ありえた日

私が過ごすはずだった平凡な日常が、私によって過ごされなかった平凡な日常が、ときどきぽんと肩をたたく。ヘイ、私のこと忘れてない?
 ─忘れてないよ。 元気だった?   ─元気だよ。私が過ごすはずだった日常は、私に過ごされなかった日常は、これからも消費されることはなく、別の誰かが、 おそらく私がしていたことによく似たことをしている。その破片がふってくる。悲しくはない。悲しくなるには、遠すぎる。

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