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リコリス・ピザと70's

 面白かったー!映画「リコリス・ピザ」。
映像も音楽もとても良かった‼︎
ざっくり言うと1973年カリフォルニア州サン・フェルナンドバレーのボーイ・ミーツ・ガール映画なのだが、ポール・トーマス・アンダーソン(PTA)が撮っただけあって、邦画でよくあるような単なる胸キュン純愛話ではない。
万人受けはしないだろうけれど、今年の個人的暫定1位作品。

トレーラーは青春ど真ん中っぽい。
騙されて観に来る若いカップルとかいそうだ。
二人のこじらせぶりは青春あるあるだけど。


 主役は二人とも映画初出演のアラナ・ハイムとクーパー・ホフマン。アラナは姉妹バンド、ハイムの末っ子。名前はそのまま、そして映画の中では両親も含めて一家総出でほんとにファミリーとして出演している。ぶっきらぼうで傷つきやすい、自分をもてあましてる女の子(25歳の設定だけど)を好演。
 クーパー・ホフマンはフィリップ・シーモア・ホフマンの息子で、顔立ちもぽちゃぽちゃしたところも佇まいもおとっつぁんそっくり。こちらも、世間を舐めてる子役上がりのイライラさせる高校生が板についている。でもさすがに15歳って設定はキビシイよ。

 この映画、とにかく変な人たちが次から次へと出てきて楽しい。バーブラ・ストライサンドと付き合っていた映画プロデューサー役のブラッドリー・クーパーの狂犬っぷりはもちろん、ショーン・ペンもトム・ウェイツもピンボールマシンで遊ぶオヤジも警官も、ヤバい人だらけだ。ミカドレストランのオーナー、日本人の妻と話す時だけ妙な英語。日本語訛りの英語ってことなんだろうけどものすごくへんてこ。
一番ゾクゾクしたのは、エージェント?キャスティングディレクター?役のハリエット・サンソム・ハリス。この妙にこわ〜い感じ、誰かに似てると思っていたが、市原悦子と白石加代子足して割ったらこうなる?

 エピソードはPTAの知人やアラナ・ハイムの実体験に基づいているそう。演技もいくつかアドリブがあったとかで、そういうところがリアリティを感じさせるのかな。

 そして70年代の雰囲気!自分がこの時代が大好きというのもあるが、音楽もファッションも最高にクール。スージー・クアトロ、ドノヴァン、ドアーズ、デヴィッド・ボウイ、ウィングス…。

 映画の物語設定の1973年の翌年、ロサンゼルス近郊のシールビーチという海沿いののどかな町で夏休みを過ごした。あの頃のファッションが鮮烈にフラッシュバック。
女の子たちはぴちぴちTシャツにフレアボトムのパンツかショートパンツ、ミニスカート、ノーブラ。アラナが着ていたホルターネックのブラ型トップスもはやってたな。中学生だった私も持ってたけど、親からは家の中でしか着るのを許されなかった。
男性はみんなもみあげ長かった。

映画とは関係ないけど個人的な70'sアイコンは
コッペパンみたいなNIKEのコルテッツ。
今でもNIKEのスニーカーの中で一番好きだ


 物語の本筋よりも心を揺さぶったのは、映像の柔らかさ、横長の感じ、光、やたらと走るシーン、夏の夕暮れ。

 リコリス・ピザは実在したレコード店の名前。
レコード盤はリコリスみたいに黒くて丸いから。
リコリス、今もあるけどなんだか70'sっぽい食べ物だ。

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