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【ネタバレ有】『TOVE』を観てきて思ったこと

こっちを観たかった!

何きっかけで知ったかがあやふやだが、近くの映画館でやるし、ムーミンの作者であるトーベ・ヤンソンさんが主役の映画であるとのことだし、速攻観に行くことに決めた。即、スケジュール確保。

以前、六本木などであったムーミン展を行っていたりすると、更に楽しめる内容かもしれない。

あらすじ

トーベ・ヤンソンさんの半生を綴った映画。

彼女は第二次世界大戦中、不思議な生き物『ムーミントロール』を一心に描き続ける。
戦争が終わると、彼女は一人暮らしを始め、絵画制作などを始めるが、なかなかうまくいかない。そんな中で出会う、さまざまな人達との恋の物語。

※同性愛の表現が苦手な人は観ないほうがいいかな…と思う。

ムーミンの誕生秘話…というより ※以下、ネタバレ有※

そうだ…トーベ・ヤンソンさん、第二次世界大戦を体験してるんだった。
最初の描写でそのことを思い出した。こんなことを言ってはいけないのだろうけれど、戦争があったからこそ、ムーミンが生まれたような…そんなものすら感じる。戦争がなければ、ムーミンは紙の端に書かれても、ここまで世界的に有名にならなかったかもしれない。

ムーミンについての描写はあまりない。

とあるキャラクターが生まれたきっかけ、ムーミンの初の舞台化…と少しだけムーミンには触れるが、ほとんどはトーベさんの人生についてのこと。

画家はお金がない。言われた通りに指示をもらったものを描けばうまくいくかもしれないが、男性の画家・彫刻家の方が有利なことに変わりはない。有名になるのは男性の画家・彫刻家ばかりだ。

パトロンがいないと、画家・彫刻家は生きていけない。ここはある種、今の世の中と何ら変わっていないのかもしれない。
何かを表現している人たちは自分でお金をつくることが難しい。やりようはあるのかもしれないけれど、表現だけで食べていく…なんて現実的じゃない。誰かからのお布施・スパチャがないと生きていけない。
実際に私もお金にならないながらもちまちまと描いていたりする。トーベが紙の端に妖精を書くように。

トーベのお父様が亡くられたシーンは思わず泣きそうになった。強い言葉で描かないのか?画家としてどうなんだ?と言いながらも、彼女の活動を応援していたんだなって。あの切り抜きはずるいや。

トーベと言えば…だけど、レズビアンであったと言われている。もちろん、ビアンに気づいたきっかけ…とでも言うんだろうか、その描写も存在する。
ヴィヴィカとの熱い恋愛、貪るような行為、けれども、最終的にはトーベからさよならをする。あんなに深く愛していた。けど、人として愛していたからこそ、この関係を終わらせようってできたんだと思う。

強いなあって思った。私はできないや。

ヴィヴィカは世の中とうまくやっていた。一応、夫もいる。けれども、レズビアンなわけだから女性が好きなんだ。まるで、世の女性は全て自分のもの…とでも言うような、自信ありげな女性。
けれども、最後の最後、トーベに「終わりにしよう」と言われたとき、その表情が印象的だなって思った。自分の大事な人がどこかに行ってしまうような、子供みたいな顔。

たぶん、ヴィヴィカは自分から離れたことはあっても、誰かから明確に「さよなら」を言われたことがないんだ。

ヴィヴィカの感情

正直、わからなくもない…んだよなあ。私はレズビアンではないが、マイノリティであることには変わりないので。

世間体さえ守っていれば、何をしても構わないでしょうって。それは同じレズビアンだから当たり前じゃないって。「この世の中、私達みたいなのはそうやって生きるしかないのよ」って。
だからヴィヴィカは自分の望むように女性と身体を重ね続けた。こうするしかない…の結果が、あの恋愛観なのかなとも思ったり。

んで、相手もそれをわかっているわけだ。マイノリティ同士だからこそわかるアレ。猫みたいに気ままにいなくなったりするような…、会わなくなれば終わりねみたいな。んで、また会ったら御機嫌ようって。

本人の性格もあって(舞台周りで忙しそうな人だし)、明確に関係を終わらせたことがないのだと思う。自分から切ることもしないし、相手が会わなくなったら終わりね…くらいの感覚だったんだろう。
トーベが初めてだったんじゃないかなあ。じゃなきゃ、最後の最後であんな必死にならないだろうし、あの表情は見せないと思う。

トーベは眩しいくらい誠実な愛に溢れた人だった。

余談だが、ちょっとだけ大人の背が高いおねいさんいいなって思った。

この人が好きだと胸を張って言える日が来てほしい

同性愛も異性愛も特別なわけじゃなくて、その人だから好きになった…ただそれだけなんだ。特別なことが時代背景によっては抑圧の対象になる。
『特別なこと』が抑圧の対象になっているのは今の世の中ともなんら変わらないと思う。

その好きになった事実を、ただ抱きしめたまま生きたトーベ・ヤンソンさん達に敬意を払いたい。

何度もいろんなところで言っているけれど、対象が同性とて異性とてましてや人じゃないとしても、胸を張って「好きだ」と言える日が来てほしい。気軽に恋バナできる日が来てほしい。


最後に、数年前の六本木のムーミン展にも行ったのだけど、そのときに観たのも出ていて、おもしろかった!


May the wind be ever at your back

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