「分からない言葉はすぐ辞書を引く」←これNGです。その理由について


今回はこのツイートを深堀しようと思います。

突然ですが皆さんは、子どもの時どうやって言葉を習得しましたか?

「いや、そんなこと言われても覚えてない…」という方が大半だと思います。
乳児の段階なら、間違いなく辞書は使っていないですよね。
そもそも、辞書は「言葉をある程度覚えた者」にしか使えませんから。

この答えは、「何となく使ってみて手応えを得て、言葉を覚えた」です。

例えば、母親を呼ぶ時、99%の赤ちゃんは「ママ」と呼びます。
これは、「ママ」と読んだら母親が振り返ったことで、「ああこの人はママなんだ」と認識したためです。

こうして赤ん坊は言葉を試しに使ってみて、手応えを得る中で、少しずつ習得していったのです。
そう考えると、言葉は「覚える」というより「習得する」といったほうが正確かもしれないですね。

さて、受験についての話に戻します。
受験生も赤ん坊とまではいきませんが、まだ子どもです。
頭が柔らかいうちに、様々言葉を試しに使ってみて、少しずつ習得していきます。

ところがここに「辞書」が登場したらどうでしょうか。
分からない言葉に出会った時、すぐに辞書を引いてみる。
試す前に「覚える」と言うやり方になります。
これでは、生まれつき得た能力である「試して習得する力」が徐々に衰えてしまいます。

だから、調べる前にまず「予想」するのです。
「ぜんっぜん自信ないけど、多分こんな意味なんじゃないかな・・・」といった具合に。

日本語はちょうど良いことに、漢字や言葉のニュアンスで、何となくの意味を予想しやすいです。
で、往々にしてこの予想は当たることが多い。違ったら辞書を引いて覚えれば良いだけです。
要は、最初から辞書引くなよ、と言うことですね。

正直、大人になってもありませんか?知らない言葉が文章に出てくること。
特にニュース記事なんかそうですよね。その度にいちいち辞書を引きますか?余程気になったら調べるにせよ、毎回は絶対引かないですよね笑
前後の文脈で、多分こんな意味だろう、と解釈して、読み進めるはずです。
中学受験の国語も、まずはこのスタンスでOKです。調べるなら、予想した後にですね。

私は受験指導をして12年ほどになります。
(といっても最初の4年はアルバイト講師ですが)
あくまで体感ですが、指導していて思うのが、「予想する」生徒さんほど、学力の伸びが高い、ということです。
逆に、常に受け身で、テキストを覚えることばかりに集中する生徒さんは、いまいち伸びなかったりする。(もちろん例外もあります)

学校では大人しい子ほど評価されがちですが、塾を見ると、最上位の生徒は案外活発だったりする。
私はWの講師でしたが、結構ヤンチャな子が多かったです。
逆に下位クラスの方が、どこかぼんやりして、のんびりしている子が多かったです。
それはもちろん良い悪いではなく、生徒の特性だと思います。
ただ、体感ですが、活発に予想を立てまくる子ほど、点数が取れたというだけです。

で、大事なのは「これからどうするか」ですよね。
生まれ持った特性はなかなか変えられませんので。
やるべきことは一つで「予想を立て続ける」ということです。

今回は「知らない言葉に出会った時」という例を出しましたが、これは学習全般に言えます。
特に国語は、予想を立てることが大事です。今まで出た問題と同じ問題は、ほぼ確実に出ませんので。
常に未知の相手に対して、自信ないながらに戦う必要があります。

これは結構講師の腕が試される部分でもあります。
新人の講師ほど張り切って、どうしても色々と教えたくなる。
でもこれだと、受け身の授業が成立してしまう。

面談で経験ありませんかね?若いフレッシュな講師なんだけど、どうもこちらの話が届かず、講師が話してばかり・・・といった現象。あれが、授業でも行われているわけです。
ベテランの講師ほどどっしり構えていて、強面なのに案外生徒の発想を大事にしたりするものです。

私の授業は一度体験するとわかるのですが、とにかく間が長いです。
多分せっかちな保護者様からすると「良いから早く解説してよ」と思われるでしょう笑
でも、これくらいゆっくりした方が良い、というのが私の中の結論です。
(受験直前期は例外です。特に通塾開始が遅い子などは、詰め込む必要があるので)

家庭教師って、集団塾で発言できないから来る生徒さんが多いんですよね。
最初の授業なんかでは、油断するとリアクションないまま進んだりします笑
だから、最初のうちは特に引き出していきます。雰囲気もかなり緩い方だと思います。
それは、生徒が自由に予想を立てられるようにするためです。
子どもからすると、大人って怖いんですよ。特に1対1だと。慣れればどんどん打ち解けてくるんですけどね。

そんなわけで、国語力上達に最も必要なものは何かと聞かれたら、
予想を立てること
だと答えます。その一例として、未知の言葉への対応が挙げられるわけですね。

今回この記事を書いたのが、先日某個別最大手塾の面談シートのコメントに
「知らない言葉が出たら辞書を引きましょう」
と書いてあったためです。
最大手でも、やはりこの発想に陥りがちなんだな、と感じました笑
どうか皆様、「それっぽい論理」に振り回されませんように。

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