27年前、ネットで。
インターネットがしたいと思ったのは、子どもが生まれたばかりの頃。
淋しかったんだと思う。赤ん坊と幼児とばかり接して、世界の中で一人きりのような気がして。
夫のパソコンを眺めて、「これで誰かと会話するにはどうしたらいいのか」とか夢想していたっけ。(多分、それはワープロだった)
そして、その後、訳あって夫とは別れ、満を持してパソコンを手に入れた。
Windows 98。
兄がSEなのでパソコンを組み立ててもらって、自分でOSを入れた。
ダイアルアップ回線で、繋げていれば繋げているほどお金がかかる時代。
まだ、楽しいサイトも少なく、メールをするためにパソコンが存在するような時代。パソコンを購入した、と話しても「それで何をしているの?」と聞かれる時代。動画なんてなかった。写真さえ、ダウンロードするのに大変で。
雑誌を見て、ファンページを探してアクセスしたり。検索するのに、一文字でも間違ったらたどり着けないとか。
ある日、テレビを見ていたら疑問に思うような番組に出会った。
「奇跡の詩人」
どうしても、番組の内容が信じられず、モヤモヤして、誰かと共有したくて。
でも家族や周りの友人は番組を見ておらず、私の、モヤモヤを理解してくれるひとは一人もいなくて。
そう、それを理解してくれたのがインターネット。
まあ、所謂、2ちゃんねる。
そこには、同じように感じ、同じように疑問に思い、同じように憤慨している人々がたくさんいて、会話が通じる楽しさを一気に味わえた瞬間。
多分、すごく興奮したと思う。アドレナリン、どばーっ!
今ならば、ツイッターやLINEで、即時に出来ることが、その時には魔法のように感じられた。
疑問もすぐに調べられた、聞くと答えてくれる人がいた。
パソコンが、インターネットが宝箱のようにキラキラと感じた。
今では、わかっている。
その気持ちも危険であること。
過信しすぎも間違いであること。
はじめてオフ会なるものにも参加した。たった一度だったけど。
同じ志を持つ者同士、結束を高めるために集まろう!とオフ会が計画された。地区によってそれぞれ日時・場所が決められる。地下鉄の改札前で、リーダー的存在の人が目印を持って立っていると言う。
私は、仕事の休みを調整して地下鉄の駅に向かった。
パソコンを持っているのも、日常的に使っている人も珍しい時で、
その番組を見て気付いた人も周りにはいない、なんて
何となく自分は特別なんだという気持ちになって。
行ってみると、目印を持って立っていたのは、大人しそうな地味な女性だった。ひとり緊張して立って待っていた。
私はまっすぐ歩み寄り「奇跡の詩人の…」と挨拶した。彼女は、ようやく待ち人が来た、と、ほっとして笑顔を見せてくれた。
その時、一斉に、周りで風景になっていた数人の男性が、
「俺も」「僕も」「私も」と集まりだした。
みな、とっくに来ていたのだ。
でも、声をかけていなかった。勇気がなかったのか、もしくは値踏みをしていたのか…。
何となく、その時に、ネットの怖さ?を感じた…。
誰が、どんな人が集まっているのか、性別さえ、全くわからない、そんな空間…。
誰かと繋がることが出来るインターネット。
その後も、遊び半分で結婚情報サイトに登録したり(婚活サイトって言葉はまだなかった)、SNSで顔も知らない人とマイともになって実際に会ったりもした。
でも、幸運なことに一度もsexもしなかったし、危険な目にも合わなかった。
今思えば、本当に良い人(?)としか出会わなかった奇跡なのかもしれない。(怪しい出会い系サイトは怖いと思っていたのでやったことはない)
あの時の、あの人たちは、今どうしているのか。
今でも、2ちゃんねる(5ちゃんねる)にいるのだろうか。
婚活サイトで良い人と出会えて、結婚できたのだろうか。
ふと、懐かしく思い出す。
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