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はじめに

  「不思議な見た目だなあ」というのが、今一緒に暮らしている我が家の「ぐら」(バンビーノ・雄)の写真を見た第一印象でした。

 初見では、猫を見て一般的に抱く「かわいい」という感想はなく、「宇宙人っぽい」と感じたことを覚えています。 

 私とパートナーのTaroがヘアレスキャットに辿り着き、ぐらを迎え入れることになったのは、いくつもの偶然の積み重ねでした。 

 当初、Taroは短毛の犬種を探していました。日中は仕事で家を留守にすること、まめに掃除するのが難しいことから、毛が落ちにくく静かであまり吠えない犬を探していたのです。

 数件のブリーダーさんの元へ一緒に見学に行きました。しかし、残念ながら、ピンとくる子との出会いはなし。

 当時は猫と暮らす選択肢はありませんでした。Taroは猫アレルギーがあるのを自覚していたからです。

 しかし、何度も入力していた検索ワード「犬 毛が落ちない」を、思いつきで「猫 毛が落ちない」に変えてみた日がありました。

 「猫はふさふさな毛で覆われている生き物」という固定観念を持っていた私たち。だからこそ「毛が落ちにくい猫なんているのかな?」という純粋な疑問を調べてみたかったのです。

 そこで知ったのが、さまざまなヘアレスキャットたちでした。中でもスフィンクスという猫種が有名だと知ります。

 調べるうちに毛がほとんどないため、猫アレルギーの人でも比較的暮らしやすいといった情報も得ました。

 さらに「犬のような猫」といった説明文にも引かれました。犬と暮らしたいと考えていたTaroはかなり乗り気に。

 2023年12月31日の大晦日、大阪市内のスフィンクス専門ブリーダー、ツァプコスベトラナ(TsapkoSvetlana、通称ニナ)さんのもとを訪れます。そこで、ぐらと初対面。

 顔や身体とアンバランスなくらい大きな耳、くりくりした大きな目、短足でムチッとした手脚、筋肉質な体躯……それらも毛のある猫とはまた異なるユニークな魅力でしたが、皮膚に触れたときの質感は想像を超えるものでした。

 当時は「スウェードのような触り心地」と口にしたのを覚えています。しっとりスムースで、自分の皮膚と接しているだけで幸せな気持ちになったのです。

初対面時のぐら

 また、犬のような猫という、ヘアレスキャット全般に使われるキャッチコピーはぐらにも当てはまり、初回からTaroの脚の上に乗ってきました。

 その日からぐらを迎える2024年2月10日まで、Taroとはぐらのことばかり話していたと思います。それくらい、一度会っただけで「あの子を自分たちの仲間にしたい」熱が高まってしまったのです。 

 ぐらと暮らし始めて2ヶ月。最初の数日は猫との共同生活に慣れず、検索で「猫育ノイローゼ」を見つけて、私もこれかも? と感じたこともありました。

 しかし、1週間も経てばぐらも私たちも徐々に馴染み、家にラブリーな個性派猫がいる暮らしに幸せを感じるようになっていました。

 そんな中、ぐらの情報を自身のSNS(X、Webメディア、TikTok)で発信するようになり、ヘアレスキャットへの興味関心の高さ、一方でその存在をほとんど知られていないことに気づいたのです。

 こんなに愛らしく、賢く、魅力的な猫種なのに、認知度が低いのはもったいないとも思いました。そこで、本書を制作しようと決めました。

 ヘアレスキャットの情報はほかの猫とは違い、決して多くありません。Webの記事はある程度出てきますが、情報がまとまった書籍は存在していません(2024年4月の執筆時点)。

 「なければ作る」が私の考えです。ヘアレスキャットを迎え入れる前に読んでおき、必要な場合は迎え入れてからも参照できるような本を作りたいと思いました。 

 こうして生まれたのが本書です。ヘアレスキャットの魅力を伝えることを主目的とし、基礎知識や押さえておきたい情報を網羅的にまとめています。

 ヘアレスキャットに少しでも興味がある方、猫と暮らすことを検討していてヘアレスキャットも候補に入れてみようと考えている方など、さまざまな方に読んでいただき、ご自身の生活に生かしていただけたら幸いです。

2024年5月 

池田園子

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このマガジン1冊で、ヘアレスキャットの基本が分かります。監修はガイア動物病院 松田唯 院長のほか、キャットオーナーの声も盛りだくさん!

スフィンクスやバンビーノなどのヘアレスキャットを知りたい方向けの本です。ヘアレスキャットの魅力を伝えることを主目的とし、基礎知識や押さえて…

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