アスパラガス半促成栽培の収入は? 1年目の「収入」「支出」「労働時間」を公開!
私は、秋田県由利本荘市というところで親と一緒に農業をやっていてアスパラガスの栽培を担当しています。
私自身、就農する前は「収入」「支出」「労働時間」という農業で起業する際の計画に必要な情報を収集しましたが、思うように集められず不安と不満でいっぱいでした。
義理の親にあたる両親が現役で農業をしていたので親とは別に農業を始めようと思い、市や県といった行政機関、農業公社や商工会などの行政関連機関、農協など様々な方々とお話しして新規就農の準備をしていました。
与えられた情報だけでは、自身で納得のいく事業計画を立てることができず、行政機関に提案していただいた計画に本気で取り組む覚悟もできませんでした。
親からは「農業をやりたいなら、リスクを取らず数年後に自分たちが引退した後を継いではどうか」という提案を受けました。
すぐに起業する決心ができなかったので継業の件は後々に考えるとして親が新しく始めたアスパラガスの半促成栽培部門を手伝うことになりました。
このような流れで始まった、アスパラガス栽培1年目の情報を公開していきます。
まずは、前提条件を紹介したいと思います。
これから紹介する栽培農法、栽培地域、作型、収穫方法、販売先によって収量や栽培期間、販売価格が異なり収益が大きく変わってしまいます。
農法は?
慣行農法
堆肥・化成肥料・農薬などを使用して栽培する慣行農法と呼ばれる一般的なものです。
※他には、有機栽培、自然栽培などがある。
地域は?
寒冷地
アスパラガス栽培では寒冷地に属しています。寒冷地で有名な産地は北海道や長野県です。
※温暖地として有名な産地は佐賀県、熊本県、長崎県。
作型は?
半促成栽培
ビニールハウスで加温し収穫できる期間を伸ばして栽培する半促成栽培という方法です。
※他には、露地栽培、伏せ込み促成栽培などがある。
収穫は?
長期どり
春の収穫から秋まで続けて収穫する長期どりという方法です。
※他には、春どりだけ、春どり後に少し休んでから夏秋に収穫する二季どりがある。
販売先は?
市場
出荷先は、農産物流の主流である農協を通じて大手市場に出荷しています。
※アスパラガスの場合、春と夏以降では市場価格が大きく変わります。
これから紹介する数字は上記の条件での結果である事をご理解の上、続けてお読みください。
これから掲載する数字はすべて10a(面積)あたりに換算して表記していきます。
※10a=1000㎡=1反=303坪
売上
0円
アスパラガスは春に苗を定植するのが一般的です。定植一年目は株を育てるために収穫はできません。
支出
-545万円
内訳 暗渠・ビニールハウス・灌水設備・支柱・堆肥等必要資機材一式
これは、始めるために掛かった初期費用です。
初期費用の総額に対して県から受け取った助成金を引いた金額です。
1年目で全額を支払うわけではありませんが、1年目に支出した金額になります。
先輩農家さんなどの情報では、ビニールハウスのみの建設費は1坪1万5千円程度。
必要資機材一式に揃えると1坪2万くらいとの事です。
ただ、これは雪国の秋田で丈夫なビニールハウスの事なので、温暖な地域だともっと安くなると思います。
※助成金なしの自費だと10aで500万円くらい必要じゃないでしょうか。
労働時間
240h
6月末頃に定植して、その後12月までに作業した総労働時間です。
少し細かく分類して直接労働と間接労働に分けました。
直接労働 62h
直接労働は、灌水や温度調整、間引きや農薬散布など管理しなければ、アスパラガスの栽培に大きな問題が生じる作業の事です。
間接労働 178h
間接労働というのは、除草や暗渠工事、明渠工事、情報の記録などアスパラガスの栽培環境を整えるため、収量向上など改善するために作業した時間です。
これは事前の準備が整っていればやる必要のない作業も多くあったので分けました。
※段取りが悪かったり管理を怠ると後々の作業時間はどんどん増えてしまいます。逆にしっかり準備することができれば1年目はそれほど手がかからないといえます。
「上手くいけばどれくらい収益が出るのか」
アスパラ農家は儲かるのか?どのくらいの収入が見込めるのかを記事にしました。よろしければこちらもご覧いただければと思います。
記事の内容
■本当に儲かるの?
■新規参入したらどれくらいの収入になるの?
■経営の視点からみるアスパラガスの特徴
■経営リスクを考える
■まとめ
次回は、アスパラガス栽培2年目、初収穫、初売り上げを公開する予定です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?