笑顔で手を振るだけ、という縁

輪廻転生があるとして

少し前の話 近所のスロット屋へ

陽気な昼下がりにタラタラと歩いていると

ママチャリの後部座席に揺られる子供が

なぜか後ろを振り返る。

視線が時速何キロなのか僕は知らないけど

多分光より少し遅い位。

僕の視線と男の子の視線が出会って

お互いにその情報が脳内に伝わる

コンマ何秒の無表情の後に

どちらが先かわからなかったけど

笑顔になる。

耐えかねた男の子が手を振り

僕も振りかえす。

彼方に消えるまで飽きることなく

手を振り続ける男の子を前に進みながら

見送る僕もたまに手を振りかえす。

お互いがお互いを何も知らず

ただ視線が合って笑顔で手を振りあう

という何の意味もない行為を何世にもわったってやる

そんだけの縁があっても面白いんじゃないかと

思った昼下がりだった。

来世は僕が先に手を振りたいと思います。


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