「今が一番若いんだから」と言われても... 1/4
今が一番若いんだから!という言葉。ある一定の時期から流行り出したような気がする。しかしそれが一体いつだったかは分からない。気がつけば身の回りにあった。よく耳にするようになったのは30代に突入してからだったと思う。もしかすると流行りなどではなく、ずっと前から存在するありふれた言葉で、世代が違っていたから耳にしなかっただけなのかもしれない。
今が一番若いんだから!という言葉の後にはポジティブな言葉が続く。今が一番若いんだからこれに挑戦しなきゃ!とか、そういった風に。
今が一番若いんだからと言われるようになれば、その人は若者と言われる括りにはいないのだろうと想像できる。それでも自分を鼓舞して立ち上がる。そして、なぜ自分はもっと若い時にこれをしなかったのだろうとか、あれをしなかったのだろうとか、そういった後悔に直面する。
私の場合は、いつかお金が貯まったらいきたいと思っていたワーキングホリデー。いつまで利用できるんだったかなと調べたところ、年齢制限が目前で、初期費用をまかなうための貯蓄もなく、もう挑戦することすら出来なくなっていた事があった。自分はまだ大丈夫だろうと何も調べてこなかった、準備をしてこなかったと、自らの過去の行いを悔いた。仕事においても、新しい職種に挑戦しようと、各種書類やフォームに目を向けるが、埋まらない記入欄にコンプレックスを刺激され、今まで自分は何をやっていたんだと項垂れる。そして、今が一番若いんだからと言われるような年齢になれば、物事を始めるために経験と実績の蓄積が必要となることを知った。ゼロに近い残高を見つめる時のような恐怖と焦り。お金のことなのに、命のことのように感じてしまう。いや、お金のことだから命のように感じてしまうのだろう。
世の中思ったより年齢で制限がかけられたり、判断されたりしている。各種募集要項には表向きには年齢制限は記載されていなかったとしても、裏で年齢で物事を判断する風潮が消えることはない。このように今が一番若いんだからと立ち上がってみて、挫折することも少なくはない。そして、今が人生で一番若いんだからというカードには「今がこれまでの一番人生で老けている」と書かれた裏面が存在するの知った。
「今が一番若いんだから」の残酷性
おねがい
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