職業、女。#8 女友達ZERO時代

 高2から卒業時まで、クラスに女友達がいなかった。

 いじめられていたわけではない。ただ、限りなく「女の園」に近い環境に、悲しくなるくらい、全然なじめずにいたのだ。

 普通科国際系という英語に力を入れるそのクラスには、いわゆる「派手で元気いっぱいな女子」が多く、私のように地味でテンションが平坦なタイプは、彼女たちの輪に入っていけなかった。クラスの1割程度を占める男子たちにも、仲良くできそうな相手は皆無。休み時間をにぎやかな教室でひとりで過ごすのがいたたまれなくて、パソコンルームや図書館へ足繁く通った。

 女子、苦手かも。仲良くなれない。自分から話しかけることすらつらい。

 毎日絶望を感じていて、一刻も早く広い世界へ飛び出して、生まれ変わるんだと願った。遠く離れた東京の大学に行けば、絶対に再スタートできる。女友達も昔みたいにつくれる。そう信じて上京した18歳の春。

 大学では楽しい女友達に恵まれた。合気道部の同期や同じクラスの女子、同じ授業を受ける女子、バイト先の女子。私は高校時代の3分の2の期間、ほとんどクラスの誰とも話さず(話せず)、孤独に過ごしていたことを言わなかった。わざわざ話す意味もないし、信じてくれないだろうとも思ったからだ。

 今の私は「女性が苦手」と感じることはない。幸運なことに、女性から嫌われにくい要素を持っていると思う。たとえば、平凡な外見や、なぜか「歳のわりに落ち着いてますね」と言われる雰囲気など。

 あの黒歴史ともいえる2年間を過ごしたこと、東京で人生をリスタートしたことで、女性と心地よい関係性を構築する方法を「生存戦略」として、知らず知らずのうちに習得していたのかもしれない。

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