信を持って誘える会社かどうかが重要と書いてきましたが、これはあくまで最低条件であり、十分ではありません
Ubieでリファラル採用を増やすために行っている施策を紹介します。「紹介したい会社を作ること」に匹敵するほどの効果はありませんが、「とは言え直近で何か出来ることを増やしたい…」という時に参考にしていただければと思います。

◆採用活動への当事者意識形成
・専任の採用人事を置かない
採用専任の人事を置かないことにより、自分が動かなければ何も起こらない状況を作っています。
・「全員採用」を常に連呼
採用候補者の方にも、入社決定する前から頻繁に「全員採用」の話をしています。多くの場合、入社時点で既に採用への当事者意識は高い状態です。
・オファーレターの記載
全社員の採用通知書の役割記載欄に、「採用活動」と明記しています。

◆障害の排除
・オンボーディングセッション
入社時と定期的なフォローアップ会で不明点を解消します。
・リファラルガイドの作成
リファラルのフローやQ&Aをまとめたドキュメントを用意しています。
・代表がいつでもカジュアル面談
誰でもカレンダーが空いているところに入れるだけで共同代表/医師の阿部をカジュアル面談に召喚できます。自分だけではうまく説明出来ない部分は、代表が話します。
・全体Mtgでのポジション紹介
他部署のポジションも把握できるように、全員集まる週次mtgで新しいポジションや注力ポジションの説明をします。

◆インセンティブ
・リファラル報奨金
勇気を出してリスペクトする知人を誘い、通常業務の時間を削ってフォローしているので、御礼的な意味でも30万円の報奨金を設定しています。

◆きっかけづくり
・メモリーパレス会
素晴らしい知人がいてもパッと思い出すのは難しいので、メモリーパレス会を行っています。(参考:Sequoia Capital 流「メモリーパレス」)
・会食促進
Ubieのエンジニアはすぐに「お寿司おごらせて」と言います。素晴らしいメンバーと働ける確率が上がるなら、会食費などは安いものです。どの店に誰と行くか、全て各メンバーに決める権限があります。
・Ubie Eats
自粛期間中はお寿司をご馳走するのが難しいので、Uber Eatsのチケットを贈ってリモートでの会食も行っています。もちろんお寿司に限りません。

他にも、チームごとに候補の方のリストを作成・運用するなど様々な活動を行っています。
これらの活動は、エンジニアやBizDevメンバーを中心に「自粛期間はお寿司おごれないけどどうする!?」「Ubie Eats始めよう!」とワイワイ企画しています。

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ないものばかりのスタートアップでも、最大の成果を出せるのがリファラル

採用戦略・戦術は自社の持つアセット次第です。私たちの場合は、創業初期からビジョン・事業・チームに自信があったので、リファラル採用は選択しやすい手段でした。
一方で、「持っていないもの」も多くあります。

◆採用ブランドがない
Ubie Discoveryは職人気質でアピール下手です。また創業者も特に知名度があるわけでもなく、採用ブランド作りには少々苦戦してきました。
採用ブランドがないと、Webサイトからの応募が期待できないばかりかスカウトへのレスポンスも低くなります。
マーケター不足も相まって、セールスはできるがマーケができない(会えば分かってもらえるが、リファラル以外で会う機会を作りにくい)状況が長く続いてきました。

◆採用人事がいない
採用人事を置かない体制だと、エージェント経由での採用が難しくなるというデメリットがあります。
「全員が採用の主体者」だと、エージェントさんからすると「誰に連絡していいかわからない」「誰が決裁者かわからない」状態です。基本的にこちらがご迷惑をかけるばかりなので、なかなかお願いしにくいのが実情です

「採用人事がいない」は少し特殊かもしれませんが、「採用ブランドがない」はほとんどのスタートアップに共通する課題かと思います。
しかしリファラル採用であれば、採用ブランドがなくても、良いチームさえあれば闘えます。資源を多く持たないスタートアップが勝てる戦場です。

そのうえ社風やニーズを理解しているメンバーの紹介となると
・ミスマッチが起こりにくい
・転職市場に出てきていない優秀な潜在層にアプローチできる
・他の採用手法と比較して効率的
など、良い点は枚挙に暇がありません。

Ubieは幸いにも、メンバーが自信を持って紹介出来る組織を維持できたので、リファラル採用への注力により、最小のコストで最高の成果を獲得してこられました
現在は引き続きリファラル採用に力を入れつつ、「採用ブランドがない」という課題の克服を目指しています。(知人の社員がいなくてもぜひご応募ください!)

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まとめ

・リファラル採用にはまず「自信を持って薦められる会社かどうか」
・事業への当事者意識が、採用への当事者意識を生む
・プラスαで、障害排除・きっかけづくり・インセンティブなどの施策
・採用戦術はアセット次第。自社のアセットから最適な戦術を考える

最後に、「How Google Works」から印象的な文章を引用します。

とびきり優秀な社員の数を二倍にするのは、じつは簡単だ。ラリー・ペイジがよく言うように、全社員がひとりずつ、優秀な人を連れてくればいい。会社が採用を完全に他人任せにすると、社員の質は低下する。(P161 人材-採用は一番大切な仕事- 「誰もが"スゴイ人"をひとりは知っている」の章から)

全員が1人だけ連れてくれば倍になると考えると、リファラル採用で組織拡大するのは、実はそれほど難しくない。という気もしてきます。

しかし現実には、そう簡単にメンバーは増えてくれません。実際のところ、Ubieも全員が頻繁にリファラル採用できているかと言えばそうでもありません。採用ペースはもっと上げたいけれど追いつかず、皆でもがいているというのが実情です。
偉そうに「リファラル採用出来ている。何故なら自信と当事者意識があるから」と書いてしまいましたが、私たちもまだ、「紹介せずにはいられないほど素晴らしい会社」の域ではないのでしょう
今後も皆でプロダクトやチームを磨き、選ばれる会社を目指していきたいと思います。

どんなふうにプロダクトや組織を磨いているか気になった方。
カジュアル面談などでご説明しますので、ぜひご応募ください。DMもどうぞ。

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