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一言もしゃべりたくない女、管理職になる

一言もしゃべりたくない

以前書いた通り、私は (最近は結婚して自己肯定感が爆上がりし、マシになってきたが) 自分が考えていること・感じていることをしゃべりたくない。
そんなことを言おうもんなら全世界からバカにされると思ってるからである。

そもそも言葉とか身振り手振りとか声の調子とか、そんなもんで伝わる情報の量なんてたかが知れてる。
もし私の人生を全部同じ条件でやらないといけない人がいたら、その人に「(私)さんはすげえ、おっしゃる通りだ」と言わせる自信はあるが、実際そんなことは起こり得ず、何を考えているかお互いにわからない他人だけと向き合っている。そんな人に何かを伝えるなんてハードルが高い。

やむを得ない状況

そんな感じなので「人の上に立つのって向いてないだろうなあ」と思っていたのだが、その役割を引き受けざるを得ない状況になってしまった。

転職である。
私は上司のことを大嫌いになるのが得意なのでよく転職するのだが、今回の上司は、私が転職した1週間後にいなくなっていた。
正確にいうと会社に来なくなっちゃったのだが、その都合で、彼(マネージャー)の持っていた仕事が急に私に無期限スライドしてきたのである。

来なくなっちゃって3週間くらいは「どーすんの?」という雰囲気があったのだが、だんだんと「誰かがなんとかしないとね…」という空気に移行していった。

こういうとき、私は見て見ぬフリができない。自分の欠点だと思っているが、こういう状況で何もしないのがすごくストレスになる。

新卒研修のときも、「◯◯についてわかる人はいますか?」という問いかけに全員黙っている状況が頻発し、日に5回以上、私が答えていた。ヤバい奴だと思われていたに違いない。
もし自分の性格にこの部分がなければ、会社を1年も休職して抑うつ感にのたうち回ることなんてなかったと思う。
でもやめられないんだよね〜なんで?笑

そんなわけで私が管理職のパートを引き受けることにした。
出会ったばっかりの、ほぼ同い年の男の子たちの面倒を見るハメになっちゃったのである。

プロジェクトマネージャーの仕事

私は新卒以来ITプロジェクトに関わってきたのだが、管理職(マネージャー)の仕事のほとんどは、以下に集約されると思っている。

それは、
①プロジェクトに関わる情報を集め(インプット)
②方針やスケジュールを自分なりに考え(スループット)
③わかりやすく人に伝え(アウトプット)
④人に動いてもらうこと(最難関)
である。

私はお勉強マンなので①は人並みにできるし、②は聖人上司に褒めてもらったので自信もあるが、
③と④がマジでヤバい。
というかそれがしたくないってこちらはずっと言ってんのである。
自分のカードを見せた瞬間に、メッキがはがれてこの世界の全員に軽蔑されるのでは? と恐れているのである。

なぜ金をもらったくらいでそんなことをしないといけないのか?
自分がそうしたいから(しないと窒息するから)以外に理由はないので、覚悟をキメて取り掛かることにした。

私のポリシー

この3ヶ月あまりこの問題と格闘していたが、私なりに気をつけたことを以下に書く。


1. 自分が1番納得できる方法でやる


まず何よりも大事なのがこれ。

私の目から見ると一般的に、世のオトナたちは我慢しすぎ
納得もできないのにそれを我慢するから「ムカつく」とか「許せない」みたいな負の感情が生まれ、それを起因とした職場トラブルを次々と引き起こすのである。
納得してる大人はそういう問題を起こさない。自分の感情の始末ができるから。

私が苦しいこととか、それぞれ生活を営んでおられる彼らにはほとんど関係ない。
不幸な顔をしている人間の近くには誰も寄りつかない。
不幸に苦しんでいるということが、彼らに卑屈な方法で「助けて」と言わせる。
具体的には他人を苛烈にこき下ろしたり、こっちはこんなに不幸だけどお前は楽でいいねと言ってみたり、近くにいると息苦しいのである。

やりたくもないことをやりたくもない方法でやって、人を嫌いになったり、人に嫌われたりするくらいなら、我儘と言われようがやりたいように私はやる
「私はこんなに苦しんでいるのに、あいつらはそれに応えない」みたいなあるあるのマネージャー愚痴を一言もいいたくないので、これを最優先とした。

2. 人を好きでいる


これは私が世の中を舐めくさったクソガキだから思うのかもしれないが、
「私あなたのことだーいすき♡♡♡」って言ってる人に、「あっそ!!こっちは嫌いだけど!?」って言える人はよほど偏屈だ。

つまり、私が相手のことを好きになった瞬間に、相手に好かれることもまた確定しているのである。しかもこの方法にはなんのデメリットもない、お互いうれしい。

嫌われたり軽蔑されたりするのが怖くて自分の意見を言えないなら、「私がこんなに君らのこと好きなんだから、君らが私のこと嫌いなわけないね♡♡」というお守りを持っておけばよいのである。事実かどうかはともかく。

そういうふうに納得することにした。
っていうか、好きな人に嫌われるなら諦めもつくわ。嫌いな人に嫌われる不愉快さの100倍はマシ。


3. 人に期待する


私は巷に溢れている「人に期待しないと幸せになれる」みたいな理屈ってかなしくて嫌いである。
バカか? おめーは幸せかもしれないけど、人間は誰かに期待されないと悲しいんだよ!
いてもいなくてもいいみたいに感じるから。相手の幸せのことも考えてやれよ。

仕事上で人に期待するのは、その人の上司の仕事である。そういうわけで私は人に期待する。
そりゃもちろん期待しなきゃ裏切られることもないし、悲しい気持ちにもならないし、なんでもハイハイって具合に通り過ぎていくと思うけど、そんなの面白いか?
特になんでもできるタイプの(優秀な)人間がこれを言うのって私、有罪にしてもらいたいと思ってる。あんたみたいな人間からの期待にこそ、黄金の価値があると知るべき。

おわりに

言うは易しとはよく言ったもんで、当然思うように行かないこともあった。
特に「納得できるようにやる」を行う過程でハレーションが起きまくり、情緒がめちゃくちゃになった。

相手を好きでいるのも意外と大変、自分が人間のどういう部分を愛しているのか知る必要があるし、許せないと思っている部分も受け入れていかないといけない。

でもまあなんか上手く回ってるっぽい。今のところ。彼らから信頼されていると感じるし、仕事も軌道に乗っている。

数年後に見返して「あーあのときはあんなこと考えてたな、大変だったな」って思えたらいいなって思ったので書いておいた。


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