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食と職とわたし〜コロッケが教えてくれたこと

今やっている仕事の1つに食品のおいしさを客観的に評価する、
ということがあります。

あるとき、おいしいコロッケの定義とは。
惣菜売り場のコロッケのおいしさを表現するという依頼を受け、
官能評価や食感分析をしたりしていました。
一般的に言われるのは、
「衣サクサク、じゃがいもホクホク
 さらに時間が経ってもサクサク、ホクホク。」
コロッケをいろいろ食べ比べたり、
ホクホクってどういうこと?って調べたり、
サクサク感を時間ごとに測ってみたり。
おいしいコロッケについて、客観的に分析する
ということをやっていました。

なんだけど、私の中の一番は母のコロッケで、
おいしいコロッケの定義とは正反対。
衣は薄くて、時間経ったらすぐにふにゃっとして、
中のじゃがいももずっしり詰まって重い。
見た目もインスタ映えないぼてっとした俵形。
塩加減も一定ではない。
だけど、わたしの中では これが一番。

「おいしい」のものさしは、人それぞれ。
そのもののおいしさの要素に加えて、
食べるひとの、育ってきた環境や思い出、
得た情報とそのものに対する印象、
そのときの気分や体調、などの影響が大きい。

その中で、何をたいせつにしていきたいか。
自分の仕事の位置付けを、客観的に考えてみながら
コロッケが食べたくなって、コロッケを作ってみました。

母の味は祖母の味だった

一定の味では無かったので、
特にレシピもないんだろうなと思いつつも、
久々に食べたくなって母につくり方を聞いてみたら、
おばあちゃんの味だったらようです。
家庭の味をあまり意識したことは無かったのですが、
意外と身近にあったことが、少し嬉しかったです。

〈母から届いた作り方〉
1.玉ねぎのみじん切りと合挽きミンチ炒めて、塩、コショウ、ナツメグに醤油と砂糖を隠し味程度に入れる。
2.茹でたじゃがいもを潰して、温かい時に少しバターも混ぜて、1と混ぜる。
3.俵形に形を整えて、小麦粉、卵、パン粉の順でまぶして、油で揚げて、完成。

しばらく実家には帰れなくなっちゃったので
自分で作ってみました。

味付けの分量は適当なので、レシピというほどでもないけれど、
ナツメグが入っているのがポイントのようです。

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ちょっとまだ母の味には遠いけど、それっぽく出来ました。

コロッケが大好きなのですが、
揚げ物なのでカロリーを気にしていた中高生の頃は、
食べ過ぎないように我慢するようになっていました。
なので、コロッケをたくさん食べられることは、
この上ない特別な日だけで
コロッケは贅沢な存在。

食と職とわたし


「おいしさ」の食品の持つ科学的な要素について
客観的に検査するという仕事に携わりながら、
「おいしい」ものは人によって違う、
「答えがひとつじゃない」ことに向き合ったり
ちょっと距離を置いてみたり。

「食べる」ことが好きで、たいせつで、
「食」に関わる仕事をしたいと思い進んできました。
ですが、進むほど、答えがひとつでなかったり、
いろいろ繋がっていて、どれもたいせつ。
いろいろな角度から見れるようになりたい、と思うようになってきたのですが
「何をしたいのか」と言われると、ふわっとした答えしかなかったのです。

そんな中で出会ったのが、サルベージ・パーティフードスコーレ
「食」について、やってみたかったことが、この中にあります。
去年は参加する側だったけど、今年からは運営側に携わらせていただき
ワクワクしています。
そちらについては、また他で書いていきたいと思います。

「たいせつに、たのしく、食べる」
きっとそうすると、「おいしい」っていう感情も自然とついてくる。

ぼちぼち食や季節の日々の楽しみなど
いろいろ書いていきたいと思います。

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